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2010年12月1日水曜日

月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2011年1月号 特集 「低成長でも「これほど豊か」-フランス人はなぜ幸せなのか」を読む


米国型か、フランス型か、それが問題だ!

 月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」(講談社)2011年1月号は創刊5周年特大号、特集は「低成長でも「これほど豊か」 フランス人はなぜ幸せなのか」

 提携先の「クーリエ」がフランスの雑誌であることの特色が最大限に活かされた特集になっている。その意味でも、読み応えのある内容になっているだけでなく、フランスでの独自現地取材記事も多いのが特徴だ。

 「クーリエ・ジャポン」もここのところ米国発の新しいものの考え方の特集がずっと続いていたので、その意味では米国とは対極にあるフランスを特集した意味は非常に大きい。


低成長時代に入って久しいフランスから、日本は何を学ぶべきか

 低成長時代に入って久しいフランスと日本とが、何が共通していて、何が違うのか?たしかに、人口 6,500万人のフランスは、人口の少ない北欧より日本に近いという指摘はうなずける。日本もいずれその水準に人口規模が縮小していくことは明かだ。

 特集の「フランス、幸せの新しいかたち」でも指摘されているように、福祉も自助努力という米国型に代表される「小さな政府」を目指すのか、それともフランスに代表される欧州型の福祉国家という「大きな政府」を目指すのか、これは今後の日本にとっての究極の選択肢となる。

 基本的に自由競争は原則としながらも、セーフティネットの規模と質をどのように設計するか、これはつまるところ、経済政策における「再分配」にかかわる問題であり、テクニカルな面もさることながら、不幸せを減らすための政策にかんする政治経済の思想的側面にまで踏み込まねばならない問題である。

 フランスの付加価値税(V.A.T.)は、現在 19.6%である。付加価値税は、日本でいえば消費税のようなものだが、税収に占める付加価値税の割合は 46%と日本の 2倍にあたるようだ。
 税の公平負担という観点からすれば、個人も法人も所得税を下げて、付加価値税のウェイトを上げるやり方は正しい。付加価値税(消費税)は脱税がきわめて難しいからだ。

 米国型とフランス型も双方ともに、メリットとデメリットがあるので一概には決めかねるものがあるのだが、最低限の生活が国民に保証されない社会が不健全であることは言うまでもない。

 日本流の折衷型になる可能性も高いが、それでは何ごとも中途半端に終わってしまう危険がなくもない。

 とりあえず、米国に比べると、日本での認知度があまり高くないフランスの状況も、どんなものであるかは知っていかねばなるまい。


フランス人の「身の丈にあった」ライフスタイル

 フランス人の倹約ぶりや、恋愛や出産、子育てなどについては、これまでにも日本では研究者や女性ライターを中心に、雑誌記事や書籍としてかなりの量が出版されてきた。
 
 成熟社会とは、「近代化」が終わった後の社会、ちょっと難しくいえば後近代(ポストモダン)ということになる。
 現在の日本がまさに直面している若年層の就職難、この問題はフランスではすでに1970年代から経験済みで、その意味では日本が学ぶべきものも多い。
 若者の失業率の高いフランスで、パリ郊外のバンリューで大規模なデモと破壊活動が発生したことは記憶に新しい。

 しかしフランス語にはなんといても joie de vivre (ジョワ・ドゥ・ヴィーヴル:生きる喜び)という表現がある。所得による格差のゆがみを是正するための「再分配政策」によって、低所得者でも切り詰めて節約すれば最低限以上の生活を送ることが可能なフランスでは、当然のことながらフランス人はこれを実行するためには、日々の暮らしを質素に切り詰めることも厭わない。清貧といってもいいライフスタイルもある。

 こういったライフスタイルの実例を読んでいると、自分自身も含めて、まだまだ生活改善の余地があると感じるのである。

 贅沢ではないが、シンプルで精神的に豊かな生活、この方向は目指したいものであるし、もともと日本人にはこちらのほうが合っているような気がしなくもない。


フランスに行きたしと思へども・・

 フランス人はなぜか日本文化が好きなようだが、日本人とフランス人ほど対極にある人間類型も少ないのではないかという点については、以前ブログでも「特攻」について書いているうちに、話はフランスの otaku へと流れゆく・・・と題した文章を書いている。
 
 ある意味、日本人とフランス人は、反対物の一致(coincidentia oppositorum)といってよい存在なのかもしれない。
 現在の日本では、かつてフランス文化とフランス語がもっていた輝きはないかもしれないが、であるがゆえにまた面白い。この点については、Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)と題してブログにも書いている。

 もうひさしくパリにもフランスにもいってないが、付録の赤表紙の小冊子「パリ、極みのビストロ 33軒」でパリ気分を味わってみるにもいい。かつてのレストラン中心の外食文化が、ビストロ中心の外食文化に変化しているようだ。

 湾岸戦争(1990年)にともなう景気悪化と不安がもたらした外食文化の変化、フランス人の「身の丈にあったライフスタイル」は、日本でいえば前近代の「足を知る」(知足)というライフスタイルも想起させる。

 フランス人の毎日の食事の記事も興味深いものがある。
 なんといっても、食文化こそ、文化を構成するもっとも重要な要素の一つであるから。

 「人生を楽しむ」ことの意味を、もう一度考えてみたいものだ。




<関連サイト>

「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)


<関連書読書案内>

『フランスはなぜ恋愛スキャンダルがないのか』(棚沢直子/草野いづみ、角川文庫、1999)

『日仏カップル事情』(夏目幸子、光文社新書、2005)

『パリの女は産んでいる-"恋愛大国フランス" に子供が増えた理由-』 (中島さおり、ポプラ文庫、2008)

『なぜフランスでは子どもが増えるのか-』(中島さおり、講談社現代新書、2010)

『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』(横田増生、洋泉社、2009)

『フランス父親事情』(浅野素女、築地書館、2007)



<ブログ内関連記事>

「特攻」について書いているうちに、話はフランスの otaku へと流れゆく・・・

Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)

秋空の下、BBQを楽しむ joie de vivre(生きる喜び)
・・このコトバは英語に訳して joy of living としてもいいのだが、なんかニュアンスがこぼれ落ちてしまう。


『Sufficiency Economy: A New Philosophy in the Global World』(足を知る経済)は資本主義のオルタナティブか?-資本主義のオルタナティブ (2)・・タイ国王が提唱する「足を知る経済」

書評 『ゼロから学ぶ経済政策-日本を幸福にする経済政策のつくり方-』(飯田泰之、角川ONEテーマ21、2010)
・・とくに所得「再分配」の議論に要注目





(2012年7月3日発売の拙著です)






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