If Your Cat Could Talk
「あなたのネコがしゃべれたら・・・」
このタイトルのとおり、飼いネコについての本だが、コトバをもたないネコに代わって、ネコの生態と習性について語り尽くしたこの本は、ビジュアルも豊富なソフトカバーの大型本(・・寸法: 23.2 x 18.2cm)で役に立つだけでなく、豊富に収録された写真とそのキャプションを読んでいるだけでもたいへん面白い。
フォーグル博士のネコの本は多数翻訳されているが、本書の日本語版があるのかどうか、膨大な数にのぼる飼いネコの本を精査したわかではないので、私は寡聞にして知らない。
フォーグル博士はカナダ生まれで英国在住の動物行動学者、日本でもイヌとネコ関連の本が多く翻訳されているようだ。
私はネコは飼ったことはないが、ノラネコの観察を最近のマイブームとしている人間である。ネコの行動と生態はほんとうに面白い。
ネコは人間と違ってコトバはもっていないので深い思考はできないが、感じることができるだけでなく、考えることも、意思表示のためのコミュニケーションは可能である。ネコどうしとネコと人間のあいだで、鳴き声、それに表情やしぐさなどの身体言語で意思疎通を行っている。
この本には、わたし好みのキジトラネコ(・・ちなみにトラネコは tabby)の写真が多いのが気に入った。表紙のキャッツアイ(=ネコ眼)の写真もキジトラネコ。
キジトラネコのストライプ模様は、ネコの起源であるヤマネコの模様を継承している。基本的なストライプ模様は紀元前から同じパターン、恐るべきは遺伝なり。
タイトルの If Your Cat Could Talk 「あなたのネコがしゃべれたら・・・」は英文法的にいえば仮定法過去(Subjunctive Past)。実際にネコにはコトバがないのでしゃべればいから、もしネコがしゃべれたら、こんな感じだろうか、といった含みをもった表現である。If Your Cat Could Talk, it would be like this.
ネコを擬人化して情緒的な取り上げ方をすることはいっさいなく、あくまでもネコをネコとして扱う姿勢がたいへんよい。
私はこの本を興味に任せてパラパラ読んでいて、動物学関連の英単語をあらたに多数覚えた。たとえば、「ネコの」を意味する形容詞は feline、ノラネコは feral cat(・・homeless cat でも通じる)、ネコの獲物としてのネズミなどのゲッシ類は rodent などなど。
何度もでてくる単語はウェブ上の辞書で調べてみる。この労を惜しまなければ、何歳になっても新しい単語は覚えるものだ。本の中身はネコ好きなら、おおよそのところは類推できるハズ。
まさに、何ごとも「好きこそものの上手なれ」である。
ネコ好きな人にとっては、英語の勉強にもなるのでぜひ薦めたい一冊である。
目次 Table of Contents
Bruce Fogle, If Your Cat Could Talk: A Language Course For Humans, Dorling Kindersley, UK, 2007
『あなたのネコがしゃべれたら:人間のためのネコ語コース』(2007)
1. What is a cat ? (ネコって何?)
2. Starting a family. (家族をつくる)
3. What cats do. (ネコの行動)
4. Being a cat. (ネコである、ということ)
5. Living with us. (人間と暮らす)
本の中身をみたい人は、amazon.com(米国)で見るとよい。 If Your Cat Could Talk をクリック。
著者プロフィール
ブルース・フォーグル(Dr Bruce Fogle)
1944年、カナダのオンタリオ州で生まれ。獣医学博士、英国立獣医協会会員。動物行動学の国際的権威。ロンドン動物園で獣医学を研修。現在、ロンドンで動物病院を開業するかたわら世界中で講演活動を行うほか、ラジオ・テレビ出演、新聞・雑誌の執筆活動など、幅広く活躍中。また、犬と猫の生態、生理、歴史、育て方に関する著作は、日本でも数多く紹介されている。
(2012年7月3日発売の拙著です)
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