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2012年4月27日金曜日

書評 『民間軍事会社の内幕』(菅原 出、 ちくま文庫、2010)-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ①

いまや国際紛争解決になくてはならないPMC(民間軍事会社)は「傭兵」ビジネスそのものではない

この本を読むまで、わたしはPMC(=Private Military Company:民間軍事会社)は傭兵ビジネスなのだと思い込んでいた。

どうも『戦争の犬たち』や『ワイルドギース』の印象がつよすぎて、同じようなものだろうと思い込んでいたのだ。

思い込みほど怖いものはないと痛感している。実際は、正規軍では対応できない要人警護やロジスティックスなどの業務を請け負うアウトソーシングに近いようだ。

とはいっても、活動場所は戦場の最前線だ。半端な業務ではない。広い意味での「傭兵」といってもいいのかもしれない。ただし、戦闘行為には関与しない。

民間軍事会社は、冷戦崩壊後の環境変化によって国際紛争の内容が変質した状況に対応して急速に発展したあたらしいビジネスだ。本書によれば米国と英国、そしてフランスという世界の軍事先進国の退役軍人たちがたちあげたビジネスである。

PMCが一気にブレークしたのは、2003年にはじまったイラク戦争である。

ブッシュ政権のもと戦争に突入したアメリカは、戦争の大義があやふやなままの状態であったため、犠牲者数をミニマムにするためには限られた数の兵員で戦うことを余儀なくされた。その結果、正規軍の補助としてPMCを積極的に使用することになったのである。つまり、需要と供給がそこに見られるのであり、21世紀に入ってから、きわめて短期間で急成長したビジネスでもある。

どんなビジネスもそうだが、ひとつの産業が誕生してからしばらくは、有象無象(うぞうむぞう)が参入してきて混戦状態となるものだ。しばらくすると、正常化のために企業同士でコミュニケーションがとられるようになり、悪質な業者が淘汰されていく。つまり一つの産業として確立し、認知されていくのだが、PMCもまた同じプロセスをきわめて短期間のうちにたどったことを本書で確認することができる。

発展途上国の安い労働力を利用することで成立しているPMC。先進国と発展途上国のあいだに存在する経済格差、人件費格差が、PMCビジネスを成立させていることも指摘されている。つまり、きわめて資本主義原則に則ったビジネスであるわけだ。

武装しながらも軍人ではないPMC社員はシビリアンである。この法的にはきわめてあいまいな存在が、ときに大きな軋轢(あつれき)を生み出すのであるが、著者によればいまやPMCの存在抜きに国際紛争解決は不可能であることが納得させられる。

自衛隊による国際平和維持活動の中心は施設部隊によるインフラ建設が中心だが、このような業務もまた民間の建設業者のほうが効率的といえば効率的だ。そう考えると、日本の国際支援のカタチも将来的には変化していくと考えてもいいのかもしれない。

マスコミ報道されながらも実態のよくわからないPMCについて、読者の蒙を啓いてくれる良質なレポートである。


<初出情報>

■bk1書評「いまや国際紛争解決になくてはならないPMC(民間軍事会社)は「傭兵」ビジネスではない」投稿掲載(2011年4月22日)
■amazon書評「いまや国際紛争解決になくてはならないPMC(民間軍事会社)は「傭兵」ビジネスではない」投稿掲載(2011年4月22日)





目 次

プロローグ
第1章 襲撃された日本人
第2章 戦場の仕事人たち
第3章 イラク戦争を支えたシステム
第4章 働く側の本音
第5章 暗躍する企業戦士たち
第6章 テロと戦う影の同盟者
第7章 対テロ・セキュリティ訓練
第8章 ブラックウォーター・スキャンダル
エピローグ
あとがき
主な民間軍事会社(PMC)一覧
参考資料および取材・インタビュー先

著者プロフィール

菅原 出(すがわら・いずる)

1969年、東京生まれ。中央大学卒業後、1993年から98年までオランダに留学し、アムステルダム大学に学ぶ。在蘭日系企業勤務、東京財団リサーチ・フェローなどを経て、現在は国際政治アナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

<近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える>

P.S. 長すぎる文章となってしまったので、もともとのブログ投稿文章を三分割することとし、本編もタイトルを変更した。それぞれ以下のとおりである。

書評 『民間軍事会社の内幕』(菅原 出、 ちくま文庫、2010)-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ① ・・・本事

映画 『ルート・アイリッシュ』(2011年製作)を見てきた-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ②

書評 『傭兵の二千年史』(菊池良生、講談社現代新書、2002)-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ③


<関連記事>

「民間軍事会社のリアルな実態を描く『ルート・アイリッシュ』」(菅原 出、日経ビジネスオンライン 2012年4月9日)

『ルート・アイリッシュ』公式サイト

Route Irish Trailer (映画 『ルート・アイリッシュ』トレーラー)

ヤバい仕事は俺たちに任せろ!-英軍の3倍を誇る民間軍事会社の実態 (GQ JAPAN、2014年12月8日)
・・「デンマークの警備会社から出発した民間軍事会社G4Sは、刑務所の運営代行から空港の警備、グルカ族の武装警備隊の編成に至るまで、世界中にサービスを拡大している。その勢いは、”日の沈まない帝国”にたとえることすらできそうだ・・(中略)・・民間軍事会社とは要するに、施設警備や現金輸送といった警備会社の延長線上の業務を武装が必要な危険地帯で行いつつも、傭兵のような本格的な戦闘員とは一線を画す後方要員の集合体と呼んでよさそうだ。」

(2015年6月10日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『ウィキリークスの衝撃-世界を揺るがす機密漏洩の正体-』(菅原 出、日経BP社、2011)

本年度アカデミー賞6部門受賞作 『ハート・ロッカー』をみてきた-「現場の下士官と兵の視線」からみたイラク戦争・・2010年度アカデミー賞作品

書評 『封建制の文明史観-近代化をもたらした歴史の遺産-』(今谷明、PHP新書、2008)-「封建制」があったからこそ日本は近代化した!

本の紹介 『阿呆物語 上中下』(グリンメルスハウゼン、望月市恵訳、岩波文庫、1953)
・・三十年戦争のなか、荒廃したドイツをたくましく生きぬく主人公





(2012年7月3日発売の拙著です)







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