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2017年10月27日金曜日

タイのラーマ9世プミポン前国王の「火葬の儀」がバンコクで行われた(2017年10月26日)

(煙につつまれる火葬塔 The Nation の動画よりキャプチャ)

2017年10月26日、タイのラーマ9世プミポン・アドゥンヤデート前国王(通称プミポン国王)の「火葬の儀」(Royal Cremation)が行われた。文字通り誇張なく、タイ全土が涙に包まれた一日となった。これが最期のお別れとなる。合掌。
   
タイ現地時間の午後11時(=日本時間では27日の午前1時)、現国王で長男のラーマ10世ワチラロンコーン国王が火葬塔の薪に点火、前国王は荼毘に付された(冒頭の画像)。

火葬塔(Royal Crematorium)は高さ50メートルと歴代のタイ国王の葬儀のなかでは最長で総工費は5億バーツ(日本円で約16億円)、仏教の世界観を表現した須弥山(しゅみせん)を象ったものだ。つまりは仏教式なのだが古代インドの宇宙観であり、その意味においては限りなくヒンドゥー教的でもある。タイの王権は、カンボジアなどと同様に、ヒンドゥー教の王権神授説にのっとったものである。

(須弥山を象った「火葬塔」の宇宙観 The Nation サイトより) 


(須弥山の構造 wikipediaより)

ゴールドで輝く豪華絢爛な構築物で、ディテールに至るまで細かい装飾が施されたもの。この火葬塔のなかに安置されたご遺体が焼かれたのである。「大王」にふさわしい葬儀である。


(シンガポールの Channel NewsAsia のLIVE中継をキャプチャ)


■「火葬の儀」のスケジュール

葬儀は念入りに計画されたもので、一連の儀式は10月25日から29日まで5日間にわたる。26日は国民の公休日となった。式次第は以下のとおりだ。情報は、タイの英文日刊紙 The Nation の記述に基づく。

<葬儀の式次第>

10月25日(水) 
  17:30 宮殿に安置された御遺体へのタンブン(A royal merit-making ceremony)とお別れの祈り。 ご遺体の移動準備

10月26日(木) 
  7:00 宮殿から火葬場への御遺体移動
  17:30 仮火葬式(The symbolic Royal Cremation)
  22:00 本火葬式(The actual Royal Cremation)

*この間、18時から翌朝6時までの12時間にわたって、前国王に別れを告げ捧げるために、タイの古典仮面舞踊劇のコーン、人形劇、オーケストラの演奏などのパフォーマンスが王宮(サナーム・ルアン)で行われる

10月27日(金)
  6:00 ご遺骨(Royal Relics)と御遺灰(Royal Ashes)の収集。ご遺骨を納めた骨壺が宮殿に移動、ご遺灰は容器に移されワット・プラケーオ(=エメラルド寺院。いわゆる「エメラルド・ブッダ」が納められた寺院)のプラ・シー・ラッタナ・チェディー(Phra Sri Rattana Chedi)に移送

10月28日(土)
  17:30 宮殿でご遺骨へのタンブン(A royal merit-making ceremony)

10月29日(日)
  10:30 ご遺骨が宮殿内の Heavenly Abode in Chakri Maha Prasat Throne Hall に安置されるために移送
  17:30 ご遺灰が2つの寺院、ワット・ラチャボピット(Wat Rajabopidh)とワット・ボーウォンニウェート(Wat Bovoranives)に安置されるために移送


(10月26日の「ご遺体」移送経路 The Nation サイトより

火葬後のご遺骨(Royal Relics)と御遺灰(Royal Ashes)は、別の扱いを受けることになるようだ。

タイ国内からインターネットで生中継されていたのだが、仕事の関係上でリアルタイムの視聴は一部に限られたのは残念だった。だが、幸いなことに動画や画像はネットで視聴可能である。royal cremation で検索してみるといいだろう。

(シンガポールの Channel NewsAsia 画面からキャプチャ)

葬儀の中心は10月26日で、この日はゴールドで装飾された豪華絢爛な、船を象った霊柩を移動。英国のバッキンガム宮殿の近衛兵のような兵士が護送役にあたっている。霊柩車が船の形をしているのは、さすが「水の民」である。

(シンガポールの Channel NewsAsia 画面からキャプチャ)

だが、日本の天皇の神道式の葬儀と比べると、だいぶ違う印象を受けるのではないだろか。近代以前の天皇の葬儀は仏式だったが、タイのような豪華絢爛なものでなかったことは確かだ。

しめやかに行われる日本、豪華絢爛に行われるタイ。おなじ「仏教国」といっても、内実は大きく異なる。大乗仏教と上座仏教の違いだけではなく、それ以外の要素も大いに反映していると考えるべきだろう。

先に見たように、タイ国王は現在でも「神聖にして絶対不可侵」の存在である。すでにそうのような存在ではない天皇も、近代以降は神道式の葬送儀礼となっている。


■これから名実ともに「新しい時代」が始まることを期待

タイ国民から絶大の信頼と敬愛の的であったプミポン国王が崩御されたのは、一年前の昨年(2016年)の10月13日。享年88歳。在位70年目(!)であった。」

タイ史上では最長であることはもちろん、英国のエリザベス二世女王(現在最高齢の91歳)の在位65年よりも長い。タイ現代史、とくにここ40年ほどは、まさにプミポン国王の時代であったといっても過言ではない。

その意味では、この日をもって名実ともに一つの大きな時代が終わったのである。日本近現代史でいえば、明治大帝が崩御したあとの「大正時代」、あるいは昭和大帝が崩御したのちの「平成時代」に該当するが、はたして今後のタイは「大正時代」なのか「平成時代」なのか、それとも・・・??

「火葬の儀」が無事つつがなく終了したあとには、新国王の即位式が待っている。現時点(10月26日現在)では、来る12月1日の可能性が高いとされている。

前国王のラーマ9世の兄で、悲劇的な死を遂げた前々国王のラーマ8世の葬儀(1946年)の際は、3年間にわたって喪に服すことが求められたが、さすがにグローバル資本主義のまっただ中に置かれた現在のタイには不可能な話だ。葬儀の5日間が終わる29日で1年間の服喪期間は終わる。30日からは、黒づくめだったタイにはふたたび明るい色彩が戻ってくる。

「2014年クーデター」による軍政下のもと、現在は議会が停止中のタイであるが、新憲法の批准はすでに終わり、あとは民政移管と総選挙がいつ行われるかが焦点になっている。

粛々と平常化への道を歩むことを期待したい。









<関連サイト>

Phra Meru Mas (the royal crematorium) for the late King Bhumibol Adulyadej
・・歴代の国王葬儀のための火葬塔の写真あり

Thailand's royal cremation ceremony caps year of mourning(CNN、October 27, 2017)
・・動画あり

【AFP記者コラム】プミポン前国王の葬儀で見えた秘密と不敬罪の国(AFP、2017年12月12日)

(情報追加 2017年12月12日)


<ブログ内関連記事>

「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)


タイ王国のラーマ9世プミポン国王が崩御(2016年10月13日)-つひにゆく道とはかねて聞きしかど・・・

タイのあれこれ(17) ヒンドゥー教の神々とタイのインド系市民

『Sufficiency Economy: A New Philosophy in the Global World』(足るを知る経済)は資本主義のオルタナティブか?-資本主義のオルタナティブ (2)

タイのあれこれ (8)-ロイヤル・ドッグ
・・「タイ語のマンガ版が興味深いのは、タイ王国憲法では、「神聖にして絶対不可侵」の存在である国王陛下を(・・戦前の大日本帝国憲法と同じ)、いかにマンガに登場させるかという点にかんして作者が大いに悩んだという。その結果、国王陛下はすべて白塗りで、透明人間のような描き方となった」

書評 『タイ-中進国の模索-』(末廣 昭、岩波新書、2009)-急激な経済発展による社会変化に追いつかない「中進国タイ」の政治状況の背景とは

書評 『皇室外交とアジア』(佐藤孝一、平凡社新書、2007)-戦後アジアとの関係において果たした「皇室外交」の役割の大きさ
・・「火葬の儀」に日本からは秋篠宮ご夫妻が参列。ブータン国王夫妻も参列

成田山新勝寺の 「柴灯大護摩供(さいとうおおごまく)」に参加し、火渡り修行を体験してきた(2014年9月28日)
・・火のもつ力について




(2017年5月18日発売の新著です)


(2012年7月3日発売の拙著です)









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