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2013年1月23日水曜日

書評 『「普天間」交渉秘録』(守屋武昌、新潮文庫、2012 単行本初版 2010)-政治家たちのエゴに翻弄され、もてあそばれる国家的イシューの真相を当事者が語る


小泉政権時代の普天間交渉秘録である。

著者の守屋武昌氏は元防衛事務次官。防衛庁(当時)の天皇などというニックネームがつけられていたが、収賄容疑で逮捕され週刊誌ネタになっていたことも、いまはむかしの話だろうか。

新潮社は「国策捜査」で有名になった佐藤優氏の著作を出して作家デビューさせているが、出版という形で貴重なドキュメントを後世に残す役割を果たしていることは大いに評価したい。

本書もまた当事者でなければ書けないドキュメントである。政治家たちのエゴに翻弄され、もてあそばれる国家的イシューの真相を当事者が語ったもので読みごたえがある。

文庫版の帯には、小泉純一郎元首相の推薦文が掲載されている。

「一気に読んだ。
当時の記憶が昨日のようによみがえってきた。
政治の現場がいかにオドロオドロしいものか。
あまりにも生々しすぎる」

小泉元首相はこのメモワールのなかにも何度もでてくるが、その「ブレのなさ」には敬意を表したくなる。こういう上司にまかされたら優秀な部下であれば意気に感じるというものだろう。同じことは竹中平蔵氏も語っていることだ。

守屋氏もまた防衛庁事務次官として辣腕を振るったのだが、それでも解決することなく現在に至っているのが普天間交渉である。

文庫本帯の裏には、またこうも書かれている。

「守屋さん、沖縄では大きな仕事は二十年かかるんですよ。石垣空港の時だって、年月がかかっても誰も困らなかった。今回はまだ七年です。たいしたことないじゃないですか」
私は呆れるしかなかった。
「それなら、沖縄の県民の前でそう言いなさい」
そう沖縄首脳に伝えた。(本文より)

沖縄の政治家たちの「引き延ばし」や「二枚舌」、そこには誠実な姿勢はまったく感じられない。だが、沖縄に基地が集中する以前、その他の日本の自治体も似たような姿勢を示していたことが守屋氏から語られる。要は条件闘争に持ち込んで、とにかく取れるうちには取れるものはなんでも取るという交渉姿勢である。

このメモワールには、当事者としての守屋氏の言動だけでなく、永田町の政治家や沖縄の政治家の言動が再現されており、じつになまなましい。

民主党政権下で迷走した普天間問題であるが、当時の自民党の政治家たちの振る舞いや発言をつぶさに知ることのできる貴重なドキュメントとしても面白い。自民党政権が復活したいま、その言動を思い浮かべながらニュース報道を見ると人物判断の大きな材料となる。

わたしはこの本を国内出張中に読んだのだが、あまりにも面白かったので紹介したいと思った次第だ。移動中の細切れ時間を利用する読書なので、小泉さんのように「一気に読んだ」とはならなかったのが残念だが。

なお、巻末に付録として収録されている「将来に向けての日本の防衛」は、守屋氏の防衛論である。きわめて筋のとおった議論なので飛ばさずに読んでほしいと思う。







目 次

はじめに
第1章 在日米軍再編へ
第2章 「引き延ばし」と「二枚舌」
第3章 十年の時を経て
第4章 防衛庁の悲願
第5章 不実なのは誰なのか
第6章 普天間はどこへ行く
あとがき
将来に向けての日本の防衛

著者プロフィール  

守屋武昌(もりや・たけまさ)
1944(昭和19)年、宮城県塩竈市生まれ。東北大学法学部卒。1971年、防衛庁入庁。装備局航空機課長(FS-X担当)、長官官房広報課長(カンボジアPKO広報担当)、防衛局防衛政策課長(阪神淡路大震災対応)などを経て、1996年、内閣審議官として普天間問題に係わる。長官官房長、防衛局長を務めた後、2003年、防衛事務次官。2007年8月に防衛省を退職した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

(「将来に向けての日本の防衛」 所収の地図)




PS2 「米国の安全保障環境認識と米軍配置状況」

報道によれば、沖縄の基地問題解決にメドがついたようだ。沖縄県知事がようやく「辺野古埋め立て」を承認するという(2013年12月25日)。自民党政権が長期化する見通しのもと、基地負担軽減策を評価したからだという。

おそらくそれだけでなく、「いまそこにある危機」を前にして、沖縄県知事としてもこれ以上反対をつづけることは国益に反するという世論の突き上げを感じているためだろう。沖縄県民も中国の脅威を体感するようになってきている。

上記の「米国の安全保障環境認識と米軍配置状況」という図に編みかけで示されている「不安定の弧」のなかに、沖縄はまさにすっぱりと含まれているのだ。

今回の沖縄県知事の決断によって、国防体制が強化される見通しがついてきたのはじつに喜ばしい。しかし、沖縄県民がふたたび戦争の犠牲になることがないよう、日本は国家全体の意志として「いまそこにある危機」に対峙しなければらならないのだ。

もちろん戦争がいつ起こってもおかしくないという覚悟を国民一人一人がもつこともまたきわめて重要である。 (2013年12月26日 記す)



<ブログ内関連記事>

「沖縄復帰」から40年-『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』(佐野眞一、集英社、2008)を読むべし!

書評 『誰も語らなかった防衛産業 増補版』(桜林美佐、並木書房、2012)-国防問題を国内産業の現状から考えてみる

書評 『日米同盟 v.s. 中国・北朝鮮-アーミテージ・ナイ緊急提言-』(リチャード・アーミテージ / ジョゼフ・ナイ / 春原 剛、文春新書、2010)

書評 『語られざる中国の結末』(宮家邦彦、PHP新書、2013)-実務家出身の論客が考え抜いた悲観論でも希望的観測でもない複眼的な「ものの見方」

書評 『凶悪-ある死刑囚の告発-』(「新潮45」編集部編、新潮文庫、2009)

本の紹介 『交渉術』(佐藤 優、文藝春秋、2009)






(2012年7月3日発売の拙著です)





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