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2013年9月9日月曜日

滝川クリステルがフランス語でプレゼンした理由

(「お・も・て・な・し」のプレゼンをする滝川クリステルさん)

2020年のオリンピック開催都市が東京に決定した。まずは一件落着といっていいだろう。

今回は最終段階で日本国の政治のトップである安倍首相みずからプレゼンをすると聞いていたので、結果についてはぜんぜん心配はしていなかった。さすがに最終決戦の相手がまさかイスタンブールとは想定していなかったが・・・

安倍首相のプレゼンは、ゆっくりとしたスピードで明瞭な発音の英語でたいへん評価できるものであった。トップが国際的な場で公的な発言をするということは、事実上の公約であるから、その重みはその他の政治家や役人の比ではない。

だが、今回のプレゼンでもっとも戦略的であったなと思わされたのは、リーアナウンサーの滝川クリステル氏のフランス語によるプレゼンである。英語ではなくフランス語だということに意味がある。

今回の勝利は、プレゼンもさることながら事前のロビー活動がおおきくモノをいったようだし、すでにネットでは滝川氏のフランス語プレゼン効果について指摘がされているので屋上屋に重ねることになるが、あえて一言さらに付け加えておこう。


オリンピックの第一言語は英語ではなくフランス語

オリンピック(IOC)の第一言語はフランス語なのである。なぜなら、オリンピックはフランスのクーベルタン男爵(1863~1937)が提唱した運動である。だから、現在にいたるまでフランス語が支配的なのである。

孫氏の兵法に「敵を知り己を知らば百戦危うからず」とあるが、まさにIOCの意思決定メカニズムやキーワードを知りつくしたうえで精密に設計し構築されたプレゼンであったといえよう。

「ロンドン・オリンピック 2012」開会式の「ヘイ・ジュード」-英国のソフトパワーここにあり! と題したブログ記事に書いた内容を再録しておこう。2012年のロンドンオリンピック関連ネタだ。

お気づきになった方もいるかと思いますが、開会式で使用されたコトバは、まずフランス語でつぎに英語でした。

ロンドンは英国の首都ですから英語が使用されていますが、英語圏以外では、フランス語、英語、現地語の順番になるようです。

近代オリンピックの提唱者は、よく知られているようにクーベルタン男爵ですが、この人はフランス人でした。スポーツの世界は基本的に現在でも欧州が仕切っていますが、近代オリンピックは英語支配の世の中である現代世界でも、いまでもフランスの息がかかっているというわけなのです。

スポーツの世界はまだまだ欧州が支配する世界。これが世の中の現実というものだ。

近代スポーツの大半は英国で生まれたが(・・例外はバレーボール、バスケットボール、ベースボールなどが米国生まれ)、オリンピックはフランスが仕切っているのである。サッカーもまた欧州勢が中心にある。


フランス語によって解決している国際問題もある

フランス語が近代オリンピックの第一言語であることはその成り立ちにもとづくものであるが、実際にフランス語が第一言語であることによって、微妙な国際政治問題がうまい具合に解決されている例を紹介しておこう。

それは日韓関係のことである。

英語だと韓国は Korea だが、フランス語なら Coreé du sud(=南コリア) である。英語のアルファベットだと K は J のあとになるが、フランス語のアルファベットだと C の Coreé は J の Japon の前になる。ちなみに北朝鮮は Coreé du nord(=北コリア)となる。

つまりフランス語だと韓国のほうが日本よりも先になるという話だ。

ただそれだけの話であるが、これくらいのことで韓国人が溜飲を下げてくれるなら安いものではないか。日本人からすれば、どうでもいいようなことではあるのだが。

このほか国際スポーツにおいては中華民国(=台湾)など国名でもめている問題もある。誰もがスポーツに政治を持ち込みたくはないだろうが、現実に問題が存在する以上、なんらかの解決策を検討するのは人間の知恵というものだ。

「名を捨てて実を取れ」というわけでもないが、ややこしい日韓関係もフランス語を使用すれば期せずして問題は解決しているという例である。


「英語至上主義」では読み誤る

わたしは大学時代に第二外国語としてフランス語を選択したのだが、その理由は高校時代に外交用語は英語とフランス語だという記事を読んだからである。いまでは英語の支配力がさらに拡大しているが、フランス語はまだまだ影響力が消えたわけではない。

とくにアフリカの旧植民地を中心にまだまだフランス語圏は多い。アジアではフランスの旧植民地であるベトナムでもカンボジアも英語化がすすんでいるが、世の中がすべて英語だと思い込んでいては、おおいに読み違えることもある。

日本人が国際社会で使用する言語は英語が前提になるが、国際社会の現実は「常識」としてアタマのなかにしっかりといれておくべきなのである。

もちろん、フランス語でプレゼンをやればそれでOKというほど世の中は甘くないのも事実ではあるが・・・



<関連記事>

【東京五輪】世界をメロメロにした滝川クリステルの「オ・モ・テ・ナ・シ」スピーチ(ガジェット通信 2013年9月9日)
・・このほか多数あり

「オリンピックはこうして決まった」(NHKクローズアップ現代 2013年9月9日放送の文字全文)




<ブログ内関連記事>

『恋する理由-私が好きなパリジェンヌの生き方-』(滝川クリステル、講談社、2011)で読むフランス型ライフスタイル

映画 『最後のマイ・ウェイ』(2011年、フランス)をみてきた-いまここによみがえるフランスの国民歌手クロード・フランソワ

映画 『ノーコメント by ゲンスブール』(2011年、フランス)をみてきた-ゲンズブールの一生と全体像をみずからが語った記録映画

月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2011年1月号 特集 「低成長でも「これほど豊か」-フランス人はなぜ幸せなのか」を読む

「特攻」について書いているうちに、話はフランスの otaku へと流れゆく・・・
・・日本とフランスの関係をサブカルチャーから考えてみる。フランスと日本は、知らず知らずのうちにお互い影響を与え合っている

『ある明治人の記録-会津人柴五郎の遺書』(石光真人編著、中公新書、1971)は「敗者」の側からの血涙の記録-この本を読むことなく明治維新を語るなかれ!
・・陸軍草創期はフランス人教官によってフランス語で士官教育が行われていた

Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)

書評 『マイ・ビジネス・ノート』(今北純一、文春文庫、2009)
・・フランス企業で活躍してきた著者によるビジネス書。論理志向のつよいフランス社会が実感的に理解できる



書評 『W杯に群がる男たち-巨大サッカービジネスの闇-』(田崎健太、(新潮文庫、2010 単行本初版 2006)





(2012年7月3日発売の拙著です)





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