(Disrupt yourself before someone else does.)
「破壊的テクノロジー」という日本語が定着してしまっている。
ハーバード・ビジネス・スクール教授であったクリステンセン教授のベストセラー『イノベーションのジレンマ』のキーコンセプトが「Disruptive technology」。そしてこれが、「破壊的テクノロジー」と日本語化されたためだ。
英語の disruptive は動詞 disrupt の形容詞形。名詞形は disruption である。
だが、英語のニュアンスからすると、「disrupt」 は中断するとか、断絶するという意味なので、「破壊的」というと、なんか違うのではないか、と疑問がわく。日本語の「破壊」というのは、「壊して粉々に砕く」というニュアンスがあるためだ。
むしろ、 「断絶するテクノロジー」というのがニュアンス的には近いと思う。従来の、既存のテクノロジーの延長線の流れを断絶してしまう、断ち切ってしまうテクノロジーというのが本来の意味に近いのではないか?
そんな疑問をつねづねもっていたが、「disruption」 を理解するのに、いい画像を見つけた。 冒頭に掲載した写真だ。
キャプションには、Disrupt yourself before someone else does. (= disrupt される前に自分が disrupt してしまえ)とある。誰か他の者にされる前にしてしまえ、といった意味だろう。GE中興の祖であったジャック・ウェルチの名言 Control your destiny or someone else will. に通じるものがある。
つまり、「disruption」とは「破壊的」というよりも、「断絶的」といったほうが正しいことが「見える化」されているのである。
同様の例はほかにもある。
たとえば、「Virtual Reality」 が「仮想現実」と訳されて定着してしまっているが、これもニュアンスが違う。「virtual」というのは「実質的に」という意味。「仮想」でも間違いではないが、ニュアンスが異なる。
そのようなものだ、といってしまえばそれまでだが、英語の本来のニュアンスが正しく伝わっていないということは、アタマのなかに入れておいたほうがいいだろう。
<ブログ内関連記事>
Winning is NOT everything, but losing is NOTHING ! (勝てばいいいというものではない、だけど負けたらおしまいだ)
Eat Your Own Dog Food 「自分のドッグフードを食え」
put yourself in their shoes 「相手の立場になって考える」
When Winter comes, can Spring be far behind ? (冬来たりなば春遠からじ)
(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)
end