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2009年9月16日水曜日

CAPITALISM: A LOVE STORY


 このブログでもGM破綻の際に取り上げた、マイケル・ムーア(Michael Moore)監督の新作が、全米で10月2日に公開される。題して、CAPITALISM: A LOVE STORY.(・・Official Site 参照)。 おお、マイケル・ムーアがついに正面切って資本主義との本格的な勝負に出たか!

 Teaser では、マイケル・ムーア自身による視聴者へのお願いが、Official Trailer では、映画のメッセージをドキュメンタリー映像の編集でみることができる(・・いずれも音声に注意!)Trailer の2分間の映像を見ているだけでも、めちゃくちゃ面白そうだ。早く見たい! アポなし突撃取材が、取材される側のホンネを思わず引き出す、しかも映像で(!)という面白さである。


 A LOVE STORY というと日本でも大ヒットした1970年公開の往年の名作 『ある愛の詩』 と同じだが、内容はもちろん皮肉に満ちている。参考のために Ryan O'Neil主演の Love Story の Trailer をYouTubeにて(音声注意!)。

 しかし Love & Hate ではないことに注目しておきたい。つまり、愛する主体は、監督である自分とは別だということだ。

 Capitalism を愛するのは、政財界のエリート特権階級とそのおこぼれにあずかる者たち=持てる者、ということ。これに対して一般大衆である労働者階級=持たざる者との違いが明瞭に浮き彫りにされる。

 前者が They、それに対して Us は、AIGをはじめとする金融危機よって、なけなしの年金(・・401Kのことだろう)も、不動産などの財産も失った人たちのこと。They vs. Us Conflict はさらに拡大したようだ。

 Trailer のなかで、「こいつは全部持っていた野郎どもに対する、持たざる者の反乱だ!」と発言しているライフル愛好家のオッサンは、まさにその象徴といえよう。


 鍛えられて引き締まった肉体と弁舌あざやかなエリート層と、ぶよぶよに肥満したマイケル・ムーアに代表される労働者階級。この違いは映像的にも鮮やかに対比される。

 労働者階級は、ダイエットにはあまり気を遣わないから、ジャンクフードで肥満体になっていしまう。間違ってもスシなどのヘルシーフードや、マクロビオティックなどのオーガニックフードなど口にしない人々である。They vs. Us がここでも対比的に描かれる。


 1990年に、Wall Street をはじめて見たときは、そのあまりもの小ささに驚いたものだ。兜町よりはるかに狭い。この狭い Street が世界の金融の中心というのは、実に感慨深いものを感じたものである。


 資本主義そのものは悪なのか? 

 私は決してそうは思わない。資本主義の暴走をいかに制御するか、これが重要であって資本主義そのものに反対するわけでも、資本主義が崩壊するとも考えない。ただし、資本主義のオルタナティブについて知的な探求は必要だろう。制御方法は時代と共に変化していくからだ。

 誰の発言か覚えていないが、Capital-ism をなぜ日本語人は資本主義と訳したのか疑問であると書いていた人がいる。Alcohol-ism がアルコール"中毒"なら、Capital-ism は資本"中毒"(!)ではないか、と。

 たしかに資本主義とは中毒症状の一種かもしれない。もしそうなら治療には強い意志と痛みとの闘いを伴うだろうが、治癒不能ということはあるまい。


 本日、政権交代を実現した鳩山新首相が、雑誌論文で不用意な発言をして、これが米国で物議を醸したと日本では報道されているが(・・論文の日本語原文と英訳を見ていないので私には何ともいえない)、祖父が日ソ国交回復を実現した首相であるといっても、米国のスタンフォード大学卒業の鳩山氏がまさか反米ということはありえまい。

 彼は、米国型資本主義が問題であると表現せずに、"行き過ぎた米国型資本主義"が問題である、と数学者らしく適用範囲を明確に限定した上で表現すればよかったのである。

 労働者階級出身のマイケル・ムーア自身の思想は知らないが、米国がさまざまな問題を多く抱えていながらも、米国人であることを誇りに思っているはずである。健全なる批判精神の持ち主の表現者である、ということだろう。この意味では米国の許容力の広さはまだまだ大丈夫だといえるだろう。

 この映画の製作を行った Overture Films というプロダクションについてはよく知らないが、そもそもハリウッド自体、ユダヤ系が多数派で、伝統的に民主党(Democrat)の牙城であることは、米国というものを考える上で面白い事象である。

 マイケル・ムーアの新作はまだ米国でも公開されていないし、日本での公開は12月になるようだが、さて日本語タイトルはどんなものになるのだろうか。
 『資本主義:ある愛の詩』、なんてことはさすがにないだろうが・・(笑)


<付記>
 日本公開タイトルは、『キャピタリズム:マネーは踊る』となったようだ。なかなかシャレてるね-、センスいいねー。早く見たいな。(2009年9月24日)







<ブログ内関連記事>

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・・ムーア監督の1989年の作品『ロジャー&ミー』

マイケル・ムーアの最新作 『キャピタリズム』をみて、資本主義に対するカトリック教会の態度について考える

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)

月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2010年3月号の特集「オバマ大統領就任から1年 貧困大国の真実」(責任編集・堤 未果)を読む

映画 『ウォール・ストリート』(Wall Street : Money Never Sleeps) を見て、23年ぶりの続編に思うこと                 





(2012年7月3日発売の拙著です)







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