マンガを読むときは、マンガばかり読んでいたいという気持ちがある。
それにもっとも適しているのは、続きもののマンガを第1巻から最終巻まで一気読みすることだが、ジャンルの異なるマンガを脈略なくまとめて読むのも悪くない。
前者が「通時的」(=ディアクロニック)な読みだといえば、後者は「共時的」(=シンクロニック)な読みといってもいいだろう。同時代の異なる諸相をマンガをつうじて横断的に読むのである。
というわけで、ことし2015年の年末の一日をマンガを読んで過ごした。
まずは、続きものの最新刊から。
●『重版出来⑥』(松田奈緒子、小学館、2015)
●『きのう何食べた?⑪』(よしながふみ、講談社、2015)
●『いちえふ③』(竜田一人、講談社、2015)
●『孤独のグルメ②』(谷口ジロー、扶桑社、2015)
それぞれザックリとしコメントをつけておこう。
『重版出来⑥』はマンガ出版の世界を描いた「仕事マンガ」の最新刊。このマンガはなかなか続きそうだ。
『きのう何食べた?⑪』はゲイカップルが主人公の「料理マンガ」。もうすでに11巻。変わらないようで、ゆっくりと確実に変化している人生を描いている。
『いちえふ③』は福島第一原発の内部を現場作業員の視点で描いた「仕事マンガ」。だが、なんとこの第3巻でひとまず終了というのは残念。作者がフィールドワークできない以上、仕方ない。
『孤独のグルメ②』は、「食事マンガ」だが、「飲食もの」ではない。なぜなら主人公は下戸だから酒を飲まない。この第2巻は、なんと18年ぶり(!)の続刊。この機会に第1巻も読み返してみたが、18年のブランクをまったく感じさせないのはプロの技だなあ。
つぎに、まったく知らないマンガをネット上の評判だけを頼りに読んでみた。
●『ねじの人々①』(若木民喜、小学館、2015)
●『流転のテルマ①』(蔵西(くらにし)、講談社、2014)
『ねじの人々①』(若木民喜、小学館、2015)は「哲学マンガ」。こういうジャンルができてきたというのは面白い。意外と面白いので哲学入門にはいいかも。
『流転のテルマ①』(蔵西(くらにし)、講談社、2014)は、本格的なチベットものマンガ。これはじつに面白い。つづけて2巻と3巻も読みたくなった。作者の蔵西(くらにし)は、チベット大好き人間のようだ。もちろんチベットの漢字表記の西蔵を逆さにしたペンネーム。ことし最大の収穫かな?
こんなふうに脈略なくマンガを読むのもよいものだ。マンガ読むときは、マンガばかり読んでいたいからね。
<ブログ内関連記事>
書評 『仕事マンガ!-52作品から学ぶキャリアデザイン-』(梅崎 修、ナカニシヤ出版、2011)-映画や小説ではなくなぜ「仕事マンガ」にヒントがあるのか?
『重版出来!①②③④⑤~』(松田奈緒子、小学館、2013~)は、面白くて読めば元気になるマンガだ!
マンガ 『きのう何食べた ⑩』(よしながふみ、講談社、2015)-50歳台になっても自分で料理してスタイルを維持しつづける主人公
マンガ 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 ①』(竜田一人、講談社、2014)-廃炉作業の現場を作業員として体験したマンガ家による仕事マンガ
■マンガの全巻一気読み
マンガ 『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ、講談社漫画文庫、1998) 全16巻 を一気読み
マンガ 『20世紀少年』(浦沢直樹、小学館、2000~2007) 全22巻を一気読み
『取締役 島耕作』 全8巻を一気読み
(2012年7月3日発売の拙著です)
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