(内側からみた櫻木神社の正門扉 筆者撮影)
すでに桜の季節は終わっている、というよりもいまは秋。秋の桜は秋桜。秋桜と書いてコスモスと読ませることもあるが、今回はその話題ではない。文字通り春に咲く桜のことだ。
千葉県野田市に櫻木神社(さくらぎ じんじゃ)という神社がある。たまたま仕事で何度か野田市を訪れることがあり、その際に櫻木神社の存在を知った。地元の住民ではないので存在を知らなかったのだが、櫻木神社という名称に興味があって訪れてみた次第だ。ことし2015年の春のことである。
残念ながら桜の時期はすでに終わって閑静なたたずまいを見せていたが、櫻木神社はその名称どおり、すべてが桜で統一されて明確なメッセージを発信していた。
正門には金色の五輪の桜花(おうか)、布にも提灯にも桜花、なんと絵馬もピンク色の桜花の形で、さらには駐車場のカラーコーンも桜花、である! 見事なまでに桜花づくし、なのだ。
「花は桜木、男は武士」というフレーズが日本語にはあるが、その桜木そのものが神社の名称になっているのは珍しい。
櫻木神社にはウェブサイトがあるので、掲載情報にしたがって、どんな神社なのか概要を見ておこう。
(櫻木神社の正門前 筆者撮影)
由緒は以下のとおり。9世紀の創建という古社である。創建者の藤原嗣良は、歌人としても知られていた右大臣・藤原冬嗣(ふじわら の ふゆつぐ)の三男とあるが、詳しい伝記は不詳。
社記によれば平安朝の仁寿元年(西暦851年)に、大化の改新で活躍した大職冠藤原鎌足公五代の後胤で、冬嗣公三男の嗣良公が、この地に居を移した時、この処に桜の美しい大木があり、公がこれの木のもとに倉稲魂命を祀り、その後武甕槌命の神を祀ったのが始まりであると伝えています。 (・・中略・・) 現存する宮司家社家文書によれば、この地は古くに「桜木村」と呼ばれ、後に「桜台村」となり、桜が咲き誇る美しい里だったと考えられています。桜の宮と称へられている所以です。そして今もなお広大な御神徳により、広くこの地の開発の守護神として御神慮を示され、また野田市最古のお社としてその歴史を重ね、参詣する人みな朝に祈り、夕に感謝の誠を捧げてまいりました。
(桜花が迎えてくれる 筆者撮影)
倉稲魂命は、穀霊としての福神であり、富貴、財運にかかわる神様です。また、豊宇気比売神(とようけひめのかみ:伊勢神宮外宮の祭神)と同一神と言われる食物全般の神様でもあります。人々の生命を守り育て、家を富裕にしてくれる祖神であり、生活の衰運にかかわる大切な神様です。桜の「さ」は稲霊、「くら」はその神が座す場所、当神社由来の名称は稲霊との関わりと桜の木のもとに祀られたことに起因しています。 武甕槌命は、国護りに活躍した神として知られ、我に強さを与え給ふ神として、また強さは祈る人に与えられるものと考えられ、勝運・開運の守り神と言われています。 (・・中略・・)当社は桜の開花に因み開運・縁結びのご利益があると言われています。
「桜の「さ」は稲霊(いなだま)、「くら」はその神が座す場所」とあるように、桜は稲作と大いに関係ある。かつての生業の中心であった稲作農業にふさわしい神社である。
境内に奉納されている絵馬は、ピンク色の桜花をかたどっている!
(桜花をかたどった絵馬! 筆者撮影)
神社であるから年間の祭礼はいくつかあるが、なんといっても例大祭は桜が咲く時期の毎年4月17日に行われるという。
大祭毎年4月17日に行われる恒例の大祭。境内には、遅咲きの桜が咲き誇り、年に一度この日は御本殿の御扉が開かれての厳粛な祭典が斉行されます。特に当日の参拝者には、御本殿下までの参拝が許されます。また、式後の催しには、 "鎮守の杜コンサート" や "醤油利き味大会"(賞品多数)等が行われ、終日賑わいを見せています。その他 "桜の宮まんじゅう" がこの日に限り売られます。
さすが野田は世界最大の醤油メーカーであるキッコーマンの企業城下町であるだけに、「醤油利き味大会」なるものがあるという。例大祭限定の「桜の宮まんじゅう」というのは食べてみたいものだ。
(なんと駐車場のカラーコーンも桜花の意匠)
櫻木神社は、年始もさることながら、ぜひ桜の季節に訪れたいものでありますね。
(昼なお暗い神さびた参道)
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(2015年10月17日 情報追加)
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