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2010年3月23日火曜日

本の紹介 『鶏と人-民族生物学の視点から-』(秋篠宮文仁編著、小学館、2000)-ニワトリはいつ、どこで家禽(かきん=家畜化された鳥類)になったのか?






ニワトリはいつ、どこで家禽(かきん=家畜化された鳥類)になったのか?

 秋篠宮殿下というと「ナマズの殿下」、という連想があるのではないだろうか?

 実は私も数年前までは、そういう固定観念をもっていた。ナマズの調査のために、ひんぱんにタイにいかれてメコン川で調査している、と。

 ところが、殿下におかれては、主要な研究テーマはナマズからニワトリに移っておられた。このことを知ったのは本書によってである。

 出版されたのは2000年、すでに10年前だが、案外この事実を知らない方が多いのではないかとおもって、あらためて学術書である本書を紹介する次第である。

 テーマは、ニワトリはいつ、どこで家禽(=家畜化された鳥類)になったのか

 殿下はこのテーマを1988年から2年間のオックスフォード大学大学院において、最初はミトコンドリア DNA をもちいた遺伝子レベルの研究から始めている。だが、家禽化のプロセスは自然変異ではなく、人間の手によってなったのではないか、という問題意識から、生物学のアプローチと文化人類学のアプローチを融合した研究を行うに至った。家禽の生息する生態系は、そこに居住する住民の民俗全体から捉えねばならないという考えからである。

 東南アジアのインドネシア、タイ、フィリピンでのフィールドワークをつうじて探求してきた研究成果は、ついに中国雲南省のタイ族居住地域であるシップソンパンナー(西双版納)において・・・・。この続きは直接確かめていただきたい。

 昭和天皇は変成菌(=粘菌)とヒドロ虫今上天皇はハゼの分類学、そして天皇家三代の学問である生物学、その直系の後継者である秋篠宮殿下の研究テーマはナマズと家禽(かきん)。

  『殿様生物学の系譜』(科学朝日編、朝日選書、1991)という本があるが、生物学研究は欧州でも日本でも貴族の趣味として始まった経緯がある。山階鳥類研究所総裁の秋篠宮殿下の場合も、めぐまれた立場にいるといえばそのとおりだが、その環境におぼれず、地道に研究を続けておられる学究であることがうかがわれる。

 本書の最終章に収録された、本書の寄稿者の学者たちとの座談会は、研究の発想もふくめて、全体像を知るうえで興味深い。

 秋篠宮妃紀子殿下による、タイ族の民俗文化にかんする、音楽と舞踊の研究についてのお話もたいへん興味のあるものだ。
 
 ニワトリに関心のある人も、タイをはじめとする東南アジアに関心のある人も、せめて本書は存在だけでも知っておいてほしいものである。できればぜひ手に取って読んでほしい。






<初出情報>

■bk1書評「ニワトリはいつ、どこで家禽(=家畜化された鳥類)になったのか?」投稿掲載(2010年1月8日)

 *再録にあたって字句の一部を修正した。


(バンコク市内の7-11店舗前の軍鶏の像 まさに「鶏と人」! 筆者撮影)


<書評への付記>

秋篠宮殿下と東南アジア皇室外交

 本日(2010年3月23日)、秋篠宮殿下は学習院女子高等科をご卒業されたばかりの長女の眞子様をともなわれて、家禽(かきん)類の調査研究などのため、ラオスへの私的訪問の旅に出発された。

 本来は、タイ王国とラオス人民民主主義共和国の二カ国の訪問の予定であったが、バンコク情勢が不測の事態が発生しかねないので、取りやめとなったのは当然といえば当然だろう。秋篠宮殿下にとってはたいへん残念だろうし、またタイ王国の王室関係者にとっても残念なことだとお察しする。帰国は3月28日とのことだ。

 秋篠宮殿下については、皇孫誕生という皇位継承の面ばかりが強調されて報道されるきらいがあるが、本来は物静かな学者肌の人であり、実際にフィールドワーカーとして、研究者としての業績も顕著なものがある。また、国民に無用な迷惑はかけるべきでないというお考えの持ち主である。

 そんな秋篠宮殿下の研究テーマが、今回取り上げた「家禽」の研究であり、この面での研究成果は画期的なものだといってよい。ひろく日本国民は秋篠宮殿下の研究成果を本書をつうじて知ってほしいものだと思う次第である。

 私的訪問とはいえ、こういった形で秋篠宮殿下が東南アジア皇室外交を行っていただくことは、「東南アジア派」の私からみればありがたい限りである。バンコク情勢が安定化し、タイ王国への訪問がスムーズに実現することを願う。



PS 読みやすくするために改行を増やし一部加筆した。「鶏と人」にかんする写真を1枚くわえた。<ブログ内関連記事>をあらたにくわえて参考記事が簡単に閲覧できるようにした。 (2014年2月1日 記す)。





<ブログ内関連記事>

「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)

タイのあれこれ (10) シャム猫なんて見たことない・・・
・・食用の軍鶏(しゃも)はシャム(=タイ)から日本に伝来したのであった!

書評 『観光(Sightseeing)』(ラッタウット・ラープチャルーンサップ、古屋美登里訳、2007、早川書房 2010 に文庫化)-若手タイ人作家による「英語文学」
・・この小説集に「闘鶏師」(Cockfighter)とういう短編がある。タイ人はほんとうに賭博好き。昔から人気があるのが闘鶏。そんな闘鶏にはまり込んで、財産を食いつぶして家庭を崩壊に追い込む父。そしてそれを見守る娘

『東南アジア紀行 上下』(梅棹忠夫、中公文庫、1979 単行本初版 1964) は、"移動図書館" 実行の成果!-梅棹式 "アタマの引き出し" の作り方の実践でもある
・・タイを出発点にした東南アジアのフィールドワークの記録

タイのあれこれ (15) タイのお茶と中国国民党の残党
・・雲南省から南下した中国国民党の残党はビルマを経てタイに定着

タイのあれこれ (12) カオ・マン・ガイ(タイ料理) vs. 海南鶏飯(シンガポール料理)・・・
・・タイの華人は潮州出身の Overseas Chinese がメインだが、近年は雲南省などからの Over mountain Chinese も増加中。バンコク市内のラチャダ地区には雲南省出身の「新華僑」が多く雲南料理店もある

「地震とナマズ」-ナマズあれこれ 

書評 『皇室外交とアジア』(佐藤孝一、平凡社新書、2007)-戦後アジアとの関係において果たした「皇室外交」の役割の大きさ
・・秋篠宮はタイ王国を中心にアジアをカバー

「石に描かれた鳥たち-ジョン・グールドの鳥類図譜-」(玉川大学教育博物館)にいってきた(2013年1月26日)-19世紀大英帝国という博物学全盛時代のボタニカルアート
・・生物ことに鳥類に最大の関心をおもちの紀宮清子さま(・・秋篠宮の妹)の監修

書評 『日本の血脈』(石井妙子、文春文庫、2013)-「血脈」には明治維新以来の日本近代史が凝縮
・・秋篠宮紀子妃殿下の「血脈」についても書かれている

(2014年2月1日 新規導入)





(2012年7月3日発売の拙著です)








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