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2010年1月18日月曜日

本の紹介 『阿呆船』(ゼバスチャン・ブラント、尾崎盛景訳、現代思潮社、新装版 2002年 原版 1968)




まず皮切りに一踊り
積んだ書物は
山ほどあるが
とんと読みゃあせぬ
わからせぬ

 「1.無用の書物のこと」の冒頭から引用してみた。

 写真は、『阿呆船』の1968年出版の旧版から。長らく品切れになっていて古本屋でもほとんど見なかったのだが、2002年に新装版がでてようやく (下)を入手した。
 
 ゼバスチャン・ブラント(Sebastian Brant)は、1457年アルザス地方のシュトラースブルク(・・現在はフランスのストラスブール)に生まれ、1521年同地にて没。スイスのバーゼル大学の法律学教授、弁護士、シュトラースブルクの市書記を務めた。『阿呆船』(1494年)がベストセラーとなり、詩人としての名声を得たという。

 解説によれば、ゲーテの『ウェルテル』以前でもっとも成功したドイツ語作家らしい。

 著者はまえがきでこう述べる。 

本書は世に裨益(ひえき)するよう、英知、理性そして良風を教え、勧め、広めるために、またあらゆる身分階級の人、その痴呆、盲目、迷誤、愚鈍を笑いいましめるために、粉骨砕身(ふんこつさいしん)、真摯な努力をもってバーゼルに於いて編集されたものである。
         両法学博士 ゼバスチャン・ブラント


 両法学博士とは、市民法であるローマ法教会法であるカノン法の両方を修めた博士だ、ということだそうだ。

 取り上げられた阿呆は111人、ハンス・ホルバイン風の木版画つき。収録された詩はこんなタイトルである。

   1. 無用の書物のこと
   2. 結構な集まりのこと
   3. 欲ばりのこと
   4. 流行のこと
   5. 老いぼれ阿呆のこと
   6. 躾けのこと
   7. 不和の種子まきのこと
   8. 忠告にしたがわぬこと
   9. 無作法のこと
   10. まことの友情のこと・・・
 
 などなど全部で112編。111人の愚者+1人の賢者、という構成。


 冒頭の引用でもわかるように、戯作風の韻文訳の日本語が、実にこなれていて読みやすい。

  この阿呆(アホ)は  俺のことかと 自嘲気味

 なんて川柳を口ずんでみたりして。


『阿呆船』(セバスチャン・ブラント、尾崎盛景訳、現代思潮社、新装版2002年)





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・・エラスムス(1466~1536)は『阿呆船』の著者ゼバスチャン・ブラント(1457~1521))とは同時代人
            
(2014年3月4日 項目新設、4月26日 情報追加)



PS 映画 『愚か者の船』(Ship of Fools)(アメリカ、1965)

『愚か者の船』(Ship of Fools)という1965年製作のアメリカ映画がある。主演は、ヴィヴィアン・リーとリー・マーヴィン。第38回アカデミー賞2部門受賞、8部門にノミネート。



原作は、キャサリン・アン・ポーター(Katherine Anne Porter) の長編小説 『愚者の船』。内容は wikipedia によれば以下のようなもの。

Ship of Fools is a 1962 novel by Katherine Anne Porter which tells the tale of a group of disparate characters sailing from Mexico to Europe aboard a German freighter and passenger ship. It is an allegory that traces the rise of Nazism and looks metaphorically at the progress of the world on its "voyage to eternity".






(2014年9月17日 記す)




(2012年7月3日発売の拙著です)








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