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2010年1月23日土曜日

書評 『現代日本の転機-「自由」と「安定」のジレンマ-』(高原基彰、NHKブックス、2009)-冷静に現実をみつめるために必要な、社会学者が整理したこの30数年間の日本現代史




冷静に現実をみつめるために必要な、社会学者が整理したこの30数年間の日本現代史

 1976年生まれの33歳の社会学者が、石油ショックが発生した1973年以降の社会変動を、社会理論の観点から冷静に整理した、この30数年間の日本現代史。

 1980年代にかけて実現した「超安定社会」は、バブル崩壊後の1990年代には機能不全に陥りはじめた。そして2000年代に入って最終的に「日本型新自由主義」のもと一気に崩壊したことが明るみになり、多くの人たちが裏切られたという思いを抱いている。「被害者意識」に充ち満ちている現在の日本。

 雇用と仕事の破壊は、地域や家庭の崩壊をともない、誰の何に対すする被害者意識かもわからないまま、無力感と閉塞感が強まるばかりである。

 このもやもやとした、つかみどころのない閉塞感の原因がどこにあるのかを考えてみたい人には、ぜひ読んでみることをすすめたい。

 「あまりにも過去が早く忘却される」日本では、現状を正確に把握するためには、歴史的な経緯を整理しておくことがきわめて重要だからだ。

 「超安定社会」とは歴史的な偶然により実現したものであり、しかもそれは日本人が自ら抱いた自画像であった。崩壊したいま明らかになったのは、その自画像は実は幻想だったということである。

 「日本的経営」という、正社員男子とその配偶者である専業主婦、そして子供(たち)という家族をセットとしたシステムのもとにおいては、社会福祉もまた会社と不可分のものとなっていた。しかし、このシステムがパートタイムの主婦やアルバイトの若者を「第二身分」として前提としていたことに、多くの人たちは気がついていなかった。

 激化するグローバル競争のなか、経済界が経済合理性の観点から「日本的経営」に決別し、「新自由主義」を選択したことは、1980年代後半からビジネス社会に身を置き、とくに人事管理に深くかかわった経験を私にはよく理解できる。しかし、その私も現在の日本の状況は想像できなかった。私もまた「幻想」のなかにいたのだろう。

 失ってみてはじめてわかった「超安定社会」、「一億総中流社会」という幻想。幻想であった以上、もはやこの「超安定社会」に戻ることもありえない。崩壊を嘆いてみても、ノスタルジーにひたるのも無意味なことだろう。

 ましてや裏切られたと被害者意識をもっても、何も生み出さないのではないか。

 著者もいうように、個々人が手探りで進むしかないのである。処方箋を優秀なエリートに作ってくれると期待するのは、もうやめたほうがいい。また裏切られることになる。

 冷静に現実をみつめるために、この30数年間の日本現代史を、著者と一緒ににみつめてみることを、すすめたい。

 処方箋を、自分自身で見つけるために。



<初出情報>

■bk1書評「冷静に現実をみつめるために必要な、社会学者が整理したこの30数年間の日本現代史」投稿掲載(2009年12月21日)


<書評への付記>

 著者のデビュー作であった前著不安型ナショナリズムの時代-日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由-』(洋泉社新書y、2006)は、きわめて刺激的な本だった。
 本書もまた、日本の読者だけでなく、韓国や中国の読者も最初から想定に入れて執筆されている。新しい世代の学者のこういった姿勢はたいへん望ましい。本書が韓国や中国の対日観に何かしら貢献してくれるものと期待する。

 本書はよりマクロな視点で現代史、それも1973年頃から直近までの現代史を扱っている。「一億総中流幻想」の形成とその崩壊、1970年代に石油ショックを乗り切った日本では、格差社会が欧米に30年近く周回遅れて到来したこと、についての分析である。
 こういう視点はきわめて重要である。
 ただし、基本的に社会学者による歴史分析であるので、やや社会理論の概念が過多な感じは否めない。
 それでも、じっくり読む価値ある本である。

 私もその一人であるが、1970年代から1980年代前半を社会人として過ごしていない人は、自分が自覚的に体験していない時代を、知的に理解するために。またその時代を体験してきた人は、自らの生の軌跡を、理論的に検証してみるために。
 ビジネスマンであれば、とくに経営企画担当者は目を通しておくことを奨めたい。将来予測ををするためには、過去について正確な自己認識をもっておくことが必要だからだ。

 ぜひ、書評『田中角栄 封じられた資源戦略-石油、ウラン、そしてアメリカとの闘い-』(山岡淳一郎、草思社、2009)もあわせて、ご覧いただきたい。「一億総中流幻想」の意味を考えるうえで、田中角栄はどうしても押さえておかねばならない歴史的存在である。





<関連サイト>
                
中国の友人に聞かれた。「なぜ君たちは、自分をかわいそうだと思うのか?」-『現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ』の高原基彰氏に聞く(日経ビジネスオンライン」(2010年8月6日)


<ブログ内関連記事>

書評 『田中角栄 封じられた資源戦略-石油、ウラン、そしてアメリカとの闘い-』(山岡淳一郎、草思社、2009)

書評 『原発と権力-戦後から辿る支配者の系譜-』(山岡淳一郎、ちくま新書、2011)-「敗戦国日本」の政治経済史が手に取るように見えてくる

書評 『失われた場を探して-ロストジェネレーションの社会学-』(メアリー・ブリントン、池村千秋訳、NTT出版、2008)

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・希望よりも勇気!

(2013年7月2日 追補)






(2012年7月3日発売の拙著です)








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