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2015年1月26日月曜日

「害に対して害で応じるな」と、ムハンマドは言った-『40のハディース-アッラーの使徒ムハンマドの言行録』より


ここのところ「イスラーム国による日本人人質」関連ニュースでよく登場するのが、日本最大のモスクである東京・ジャーミイ。代々木上原(渋谷区)にあります。トルコ文化センターでもあります。
  
イスラームの信者ではない「一般見学者」にも開かれているモスクですが、以前見学したときにもらったのが、この『40のハディース-アッラーの使徒ムハンマドの言行録』(・・上掲写真)。

『ハディース』(Hadith)の説明は以下のとおりです。『40のハディース』に掲載されている説明です。

ハディースとは預言者ムハンマドの言行を記録したもの。それは聖クルアーンを解説、補完するもので、預言者ムハンマドの死後、クルアーンとは別に編纂された。この "40のハディース" はその中から抜粋したものである。

まず『クルアーン』とは、日本で『コーラン』といっているものの正式名称。アラビア語で書かれており、翻訳はあくまでもその一解釈という位置づけです。

とくに注意していただきたいのは、ムハンマドは「預言者」であって「予言者」ではないこと。日本語としてはまぎらわしいですが、意味がまったく異なります。「預言者」(prophet)の「預言」とは、「預金」の「預」と同様に「預かる」という意味「預言者」とは、神のコトバを預かった人のことです。神のコトバはアラビア語で預かったので、『クルアーン』(=コーラン)もアラビア語なのです。

イスラームでは、先行する一神教としてユダヤ教のモーセやキリスト教のイエスも「預言者」として位置づけていますが、ムハンマドを「最後の預言者」としているのです。

預言者ムハンマドのことばとして、こんな文言が書かれています。「40のハディース」のなかから、さらに3つを抜粋して紹介します。

「人々に慈悲をかけない者にはアッラーも慈悲をかけないであろう」
「善へと導き示す者は、善を行ったようなものである」
「害を与えることも、害に対して害で応じることも禁じられている」

さて、どうでしょう? アラビア語で唯一神を意味するアッラーを除けば、伝統的な日本の倫理道徳とさほど変わりはないのではないでしょうか。生活全般を律する宗教の倫理的側面が表現されているといっていいのでしょう。

それぞれ『ハディース』における出典は以下のとおりです。

「人々に慈悲をかけない者にはアッラーも慈悲をかけないであろう」は、「ムスリム、フェダール66:ティルミズ、ブッル16」、 「善へと導き示す者は、善を行ったようなものである」は、「ティリミズ、イリム14」、 「害を与えることも、害に対して害で応じることも禁じられている」は、「イビンマージュ、アフカーム:ムヴァッターアクディヤ31」。

イスラーム過激派の人たちは、これらの預言者ムハンマドのコトバを自覚していないのでしょうか? ムスリム(=イスラーム教徒)ではないわたしも、そんなことを考えてしまいます。

最後にもう一つムハンマドのコトバを引用して締めくくっておきましょう。

「豊かさとは富の多さではない。豊かさとは心の満足(知足)によるものである」(ブハーリ、リカータ15)








参考のために、中公文庫版によって「ハディース」の項目一をすべて一覧しておこう。
 
「ハディース」の項目一覧

啓示が神の使徒に下されたことの次第
信仰の書
知識の書
浄めの書
洗滌の書
月経の書
砂による浄めの書
礼拝の書
礼拝の時刻
アザーン
金曜日の書
危急の際の礼拝
二大祭の書
奇数回のラクア
雨乞いの祈り
日蝕
コーラン朗誦中の跪拝
礼拝の短縮
夜の礼拝
メッカとメディナのモスクにおける礼拝の功徳
礼拝中してもよい行為
礼拝の際の不注意
(以上は、中公文庫版のⅠに所収)

葬礼の書
喜捨の書
巡礼の書
小巡礼
妨げられた巡礼
狩などを行ったことの償い
メディナの真価
断食の書
ラマダーン月の夜の礼拝
カドルの夜の功徳
勤行
売買の書
貸与
買い戻し
賃金
負債の委任
保証
委任
種蒔とその契約
水の契約
借金、返済、差しとめ、破産
言い争い
無くしたもの
悪業と強奪
共有
担保
奴隷の解放
解放の契約
贈与とその功徳
ウムラーとルクバー
(以上は、中公文庫版のⅡに所収)

証言
調停
契約の条件
遺言の書
聖戦
五分の一の規定
人頭税
創造の始め
預言者達
傑出した者達
預言者の教友達の美点
(以上は、中公文庫版のⅢに所収)

援助者たちの功績
遠征
コーラン解釈の書
慈悲深く慈愛あまねき神の御名において コーランの功徳

(以上は、中公文庫版のⅣに所収)

婚姻の書
離縁の書
養育の書
食物
アキーカ
屠られた動物と獲物
犠牲
飲みもの
病人
治療
衣服
正しい身の処し方
他人の家に入る許しを求めること
祈りの書
人生における恵み
(以上は、中公文庫版のⅤに所収)

予め定められること
誓約
償い
遺産の割当て分
刑罰
血の代償
背信者と反抗者に悔い改めを求めること、および彼らと戦うこと
強制
策略
夢の解釈
誘惑
権威
望み
慈悲深く慈愛あまねき神の御名において 唯一人の提供する情報
慈悲深く慈愛あまねき神の御名において 神の書および預言者の慣行を拠り所とすること
神の唯一性
(以上は、中公文庫版のⅥに所収)


(2021年4月6日 情報追加)



<関連サイト>

東京ジャーミイ・トルコ文化センター(公式サイト 日本語)

*なお、「40のハディース」は、上記のサイトからpdf版をダウンロード可能
https://tokyocamii.org/wp-content/uploads/2019/11/2014.08.01_40-Hadith.pdf
(2020年2月20日 記す)




<ブログ内関連記事>

「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)にいってきた & 東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")見学記

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)-共通のアイデンティティによって結ばれた「見えないネットワーク」に生きる人たち
・・日本におけるムスリムとモスクにかんするフィールドワーク

日本のスシは 「ハラール」 である!-増大するムスリム(=イスラーム教徒)人口を考慮にいれる時代が来ている

本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り
・・『ハディース』についても、ややくわしく解説しておいた

書評 『緑の資本論』(中沢新一、ちくま学芸文庫、2009)-イスラーム経済思想の宗教的バックグラウンドに見いだした『緑の資本論』
・・イスラームの経済倫理について。「資本の自己増殖」を未然に防ぐ装置として、辣腕の商人であった預言者ムハンマド自身によってイスラームにビルトインされた「利子禁止思想」、この経済思想的な意味を考えることは「イスラーム金融」とは何かを考える上で必要であり、イスラームにとって経済とは何か、商行為とは何かを根本的に考える上で大いに参考になる」

『論語と算盤』(渋沢栄一、角川ソフィア文庫、2008 初版単行本 1916)は、タイトルに引きずられずに虚心坦懐に読んでみよう!
・・渋沢栄一の「義利一致」論は、ある意味ではイスラームの教えに近いという側面をもっているのではないだろうか?



 
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