「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 近代英国 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 近代英国 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年6月21日木曜日

書評『イギリス近代史講義』(川北稔、講談社現代新書、2010)ー「世界システム論」と「生活史」を融合した、日本人のための大英帝国「興亡史」



■「世界システム論」と「生活史」を融合した、日本人のための大英帝国「興亡史」

本書『イギリス近代史講義』(川北稔、講談社現代新書、2010)は、著者自身が抱いている、かなり切迫感をもった危機感から語り始められている。

大学受験で世界史を選択する者が減少しているだけでなく、世の中で歴史学はすでに終わった学問だと見なされているというのだ。日本人の歴史的思考能力が劣化しつつあるのだ、と。

著者のいいたいこともわからなくはないが、わたしに言わせれば、「歴史的思考の劣化」ではなく、もともと日本人は「歴史的思考」は身についていないと思うのだが、それはまあそれは脇においておこう。

しかし、日本人の問題意識から出発した歴史学が必要だという著者の姿勢には、まったく賛成だ。

というのも、『自分のなかに歴史をよむ』という名著を書いた阿部謹也ゼミナールに学んだ者としては、当たり前すぎるほどに「常識」だと考えているからだ。阿部謹也の師である上原専禄には、検定不合格教科書を書籍化した『日本国民のための世界史』(岩波書店、1960)という本もある。

その意味では、本書は現代に生きる日本人にとっては、ひじょうに関心のつよいテーマである「衰亡論」に正面から取り組んだものであるだけに、出版以来版を重ねており、比較的よく読まれているのであろう。本書は衰亡史だけではなく、興隆史も描いているので、あわせて興亡史というべきだろう。

「衰退論」は、歴史学の議論であるが、政治的に大いに利用されてきたと著者は本書のなかで語っている。たしかに、「衰亡論」のさきがけとなった 『ローマ帝国衰亡史』を書いた英国の政治かエドワード・ギボン自身、アメリカ植民地喪失の時代の英国人であった。現代もまた政治的な観点から語られるのが「衰亡論」である。

中西輝政の『大英帝国衰亡論』が、日本の衰退を嘆く立場から全盛期の英国を讃えながら、現在の日本人にカツをいれるような筆致であるのもまた、その流れのなかにあるといってよい。中西氏は政治学者であり、いうまでもなく保守の論客である。

本書の著者・川北稔氏の政治的立場は知らないが、危惧するのは歴史学の復権であることは間違いない。それも、日本人による日本人のための歴史学である。


■英国社会史とヨーロッパ「世界システム」の歴史の枠組みのなかイギリス近代史を考える

本書は、イギリスという国の成り立ちと、「衰退」プロセスを、メカニズムに着目して、内側から描こうという姿勢に特徴がある。

著者は、ウォーラステインの主著 『近代世界システム』の翻訳によって「世界システム論」という歴史学の理論を積極的に日本に紹介してきたとともに、一般大衆に焦点をあてたイギリス社会史の著作を何冊も出版して、日本の一般読者向けに提供してきた人でもある。

本書は、その理論的関心と地道な生活史の成果が、うまく結合したものだといえよう。本の成り立ちが、編集者を前に語り下ろしたものを文字化したものであるだけに、話の筋が一貫しており、ひじょうに読みやすい内容になっている。

「世界システム論」からは地球全体で考える思考、生活史を中心とした社会史からは、家族構成と人口問題や都市化というライフスタイルを考える思考がでてくる。前者のウォーラステインがブローデルの延長線上にあるとすれば、後者の社会史もまた、アナール派などのあたらしい潮流のなかにあるものだ。

近代システムの多くが英国で始まったことは、社会科学を学んだことのある人間にとってはある種の常識だ。そういう人間にとって、なぜ産業革命が世界にさきがけて英国で発生したのか、それにもかかわらず、なぜ英国は現在では金融立国として生き残っているのか、など魅力的なテーマが多い。

「サッチャー革命」による金融街シティの変貌が、ジェントルマン資本主義から新自由主義への完全な移行をもたらしたことも、著者の問題意識が歴史家でありながら、きわめてアクチュアルなものであることを感じさせる。現在のシティは、すでに白洲次郎が語っていたような金融界ではない。

なぜ大英帝国という植民地帝国が英国には必要だったのかについては、より研究書の色彩のつよい『民衆の大英帝国-近世イギリス社会とアメリカ移民-』をあわせて読むことで立体的な理解が可能となる。

中西輝政の『大英帝国史』をすでに読んだ人も、政治史というよりも、経済史に力点をおいた社会史でもある本書をぜひ読んでほしいと思うのである。

もちろん、いかなる教訓を読み取るかは、あくまでも読者一人一人によって異なるのは当然だ。


(画像をクリック!)


目 次
プロローグ 歴史学は終わったのか
第1章 都市の生活文化はいかにして成立したか-歴史の見方-
第2章 「成長パラノイア」の起源
第3章 ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス
第4章 世界で最初の工業化―なぜイギリスが最初だったのか
第5章 イギリス衰退論争-陽はまた昇ったのか
-イギリスは衰退したのか-基礎データ
エピローグ 近代世界の歴史像
さらに学びたい人のために


著者プロフィール

川北 稔(かわきた・みのる)
1940年生。京都大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程中退。文学博士。大阪大学大学院文学研究科教授、名古屋外国語大学教授を経て、京都産業大学文化学部客員教授、国際高等研究所副所長を経て、現在、佛教大学特任教授。大阪大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものにカバー記載の情報を加えたもの)。



<ブログ内関連記事>

書評 『砂糖の世界史』(川北 稔、岩波ジュニア新書、1996)-紅茶と砂糖が出会ったとき、「近代世界システム」が形成された!

書評 『民衆の大英帝国-近世イギリス社会とアメリカ移民-』(川北 稔、岩波現代文庫、2008 単行本初版 1990)-大英帝国はなぜ英国にとって必要だったのか?


■大英帝国衰亡史と英国の底力の源泉

書評 『大英帝国衰亡史』(中西輝政、PHP文庫、2004 初版単行本 1997)

書評 『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)-知的刺激に満ちた、読ませる「大英帝国史」である

書評 『紳士の国のインテリジェンス』(川成洋、集英社新書、2007)-英国の情報機関の創設から戦後までを人物中心に描いた好読み物

麹町ワールドスタジオ 「原麻里子のグローバルビレッジ」(インターネットTV 生放送) に出演します(2012年6月13日 21時から放送)-テーマは、『「近代スポーツ」からみたイギリスとイギリス連邦』

映画 『マーガレット・サッチャー-鉄の女の涙-』(The Iron Lady Never Compromise)を見てきた

書評 『大英帝国の異端児たち(日経プレミアシリーズ)』(越智道雄、日本経済新聞出版社、2009)-文化多元主義の多民族国家・英国のダイナミズムのカギは何か?


■英国社会と固有の「文化」

書評 『「イギリス社会」入門 -日本人に伝えたい本当の英国-』(コリン・ジョイス、森田浩之訳、NHK出版新書、2011)
・・「文明」ではない固有の「文化」について日本通の英国人が語る

(2016年2月21日 情報追加)


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2012年6月18日月曜日

書評『紳士の国のインテリジェンス』(川成洋、集英社新書、2007)― 英国の情報機関の創設から戦後までを人物中心に描いた好読み物

■英国の情報機関の創設から戦後までを人物中心に描いた好読み物

英国といえば情報機関、そんな印象を形づくっているのは、なんといっても 007ジェームズ・ボンドの存在だろう。

ジェームズボンドは架空の存在だが、本書にも登場するイアン・フレミングの創作だ。本書にも、第8章で 『007』ジェームズ・ボンドの生みの親イアン・フレミングとして取り上げられている。そのイアン・フレミングの生涯じたい、いかにも英国的だなと感じさせるものだ。

また、かつてはよく読まれた作家サマセット・モームには『秘密諜報員』という日本語訳になっていた『アシェンデン』という作品があるので、本人にもスパイ経験があることは知っていたが、本書『紳士の国のインテリジェンス』(川成洋、集英社新書、2007)の記述を読むと、その人間性までわかって、なんともいえない気分になったりもする。

祖国に尽くしたスパイがいれば、その反対に祖国を裏切ったスパイもいる。

映画 『アナザー・カントリー』は、戦前のパブリックスクールにおける、将来のエリートである美少年たちのゲイライフに焦点があてられているので、その面では女性にも好まれている作品であるが、かれらの人生もまた、一人一人についてその末路までふくめて語られている。

こんな感じで、気になった人物から読み始めると、結局のところ全部読んでしまうことになる。

英国は、歴史の重要なプレイヤーとして登場した16世紀以来、いわゆるヒューミント、つまりヒューマン・インテリジェンスをフルに活用した歴史をもっているのである。国家組織としてスパイ情報を活用した政治家が英国の歴史をつくってきたことが、本書であらてめて納得することになる。

大英帝国を成立させたのもまた、この人的ネットワークによって張り巡らされた諜報網の存在ぬきにはありえなかったわけだ。

情報、諜報、スパイ・・・ 響きはあまりよくないとはいえ、情報活動は外交活動の基礎である。それが合法か非合法かだけの違いでしかない。

こういう側面から近代英国史を振り返ってみるのも面白いことだ。


(画像をクリック!)



目 次

第Ⅰ部 祖国に尽くしたスパイ
-第1章 エリザベス朝イングランドを支えた「イギリス秘密情報部の父」フランシス・ウォルシンガム(1530?~1590)
-第2章 秘密を握ったとみなされた天才劇作家の顛末クリストファー・マーロー(1564~1593)
-第3章 「グレート・ブリテン王国」誕生の陰の立役者ダニエル・デフォー(1660~1731)
-第4章 「ボーア戦争の英雄」と謳われた偽装作戦の名手ロバート・ベーデン=パウエル(1857~1941)
-第5章 貴族に叙せられた変装と語学の天才ポール・デュークス(1889~1967)
コラム ① 20世紀イギリスのスパイ組織の歴史-MI5とMI6の誕生
-第6章 世界的な有名作家をカバー(偽装)に利用したスパイサマセット・モーム(1874~1965)
-第7章 不朽の名画『第三の男』の原作者グレアム・グリーン(1904~1991)
-第8章 『007』ジェームズ・ボンドの生みの親イアン・フレミング(1908~1964)
コラム ② 対独レジスタンスに輝いた二つの綺羅星-特殊任務機関の女性スパイ

第Ⅱ部 祖国を裏切ったスパイ
-第9章 イギリス犯罪史上最長の懲役42年に処せられた男ジョージ・ブレイク(1922~?)
-第10章 人も羨むような「文武両道」の才に恵まれた男ガイ・バージェス(1911~1963)
-第11章 未来の「外務次官」の席を棒に振った男ドナルド・マクリーン(1913~1983)
-第12章 歴史にその名を残した20世紀最大のスパイ キム・フィルビー(1912~1988)
-第13章 「エリザベス女王のご親友」と謳われた美術史学界の重鎮アンソニー・ブラント(1907~1983)
-第14章 「私は雑魚にすぎない」とうそぶいた「第五の男」ジョン・ケアンクロス(1913~1995)
あとがき
参考文献


著者プロフィール
川成 洋(かわなり・よう)
1942年、北海道生まれ。1966年、北海道大学文学部卒業、1969年、東京都立大学大学院修了。ロンドン大学・ケンブリッジ大学客員研究員を経て、1977年より法政大学教授。社会学博士(一橋大学)。専攻はイギリス文学、スペイン史。書評家としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

 <関連サイト>

インテリジェンス・ナウ 「お好きなトイレの使用を」-スパイの世界を変える「LGBT」 (春名幹男、フォーサイト、2016年6月23日)
・・ホモセクシュアルであることは隠しているが故に、脅迫の対象となるという弱みがあったが、公式に認めてしまえば弱みにはなり得ないというロジック

(2016年6月29日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

書評 『ジェームズ・ボンド 仕事の流儀』(田窪寿保、講談社+α新書、2011)-英国流の "渋い" 中年ビジネスマンを目指してみる

本の紹介 『交渉術』(佐藤 優、文藝春秋、2009)

「サンダーバード博」(東京・科学未来館)にいってきた(2013年7月17日)
・・登場人物の紅一点であるレディ・ペネロペは「ロンドン・エージェント」

(2014年9月11日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
ぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end