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2021年3月1日月曜日

書評『死にゆく人に寄り添う ー 医療と宗教の間のケア』(玉置妙憂、光文社新書、2019)-新型コロナ対策だけでなく、死にゆく人の「スピリチュアル・ケア」でも台湾が先行している!


 

著者は、看護師でかつ僧侶。子どもの難病治療のため、みずから看護師資格を取得し、その後、ガンの再発で入院を拒否して「在宅」での介護を選択した夫を「自然死」で見送る。 

その体験が、第1章「死に向かうとき、体と心はどう変わるのか」に詳しく記述されている。著者は、このプロセスを「着地態勢」と表現しているが、看護師として寄り添った冷静で医学的な観察と知見、身近な存在を見送ることの感情の揺れが、この貴重な記述を生み出している。 

配偶者を「自然死」で見送ったあと、「現世の仕事は終えた」という気がして、迷いなく出家を決意、神仏の導きかわからぬが、高野山で200日の修行を完遂し真言宗の僧侶となって現在に至る。看護師で僧侶という希有な存在(・・現在ではそうではなくなりつつあるのかもしれない)の先駆者的存在となったわけである。 


■スピリチュアルケアで先行する台湾

そんな著者が実践する「スピリチュアル・ケア」が本書のテーマだが、この分野では台湾がはるかに先行しているようなのだ。

著者も毎年のように台湾にいって研究しているらしい。 2020年の新型コロナ対策での台湾の対応が素晴らしいの一語に尽きることは言うまでもないが、生きている人の命を救うことだけでなく、死にゆく人の「スピリチュアル・ケア」においても、台湾が日本のはるか先を行っているとは! 

もちろん、日本仏教と戒律を厳格に守る台湾仏教との違いはあるが、医療と宗教(*台湾の場合は仏教)との連携が見事にとれている台湾には驚くばかりだ。 


■実践的な内容

実践的な内容の本である。本人と家族が「在宅死」を望んでいても、病院に入院させようという圧力は強い。そんな周囲の声のかわし方についても触れられている。いわば「世間」との対処の仕方である。 

新型コロナウイルス感染症の第3波のなか、2021年の「第2次非常事態宣言」で顕在化したのが「病床不足」であることは周知のとおりだが、病床不足によって「在宅死」が主流となる可能性も高いそのときに備えて、本書は必読書というべきだろう。 

少なくとも、私はこの本を読んで良かったと思っている。死ぬことが怖くなくなるだけでなはない、死にゆく人の気持ちに寄り添い、きちんと見送るための心得にもなるからだ。 


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目 次 

まえがき
第1章 死に向かうとき、体と心はどう変わるのか
 1. 死にゆく人の体と心に起きること
 2. 大切な人の死に直面した人の心に起きること
 3. 在宅で亡くなったあとにすること
第2章 看護師の私が僧侶になったわけ
第3章 死にゆく人の心に寄り添う
第4章 生きていく人の心に寄り添う
第5章 医療と宗教が交わる場
 1. 古来、僧侶は医療者だった
 2. ホスピスとスピリチュアル・ペイン
 3. 僧侶が心のケアを担う台湾の看取り事情
あとがき
参考文献


著者プロフィール
玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)
看護師・看護教員・ケアマネジャー・僧侶。東京都中野区生まれ。専修大学法学部卒業。夫の “自然死” という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。高野山真言宗にて修行を積み僧侶となる。現在は、現役の看護師として小岩榎本クリニックに勤めるかたわら、院外でのスピリチュアルケア活動を続ける。「一般社団法人介護デザインラボ」の代表として、子どもが“親の介護と看取り”について学ぶ「養老指南塾」や、看護師、ケアマネジャー、介護士、僧侶が学ぶ「スピリチュアルケアサポーター養成講座」を開催。さらに、講演会やシンポジウムなど幅広く活動している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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2021年1月26日火曜日

書評『在宅ひとり死のススメ』(上野千鶴子、文春新書、2021)-認知症になっても「在宅ひとり死」は可能!

 

この本は、やさしく書かれているがデータを駆使した社会学の本でもある。自分の生き方そのものを研究テーマにしているわけだ。現在72歳の社会学者である上野氏は、「孤独死」という表現には違和感を示して、「在宅ひとり死」を提唱している。

わたくし事であるが、昨年2020年4月に父が亡くなってから、母も「おひとりさま」となったわけだが、その後も住み慣れた自宅で過ごしている。息子である自分は同居していない。お互いそれがいちばんいいと思っている。現在のところ認知上の問題はなさそうだ。 


母は、最後は介護施設に移るといっているのだが、上野千鶴子氏の「おひとりさまの老後」シリーズの最新の本を読むと、かならずしも最期を施設で迎える必要はなさそうだ。しかも、認知症になっても在宅死は問題ないのだと。 

というのは、著者によれば、介護保険制度20年の歴史で、ずいぶん現場には経験が蓄積されているからだ。しかも、かつては「ぼけ」といっていた認知症は誰もがなる可能性が高い。それだけでなく、施設に入ったことで、かえって症状を悪化させるケースも多い。

誰だって住み慣れた自宅にいたいというのが本望だろう。誰が、なにも好き好んで年取ってから、あらたな人間関係の構築が必要な施設に移りたいと思うのだろうか。施設内での虐待のニュースも報道で耳にすることも多いではないか。

現時点では、まだ自分自身の問題ではない(と思って)いても、人間は間違いなく100%死ぬのであるから、いずれこの問題にはきちんと対応しなくてはならなくなる。

誰が言ったか忘れたが、「よく死ぬことは、よく生きることである」からだ。 だからこそ、こういう本を読むことは、生きるうえで重要な「教養」となる。平均寿命の長い女性は言うまでもなく、男性も自分事として読むことを薦めたい。 



目 次
はじめに
第1章 「おひとりさま」で悪いか?
第2章 死へのタブーがなくなった
第3章 施設はもういらない
第4章 「孤独死」なんて怖くない
第5章 認知症になったら
第6章 認知症になってよい社会へ
第7章 死の自己決定は可能か?
第8章 介護保険が危ない
おわりに

著者プロフィール
上野千鶴子(うえの・ちづこ)
1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクショネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間、教育と研究に従事。著書に『近代家族の成立と終焉』、『家父長制と資本』(岩波書店)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(紀伊國屋書店)、『ケアの社会学』(太田出版)、『サヨナラ、学校化社会』など多数。母親の育児問題、独身女性の介護問題など、日本が抱える諸問題に対して話題作を出している。


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