(海の方向に面している「海上山」千葉寺の正門)
千葉寺(ちばでら)をはじめて訪問した。たまたま京成電鉄の千葉寺駅で下車する用事があり、そのついでに千葉寺まで足を伸ばしてみたのだ。
千葉県に住んでいるので、千葉寺球場という名前はよく耳にしてきたこともあり、球場の前につく「千葉寺」とはなにかが気にはなっていたのである。だが、千葉市の住民ではないので、千葉寺についてはほとんどまったく知らなかった。
千葉寺を訪れたのが平日だったこともあり、境内は静かで誰も人がいなかった。スマホのナビにしたがって歩いたので、正門からではなく墓地のある側面から境内に入っていったのだが、歩いていくうちに目に入ってきたのは巨樹である。
とにかく大きい。巨樹である。巨大な樹木である。巨大なイチョウの木である。大銀杏(おおいちょう)である。といっても大相撲ではない。
(大銀杏は千葉県指定の天然記念物 筆者撮影)
近くに寄ってみると、「千葉県指定 天然記念物」という石碑が建っている。「国の天然記念物」ではないが、千葉県下では有数の大銀杏であることは間違いないようだ。
遠くから見ても巨大だが、近くに寄って見れば、さらにその巨大さが実感される。千葉県市川市の本八幡にある葛飾八幡宮の「千本いちょう」よりもすごい。百聞は一見にしかず、である。
仏教寺院の境内にあるが、注連縄(しめなわ)のかかった巨樹は、まことにもってご神体ともいうべき存在だ。
(幹周りの太さが驚異的な千葉寺の大銀杏 筆者撮影)
となると、この大銀杏がいつ植えられたのかが気になってくる。そのためには、千葉寺そのものの創建について知る必要があるわけだ。
そこで調べてみると、千葉寺は千葉市中央区にある真言宗豊山派の寺院で、山号は海上山。本尊は十一面観音であり、坂東三十三観音霊場第29番札所、だそうだ。
千葉寺は「せんようじ」ともいうらしい。浅草寺と書いて「せんそうじ」と呼ぶようなものか。海上山という号があるのは、高台に鎮座しているこの寺院が海の方向に建っているからだろう。ご詠歌には「千葉寺へ 詣る吾が身も たのもしや 岸うつ波に 船ぞうかぶる」とあるので、かつては寺から海が見えたのだろう。千葉港の埋め立ての進んだ現在では、残念ながら千葉寺から海は見えなかったが・・・。
wikipediaの記述には以下のようにある。
寺伝によれば、709年(和銅2年)この地を訪れた行基が十一面観音を安置したのに始まり、聖武天皇の命により千葉寺と称したという。1160年(永暦元年)に堂宇を焼失している。千葉氏の居城である千葉城(亥鼻城)に近いことから千葉氏の祈願所となった。山門は1841年(天保12年)に再建。観音堂は1828年(文政11年)に再建したが、第二次世界大戦で空襲で焼失、1976年(昭和51年)に再建された。
創建は奈良時代の8世紀初頭とある。この大銀杏は行基菩薩が手植えしたという伝説があるが、その真偽は不明である。たとえそれが伝説だとしても、樹齢千年だとしても不思議ではないような大銀杏だ。それにしても空襲さえ乗り越えてサバイバルしたというのがすごいではないか!
(千葉寺の本堂)
ご開帳のときではないので本尊の十一面観音を拝観することはできなかったが、わたしとしてはお寺や仏像そのものよりも、「千葉県指定天然記念物」の大銀杏を拝観できただけでもおおいに意義のある訪問となった。
なにごとも「百聞は一見にしかず」である。この大銀杏を見るためだけでも訪問する価値のあるお寺だと思う。
千葉寺(千葉県千葉市中央区千葉寺町161) (関連サイト)
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(2016年3月17日 情報追加)
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