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2015年6月6日土曜日

「フィリピン投資フォーラム」に参加してきた(2015年6月4日)-人口1億人を突破したフィリピンの成長性と将来性は高い


「フィリピン投資フォーラム」に参加してきた(2015年6月4日)。日本からの直接投資の誘致を目的としたフォーラムである。今回のフォーラムには、国賓として来日したベニグノ・アキノ大統領と、その経済閣僚が参加している。

会場は、赤坂見附のホテルニューオータニ。主催は、日本貿易振興機構、日比経済委員会、国際機関日本アセアンセンタープログラム駐日フィリピン共和国大使館、一般財団法人フィリピン協会。後援は、外務省、経済産業省、日本商工会議所、中小企業基盤整備機構。主催者も後援者も、それぞれそうそうたる面々である。日本側の気合いも十分といえる。

参加申し込みは1,000人を超えていたというので、日本側のフィリピンの関心度合いの高さがうかがわれる。

今回この投資フォーラムに参加することにしたのは、なんといってもベニグノ・アキノ大統領をナマで見たかったからだ。アキノ大統領のリーダーシップのもとで政治的安定と経済成長が実現しているが、最近は、海洋進出を活発化させ、スプラトリー諸島で無法ぶりを発揮している中国海軍の動きに毅然とした態度で NO を突きつけていることでも知られている。

アキノ大統領は、独裁者と化していたマルコス大統領「ピープル・パワー革命」という市民革命で倒した中心人物で、その後、大統領となったコラソン・アキノ氏の長男である。1960年生まれで現在54歳の独身。

ベニグノ・アキノ大統領は基調講演を行ったが、早口の英語によるスピーチは立て板に水のようで、きわめて迫力あるものだった。投資誘致にむけての熱意と気迫が十分に伝わってくるだけでなく、高い経済成長を背景にした強い自信がうかがわれた。

(基調講演を行うアキノ大統領 Channel Newsasia の映像よりキャプチャ)


このほか、経済閣僚によるプレゼンテーションが行われた。いずれも流暢な英語である。

経済区庁(PEZA)長官 リリア  B.  デ リマ氏(経済学博士)による「フィリピン経済特区において拡大する投資機会」(Invest in the Philippines: A Look at Growing Investment Opportunities in Economic Zone)
基地転換庁 アーネル・パシアノ D. カサノヴァ 長官・CEOによる「クラーク・グリーンシティ・プロジェクト」(Clark Green City Project)
観光大臣 ラモン・ ヒメネス氏による「観光産業における投資機会」(It's More Fun to do Business in Philippines)


リリア・デ リマ博士にかんしては、いまから7年前にASEANセンター主催の投資ミッションで訪問した際に、少人数のミッション参加メンバーとお会いしている。マレーシアの経済大臣もそうであったが、フィリピンのデリマ長官も在任期間が長い女性である。政策の一貫性と継続性を担保する存在であるといえる。


フィリピンに注目すべき理由

投資フォーラムの内容をすべて紹介はしないが、とくに印象に残ったのは以下の諸点である。

まずは、2014年に人口が1億人突破(!)したこと。日本や中国を筆頭に、タイも含めてアジア各国が「少子高齢化」問題に直面しはじめているなか、フィリピンは人口増加だけでなく、若年人口も多く、労働人口という点においては、いわゆる「人口ボーナス」を享受できる点は、きわめて大きなアドバンテージであるといえる。フィリピンは、アジアでもっとも高齢化が遅い国とされている。

そして、高い経済成長率である。2009年はリーマンショックのあおりを受けて1.15%と低下したが、2000年以降は4%台以上を維持しており、2013年には7.18%を記録している(・・2014年は6.10%)。高い成長を維持しつづけていることに注目すべきだろう。

日比経済委員会・代表世話人が、日産自動車株式会社 代表取締役副会長の志賀俊之氏であることも注目すべき点である。いったんはフィリピンから撤退した日産自動車だが、2013年にふたたび進出しているのである。豊富な労働人口は、IT分野やコールセンターなどのサービス分野だけではなく、製造業の分野でも有望であることを示している。

東南アジアでは、シンガポールやマレーシア、タイなどが、いわゆる「開発独裁」によって「産業近代化」を推進したことは「常識」である。フィリピンが経済停滞を長くつづけていたのは、シンガポールの建国の父で国父であったリー・クアンユー氏や、国民から敬愛されるタイのプミポン国王のような、「国民統合のシンボル」となるような求心力を欠いていたことも要因の一つであろう。

ことし(2015年)1月のローマ教皇フランシスコ一世による公式訪問がフィリピンで大歓迎されたことも記憶に新しいが、カトリックが人口の7割を占めるフィリピンでは、バチカンに匹敵する求心力はない。

(聖母マリア像 セブ島の国際空港にて筆者撮影)

さきにコファンコ財閥出身のアキノ大統領が許漸華という中国名をもつ華人系であるのにかかわらず、中国の国際法を無視した無法な海洋進出に毅然とした態度で NO を突きつけていることに言及したが、中国の脅威をフィリピン国民のナショナリズム喚起につなげているのは、意図的なものもあると考えていいだろう。この延長線上に、国民国家としてのフィリピンの成長があると考えるべきか。

近代日本がそうであったように、ナショナリズムによる国民の一体化が産業近代化への大きな推進力となることを十分に承知したうえで、共通の外敵を設定することによる求心力向上を狙って、中国に抗議するという姿勢をしめしているのではないかと推察しているが、いかがであろうか。


アジア開発銀行(ADB)の本部がフィリピンの首都マニラにあることの意味

フォーラムでは言及されていなかったが重要な点を一つ追加しておこう。それは、アジア開発銀行(ADB)の本部がフィリピンの首都マニラにあることである。

いま中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)との関係で注目をあびているアジア開発銀行(ADB)だが、世界銀行のアジア版として、1966年にアメリカと日本の主導で設立されたのがADBである。ベトナム戦争の最中であり、中国は毛沢東による「文化大革命」が始まった年である。

太平洋戦争の日米最大の激戦地がフィリピンであるが、ダグラス・マッカサーとその父アーサー・マッカーサーとも縁の深い、因縁の地がフィリピンなのである。日本ともアメリカとも、きわめて密接な関係にあるのがフィリピンである。そのフィリピンの首都マニラにADBの本部が置かれていることのことのシンボリック意味について、よく考えておくべきだろう。冷戦構造のなか、米国の反共戦略の一環としての位置づけであった。

かつてアメリカの植民地であったフィリピンは、アメリカ企業のコールセンター産業が栄えていることでわかるように、「準英語圏」といってもいい存在である。製造業でも、マネージャーだけでなく、ワーカーと英語でコミュニケーションがとれる点は、フィリピンの大きなアドバンテージである。これは、タイやベトナムでは臨んでもかなわない点だ。

2015年にはASEAN経済統合が実行されるが、とくに「人口ボーナス」という点からいって将来的なさらなる成長が期待されるフィリピンには、大いに注目する必要がある。






<関連サイト>

フィリピン投資委員会(BOI:Board of Investment)(英語)

2015年6月フィリピン投資フォーラム講演資料 (国際機関ASEANセンター)



<ブログ内関連記事>

フィリピン(Philippines)とポーランド(Poland)、この「2つのP」には2つ以上の共通点がある! (2010年)
・・カトリック人口が7割を超えるフィリピンだが、「カトリックは経済成長の阻害要因」というマックス・ウェーバー以来の一般常識は疑ってかかるべきだろう

修道院から始まった「近代化」-ココ・シャネルの「ファッション革命」の原点はシトー会修道院にあった
・・プロテスタンティズムと起業家精神との親和性を説いたマックス・ウェーバーの仮説には、そもそもほころびがある

書評 『国力とは何か-経済ナショナリズムの理論と政策-』(中野剛史、講談社現代新書、2011)-理路整然と「経済ナショナリズム」と「国家資本主義」の違いを説いた経済思想書
・・ネーション・ステート(=国民国家)とナショナリズムの重要性を肯定的に論ずる

書評 『ナショナリズム-名著でたどる日本思想入門-』(浅羽通明、ちくま文庫、2013 新書版初版 2004)-バランスのとれた「日本ナショナリズム」入門 ・・アジアのなかでいち早く近代化をなしとげた日本におけるナショナリズム

書評 『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中島岳志、中公新書ラクレ、2002)-フィールドワークによる現代インドの「草の根ナショナリズム」調査の記録
・・現代インドにおけるナショナリズム

映画 『イメルダ』 をみる
・・フィリピン戦後史そのもののイメルダ・マルコス

ベトナムのカトリック教会
・・アジアのカトリック国はフィリピンだけではない。韓国とベトナムもまたそうである

書評 『ギリシャ危機の真実-ルポ「破綻」国家を行く-』(藤原章生、毎日新聞社、2010)
・・多島国ギリシアとフィリピンの共通性について言及

書評 『「海洋国家」日本の戦後史』(宮城大蔵、ちくま新書、2008)-「海洋国家」日本の復活をインドネシア中心に描いた戦後日本現代史
・・「市場としての中国」を失った敗戦国日本は、冷戦構造のなか、米国の反共戦略の一環として「市場としての東南アジア」での経済活動を許され、「戦後賠償」というひも付き援助によって、日本企業の東南アジア進出を後押ししてゆく。




(2012年7月3日発売の拙著です)










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