
さて、本日はハロウィーン(Halloween)ですね。米国では子どもたちが "Trick or Treat ?" といいながら、家々を回ってキャンディやお菓子をもらう行事として知られています。
"Trick or Treat ?" とは、「キャンディーくれなきゃ、いたづらしちゃうぞ」とでも訳したらいいでしょうか。まあ、決まり文句として覚えておけばいいでしょう。
なんと、カボチャならぬ柿までがハロウィーン仕様に(上掲の写真)!
鳥の仕業でしょうか? さすがにくりぬいた柿のなかにロウソクは入ってません(笑)。ランタンではありませんから。もちろん、鳥が意図してやったのではないでしょうが、自然界はときどき思いもつかないことをしてくれるものですね。
気をつけて見ていると、いろんなものが目に飛び込んでくるようになります。観察力が鋭くなるのか、偶然に対する感受性が強くなるのか。意図しなくても、自然とおもしろいものが向こうから飛び込んでくるようになります。目的意識が脳内で無意識レベルに沈殿しているのでしょうか?
もちろん、「意図せざる偶然のもの」であっても、気がついて活かすことができるかは本人次第。偶然性を積極的に活かす能力が、発明や発見に際して大きく働いていることはノーベル賞受賞者の談話を読むと実感されるものですね。
■ハロウィーンはケルト起源-アメリカ伝来のお祭りは「日本化」するプロセスの途上にある
ハロウィーンは、アメリカ伝来の季節の行事ですが、日本でも定着しつつありますね。最初はお祭り好きな在日外国人や若者から、そしていまでは幼稚園や保育園の年中行事にまでなっています。
クリスマスやバレンタインデーほどではないですが、もうかなり定着してきているようです。子どもたちの成長とともに、日本社会に根付いていくのでしょう。
もともとケルト起源のこのお祭りは、キリスト教以前の祭がキリスト教のベールをまとっているに過ぎないので、キリスト教の教義とは本来なんの関係もないようです。その意味では、日本で受け入れられたのも問題なしとしておきましょうか。ケルトは日本でいえば縄文人に該当する、ヨーロッパの先住民です。
クリスマスだって、いまの日本ではキリスト教と結びつける人はほとんどいないですし、おそらくハロウィーンも時間がたてばアメリカという異文化的要素も消えて「日本化」していくのでしょうね。現在はまだアメリ文化そのものといった感じで、わたし自身はまだ違和感を感じていますが、「日本化」していくなら、それもまた一興でしょう。
大学学部時代は、いまは亡き阿部謹也教授のゼミナールで 「ヨーロッパ中世史」 を専攻していましたので、ときどき集まるゼミテン(・・ドイツ語のゼミナリステンの略)の集まりは、ビジネスとはほとんど関係なく、利害関係がまったくありませんから楽しいものです。
先日の会合で、同席していたケルト学の専門家に質問したところ、キリスト教の「万聖節」は、もともとはケルトの農耕儀礼ですが、ケルト地帯のフランス北部ブルターニュでは、アメリカから逆輸入される形でハロウィーンが行われているとか。巨大カボチャでつくる ジャック・オ・ランタン(Jack-O'-Lantern)はアメリカ生まれのようですね。
これを書いていてふと思い出したのは、そういえばケルトの歌姫エンヤ(Enya)に、カボチャではなく、日本のボンボリのような吊し灯籠(=ランタン)に火入れしている写真をジャケットにした CDシングル があったな、と。探したらでてきたのが On My Way Home という 1996年発売の欧州版ミニアルバム。なぜ、日本のボンボリなのかは定かでなかったのですが、買ってから 15年たったいま初めて意味がわかりました!

ところで、おなじく会食会で同席していたカトリック司祭によれば、カトリックではハロウィーンはやらない、とのこと。10月31日の深夜から11月1日にかけて「万聖節」よりも、その翌日11月2日の「万霊節」(=死者の日)のほうが重要だからとのことです。万霊節とは、すべての死者のためにミサを開いて祈る日のことです。
このように、ハロウィーンをめぐっては、何でもありの日本人はさておき、キリスト教でもカトリックとプロテスタントでは、受け入れに際してかなりの温度差があるようです。
ところで、歌姫エンヤはアイルランド人。ケルト人の国であり、かつカトリック国でもあるアイルランドの状況はどうなのか、気になるところです。
■「仏教国が資本主義化」すると、何でもありの状況になるのだろうか?-伝統行事との関係は?
タイ人も日本人と同様に、クリスマスやバレンタインデーを祝うようになっています、もちろんキリスト教抜きの習俗としての受け入れですね。とはいえ、タイ人と日本人とでは受け入れの時期が異なるため、受け入れの仕方についても違いがあるような気がしないでもありません。
「仏教国が資本主義化すると、何でもありの状況になるのだろうか?」、日本人がタイ人の行動をみているとそんな仮説めいたことも考えたくなってきます。
しかし、いまだタイではハロウィーンは習俗化していないようです。おそらく、バンコク在住の英米人のあいだではパーティが行われているのでしょう。バンコクでは、西洋人と日本人とでは遊び場所が完全に棲み分けだれているのでわかりません。
今年は大洪水となって被害の拡大しているチャオプラヤ川流域ですが、雨期が終わるこの時期は例年はロイ・カトーンという灯籠祭の季節です。この伝統的な祭が現在でも主流のため、タイ人のあいだにはハロウィーンが入り込めないのかもしれません。タイ人にとっては、灯籠は玄関前に飾るものではなく、水に流すものですから。
日本でもお盆やお正月は、最近でこそ形骸化しつつあるとはいえ、まだまだ伝統行事としての性格が強く保たれています。伝統行事と時期が重なる祭については、外国から伝来した新たな祭も、旧来のものにとって変わるのは簡単ではないようです。
この時期の祭礼であるお神楽などとは、完全に棲み分けがされていますが、もしかすると、もともと農耕儀礼であったハロウィーンが神社の祭礼と融合していくなんてことになるかもしれません。
貪欲に外来文化を取り入れてきた日本人が将来どのような取捨選択をするのか、たいへん興味深いものがあります。
<関連サイト>
Enya Official Site(英語)
・・エンヤはヒーリング・ヴォイスの世界的なアイリッシュ・ミュージシャン
Enya - On My Way Home (video)(YouTube)
・・このビデオのなかに、日本のボンボリのような吊し灯籠(=ランタン)に少女たちが火入れする幻想的なシーンを、帰郷する旅の途中のエンヤが回想するシーンがでてくる
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