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2011年9月26日月曜日

「没後50年・日本民藝館開館75周年-暮らしへの眼差し 柳宗悦展」 にいってきた



 昨日(2011年9月25日)、松屋銀座で開催の「没後50年・日本民藝館開館75周年-暮らしへの眼差し 柳宗悦展」 にいってきた。

 今年2011年は、思想家・作家で「民藝」運動の推進者であった柳宗悦(やなぎ・むねよし 1889~1961)が没して50年、また立ち上げて初代館長を務めた「日本民藝館」の開設 75年という節目にあたる年である。

 展覧会の概要は以下のとおり。

会場:松屋銀座 8階イベントスクエア
会期: 2011年9月15日(木)~9月26日(月)
入場時間: 10:00~20:00 <入場は閉場の30分前まで、最終日17:00閉場>
主催: NHK、NHKプロモーション、日本民藝館
協力: 日本民藝協会
入場料: 一般1,000円 高大生700円日本民藝館

 展覧会の内容紹介の文章を引用させていただこう。

「素朴な器にこそ驚くべき美が宿る」と語った柳宗悦(1889~1961)は、無名の職人による誠実な手仕事を「民藝」(みんげい)と名づけ、沖縄から北海道まで全国各地を巡り、陶磁器・染織・金工・紙などさまざまな分野の中から、魅力的な品々を蒐集しました。
 宗悦の"美"を追い求める情熱は、様々な人々を巻き込みながら大きなうねりとなり、1936年には東京・駒場に念願の日本民藝館を開館。そして、手仕事の復権を目指す民藝運動や数多くの著書を通じて、豊かな日本文化を残すために尽力しました。
 宗悦の没後50年に当たる本年、宗悦が直観により見出した美しい器物、朝鮮時代の工芸、琉球や台湾の衣装や装身具など約250点を一堂に展観し、美の本質を求め続けた柳宗悦の生涯をたどります。
また、宗悦の長男であり、日本民藝館館長もつとめたプロダクトデザイナー・柳宗理(1915-)のデザイン作品や、雑誌『民藝』の表紙デザインも紹介し、父・宗悦、息子・宗理―2人の間に受け継がれたものに迫ります。

 この展覧会の存在は、工芸分野で会社を経営するフェイスブック上の友人から知って、急遽予定に組み込んで訪問することにした次第。

 この展覧会は、百貨店で開催される展覧会でありながら、かなり充実したものでり、行った甲斐があった。松屋銀座での開催はすでに終了してしまったが、この展覧会は日本各地を巡回する予定で、関東では横浜でもかなり長期間にわたって開催される予定なので、見逃した方はぜひ足を運んでいただければと思う。

●神奈川県・横浜そごう美術館(2011年10月22日~12月4日)
●大阪歴史博物館(2012年1月7日~2月29日)
●鳥取県立博物館(2012年4月7日~5月20日)
●広島県・奥田元宋小由女美術館(2012年5月29日~7月8日)


「没後50年・日本民藝館開館75周年-暮らしへの眼差し 柳宗悦展」はぜひ行くべき!

 さて話を「没後50年・日本民藝館開館75周年-暮らしへの眼差し 柳宗悦展」に戻すと、この展覧会は没後特集にふさわしく、柳宗悦がどういう人で何をやった人なのか、具体的な蒐集物をつうじて展示したもので、その全貌を簡単に知る上では絶好の展覧会である。価値あるものだといってよい。

 ここで、柳宗悦がどういう人であったのか、展覧会の説明文を紹介しておこう。

柳 宗悦(やなぎ・むねよし/通称 そうえつ)(1889-1961)
1910年学習院高等学科卒業の頃に文芸雑誌『白樺』の創刊に参加。1913年に東京帝国大学哲学科を卒業後、朝鮮陶磁器の美しさに魅了され、朝鮮の人々に敬愛の心を寄せる一方、無名の職人が作る民衆の日常品に美に眼を開かれた。1925年に民衆的工芸品の美を称揚するために「民藝」の新語を作り、1936年、日本民藝館が開設されると初代館長に就任。以後ここを拠点に、数々の展覧会や各地への工芸調査や蒐集の旅、旺盛な執筆活動などを展開していった。1957年には文化功労者に選ばれた。

 柳宗悦の名前を知らなくても、「民芸」というコトバは知らない人はいないだろう。「民芸品」の「民芸」である。ただ、柳宗悦に言及する場合は、「民芸」ではなく「民藝」を使うべきようだ。

 この「民藝」というコトバを作った人、そして「民藝」運動をプロモートしたのが、柳宗悦である。

 「民藝」は柳宗悦自身が記しているように、英語では folk crafts である。「民藝」については、「日本民藝協会」のウェブサイトに「民藝とは何か」というページがあるので参照していただきたい。

 手仕事による工藝品、ハンドクラフトである。名もなき職人たちがつくった工芸品。日常生活に美をさりげなく実現してきた手作りの工芸品。芸術家(アーチスト)ではなく、職人(アルチザン)。柳宗悦には『手仕事の日本』(岩波文庫、1985 初版単行本 1948)というタイトルの著書もある。

 お茶碗や湯飲み、皿、甕(かめ)や壺といった焼き物から、布や織物、衣服、染め物、湯釜、机、タンス、机といった生活用品全般から、大津絵、木喰仏(もくじきぶつ)、など柳宗悦の蒐集は広範囲におよび、地理的範囲も日本だけでなく朝鮮半島や台湾といった植民地、また沖縄や北海道の先住アイヌまで独自の文化をもった地域をひろくカバーしている。

 署名や銘の入る芸術家の作品ではなく、作品に署名は入らないが日常生活のなかに美をつくりだす職人たちの手仕事に着目した柳宗悦は、いわゆる「白樺派」から出発した人だ。だが、武者小路実篤など白樺派の文学者たちが忘却の彼方に消え去っても、おそらく柳宗悦は今後も長く生き続けることだろう。

 それは、具体的に目に見える「民藝」というカタチをつうじて精神(ココロ)を読み取ることができるからだ。たとえ文学作品は時代に合わなくなって読まれなくなっても、生活用品を使わなくなることはない。むしろ、ライフスタイルの見直しという観点から、手仕事への注目はますます高まりつつあるからでもある。値段は高くても価値あるものを持ちたいという欲求は、潜在的に多くの日本人が共有しているものだ。


 「民藝」の蒐集と、あらたな時代にむけての創作のプロモートが、多くの賛同者の協力によって成し遂げられてきたことも大きい。

 柳宗悦の「民藝運動」に共鳴した実作者たちには、板画の棟方志功、染色工芸家の芹沢圭介、陶芸家のバーナード・リーチ、富本憲吉、濱田庄司といった人たちも名を連ねている。和食用の食器として人気の高い益子焼も、濱田庄司の存在抜きには語れない。

 倉敷の大原美術館に、これら「民藝運動」にかかわった陶芸家の作品が多く所蔵されているのは、倉敷紡績(現在のクラボー)の大原孫三郎が「民藝運動」のパトロンだったこともあるようだ。大原美術館は言うまでもなく、じつは日本民藝館もまた大原孫三郎の寄付によることを今回知った。現在風にいうならフィランスロピーでるが、まさに日本語の陰徳というべき、実業家によるすばらしい行いである。


柳宗悦の「民藝運動」と思想との関係

 浄土系思想の研究者で実践者である阿満利麿氏の『柳宗悦-美の菩薩-(シリーズ民間日本学者)』(阿満利麿、リブロポート、1987)には、次のような一節がある。

・・(前略)・・<宗教的人間>であることが柳宗悦の本領なのである。宗教がどういうものであるか熟知した上で、宗教をさらに美の形で追求しようとしたのである。
・・(中略)・・「民芸」という言葉は、今日ではすっかり定着したが、それだけにまた柳宗悦が考えていた意味は忘れ去られてしまっている。「民芸運動」は柳にとっては、もともと「美の宗教」の実践運動であったのだ。
・・(中略)・・既成宗教に飽きたらず、そうかといって、自らの内部に沸きあがってくる宗教的要求に忠実であろうとする人々にとって、柳宗悦の展開した「宗教」はきっと訴えるところがあるだろう。(P.8~9 原文ママ 太字ゴチックは引用者=わたし)


 柳宗悦には『南無阿弥陀仏』という著書もあり、法然や親鸞で終わらずに一遍まで視野に入れている。

 念仏三昧の人生をおくった在家の「妙好人」(みょうこうにん)にかんする文章は、鈴木大拙のものとあいまって読む価値のあるものだ。浄土系の念仏と生活の美である「民藝」が、柳宗悦においては一つのものとなるのであった。

 鈴木大拙がその最晩年に、自分の蔵書を中心とした「松ガ丘文庫」を柳宗悦に託したことは当然といえば当然だったのだろう。柳宗悦は、学習院時代に英語教師であった鈴木大拙の教えを受けているのであった。

 柳宗悦がさまざまな文章のなかで繰り返し強調しているのが「直観」である。

 「民藝」の美を見極めるのは「直観」。銘が入っているとか、識者が推奨するとかいった「知識」に惑わされることなく、自分がいいと思った「直観」を大事にする姿勢。これには大いに励まされるものがある。自分の直観の判断に従うこと、これがじつはもっとも確かなことなのである。もちろん、見る眼そのものは、つねに磨いておかねばならないのであるが。

 日本人にとっての「美」はただたんに美しいという感情を表すだけでなく、行為における倫理を意味し、また無意識レベルにおける宗教でもある。

 真善美のなかで「美」に重点がおいてきた日本人の、この「美」というすぐれた徳が今後も研ぎ澄まされることこそが、世界のなかで日本と日本人が独自性をもって生き抜いていくための必須条件であると強く思うのである。

 その意味において、「愛と美の法則」を説く美輪明宏だけでなく、「美の法門」を説く柳宗悦の名前もともに記憶しておいていただきたいと思うのである。


ついでに日本民藝館にも初めて立ち寄ってみた

 ついでに足を伸ばして東京・駒場の日本民藝館まで行ってみた。いままで一回もいったことがなかったらからだ。

 最寄り駅は、京王井の頭線の駒場東大前駅。出口を間違えて、東大教養学部の正門前にいってしまった(笑)東大も本郷の方はなんども行っているが、駒場東大は正門をくぐったのは初めての経験であった。駅を降りるといきなり東大駒場であるということは、初めて実体験したことになる。

 日本民藝館は駅から徒歩7分くらい、閑静な住宅街のなかでも、さらに時代物のなかなか渋い建物である(下の写真)。

 展示物も「民藝」品が中心で、陳列そのものがなかなか渋い味を出している。今回訪問したときは朝鮮の民藝の展示の特集が行われていた。 

 銀座松屋で「柳宗悦展」を観覧している際に目にとまった雑誌『民藝』のバックナンバーの表紙をみて、ああそういえば、だいぶ前のことだが飛騨高山の「日下部民藝館」にいったなあ、と思い出した。『民藝』を何冊か無料でいただいたからだ。

 駒場の日本民藝館もまた、二階建てのつくりで古い日本家屋である。現在ではかえってぜいたくなライフスタイルとなっているかもしれないが、かつての日本人のフツーの生活を想像するにはふさわしい空間である。

 機会があればまた訪れてみたいと思わせる建物と展示内容であった。







<参考文献>

 比較的容易に入手できる柳宗悦の仕事で「民藝」関係のもの

『民藝とは何か』(柳宗悦、講談社学術文庫、2006 単行本初版 1941)
『手仕事の日本』(柳宗悦、岩波文庫、1985 単行本初版 1948)
『民藝四十年』(柳宗悦、岩波文庫、1984 単行本初版 1958)










<関連サイト>

日本民藝館
・・東京・駒場にある大原孫三郎が資金提供した日本民藝館は建物自体が渋くて趣があるもの。また内部の展示そのものにも美的感覚が生きている

大原美術館(倉敷)
・・大原孫三郎がフィランスロピーの一環として地方文化向上のため設立した美術館。コレクションリストには、工芸作品として、バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎、濱田庄司、芹沢銈介、そして棟方志功の名前があがっている。ぜひご確認いただきたい

飛騨高山の「日下部民藝館」
・・国の重要文化財に指定されている日下部民藝館


<ブログ内関連記事>

書評 『オーラの素顔 美輪明宏のいきかた』(豊田正義、講談社、2008)-「芸能界」と「霊能界」、そして法華経
・・「愛と美の法則」を説く美輪明宏は熱烈な法華経信者、「美の法門」を説く柳宗悦は一遍上人の念仏三昧を理想としたが、実践者と思想家の違いはあれ、日本人の美意識が倫理と宗教の両面にかかわるものであることを示していた点が興味深い

「法然と親鸞 ゆかりの名宝-法然上人八百回忌・親鸞聖人七百五十回忌 特別展」 にいってきた (2011年)

書評 『法然・愚に還る喜び-死を超えて生きる-』(町田宗鳳、NHKブックス、2010)

「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡」展(東京国立博物館)にいってきた(2013年)

ひさびさに倉敷の大原美術館でエル・グレコの「受胎告知」に対面(2012年10月31日

書評 『井筒俊彦-叡知の哲学-』(若松英輔、慶應義塾大学出版会、2011)-魂の哲学者・井筒俊彦の全体像に迫るはじめての本格的評伝
・・井筒俊彦は若き日に柳宗悦の影響を受けている

「ルドルフ・シュタイナー展 天使の国」(ワタリウム美術館)にいってきた(2014年4月10日)-「黒板絵」と「建築」に表現された「思考するアート」
・・真善美のなかでは「美」をもっとも重視したシュタイナーが遺した「思考するアート」

(2014年2月22日、4月16日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)







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