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2025年9月13日土曜日

『象徴天皇の実像 ―「昭和天皇拝謁記」を読む』(原武史、岩波新書、2024)が面白い。 「人間的な、あまりに人間的な」昭和天皇の肉声のダイジェスト版

 


 「昭和天皇拝謁記」とは、初代宮内庁長官をつとめた田島道治氏が残した詳細な記録である。1949年(昭和24年)から4年10か月にわたり昭和天皇との会話を詳細に記録したものだ。 

「人間的な、あまりに人間的な」といいたくなるような昭和天皇その肉声が聞こえてくるようだ。そんなことも発言しているのか、そんなこと口にしていいのか、という発言まで記録されているのだ。 

「昭和天皇拝謁記」は、2021年に岩波書店から全文が公刊されているが、全7巻もあるのでさすがに読むのはためらわれる。そこで、ダイジェスト版というわけではないが、天皇研究の第一人者である原武史氏のものを読んでみたわけだ。 

約5年間にわたる発言をテーマ別に整理しているが、もちろん鉄道オタクである著者のテイストが随所に反映されている。どういうテーマで整理されているかは、「目次」を一覧すればわかるだろう。 


序章 『昭和天皇拝謁記』とは何か 
第1章 天皇観 
第2章 政治・軍事観 第3章 戦前・戦中観 
第4章 国土観 第5章 外国観 
第6章 人物観1―皇太后節子(さだこ)
第7章 人物観2―他の皇族や天皇 
第8章 人物観3―政治家・学者など 
第9章 神道・宗教観 
第10章 空間認識 
終章 『拝謁記』から浮かび上がる天皇と宮中 


第1章から5章までは、日本現代史そのものにかかわるものだ。 

大日本帝国憲法下の天皇と、日本国憲法下の天皇の位置づけの違いにかんしては、昭和天皇は十分に認識していなかったことが浮かび上がってくる。まあ、それは無理もないだろう。40歳を過ぎた「人間」の考えなど、そう簡単に切り替えができるものではない。 

なんといっても、第6章から8章までの昭和天皇による人物観が興味深い。 

大正天皇の皇后であり、昭和天皇にとっては母親であった貞明皇后こと皇太后節子(さだこ)との確執がとくに印象的だ。グレートマザーとして、昭和天皇に重くのしかかっていた存在だったのだ。また、弟宮たちへの感想も辛辣である。皇国史観に対しても批判的であったこともわかる。 

さらに「第9章 神道・宗教観」も興味深い。

昭和天皇は、キリスト教に親近感を感じていたのである。国民が想っているよりも、皇室とキリスト教との関係が深いことを知っておく必要がある。これはけっして戦後に始まったものではない。 

そもそも初代宮内庁長官をつとめた田島道治氏自身、新渡戸稲造の弟子で、内村鑑三の薫陶を受けた人物である。さまざまな事情があって田島氏はキリスト教徒にはならなかったものの、昭和天皇の子ども時代の養育係や歴代の侍従にキリスト教徒がすくなからずいたことも知っておく必要があろう。 

1962年生まれの著者は、わたしとは同年代にあたるが、政治観についてはだいぶ異なるものがある。とはいえ、昭和史を知るためには、このダイジェスト有用である。一度は目を通しておいたほうがいいだろう。 


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著者プロフィール
原武史(はら・たけし)
1962年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材。東京大学大学院博士課程中退。東京大学社会科学研究所助手、山梨学院大学助教授、明治学院大学教授、放送大学教授を経て、明治学院大学名誉教授、放送大学客員教授。専攻、日本政治思想史。著書、『昭和天皇』(岩波新書、司馬遼太郎賞受賞)など多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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