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2013年3月24日日曜日

書評 『目覚める宗教-アメリカが出合った仏教 現代化する仏教の今』(ケネス・タナカ、サンガ新書、2012)-「個人のスピリチュアリティ志向」のなかで仏教が普及するアメリカに読みとるべきもの


いま、アメリカでは仏教徒が約350万人もいるのだという。もちろん圧倒的多数はキリスト教徒なのだが、いずれ人口の約2%を占めるユダヤ教徒を抜いて、全米第二位のポジションにつくことは確実と見られていると本書にある。

仏教に共感を感じる人はそのほか150万人仏教に大きな影響を受けたと感じている人が2,500万人もいるのだという。アメリカの総人口は約3億人である。

仏教徒はアジア系の移民だけではない。ハリウッドのセレブや知識階層が主導して、白人にも広がっているという。有名なところではチベット仏教徒のリチャード・ギアや、おなじくスティーブン・セガール、禅仏教に傾倒していたスティーブ・ジョブズ、おなじくシンガーソングライターのレナード・コーエン

鈴木大拙による英語による禅仏教にかんする書籍は、価値観の転換を求めるビートニク達によって再発見され、鈴木俊隆による座禅指導という実践面での貢献により、ヒッピームーブメントに代表されるカウンター・カルチャーを経て、アメリカには完全に定着した。

禅仏教と同じ程度に浸透しているのがチベット仏教。これはチベット民族の離散とダライラマの存在も大きい。そして、アメリカでひろく普及しているのが上座仏教(テーラワーダ)系のヴィッパサナー瞑想法

このように実践(プラクティス)を中心にした仏教が、個人化やスピリチュアリティ重視といった、いまのアメリカの傾向に合致して普及する原因になっているのだという。その結果、伝統的枠組みや宗教的な枠組みから自由となって、「(個人的な)目覚める宗教」となっているのである。

アメリカというと、どうしても原理主義者などのキリスト教が全面にでてくるのだが、教義中心のキリスト教にあきたりない人、違和感を感じる人は、なにもカリフォルニアだけではないらしいのだ。

本書は、日系三世の著者によるフィールドワークも踏まえた最新のアメリカ仏教事情である。『アメリカ仏教』(武蔵野大学出版、2010)をベースに再編集したものだという。著者自身は浄土真宗なのだそうだが、宗教社会学的なアプローチで、アメリカの仏教事情を記述している姿勢が違和感なく読める。

アメリカは日本とくらべると、仏教の歴史が浅く、仏教は儀礼としてよりも個人のスピリチュアリティ開発(・・目覚め)としての要素がつよいという。そのため、仏教に改宗せずに、キリスト教徒やユダヤ教徒でありながら同時に瞑想(メディテーション)など仏教の実践も行うという人も少なくないようだ。

なかでも存在感が大きいのが JUBU というユダヤ人仏教徒という存在だ。JUBU とは、Jewish Buddhist の略。wikipedia(英語版)で Jewish Buddhist という項目をみると、具体的な人名も列挙されている。

日本人なら、たいていの人が仏教の檀家でありながら神道でもあるという二重宗教、あるいは二重アイデンティティはべつに珍しくもなんともないのだが、アメリカでこういう動きがあるというは興味深い。

著者によれば、アメリカ仏教の特徴は以下の5点になるという。

1. 平等化
2. メディテーション中心
3. 参加仏教
4. 超宗派性
5. 個人化宗教

日本では出家よりも在家仏教が中心だが、アメリカでは仏教の実践者も出家志向ではなく、日本とどうように「在家」志向がつよいのだという。

たとえば、日本では仏教僧侶の妻帯は明治維新以降は当たり前になっているが、アメリカでもプロテスタント牧師は妻帯は当たり前である。妻帯を禁じているカトリックで発生している度重なる児童の性的虐待などへの嫌悪感のため、アメリカではカトリックを捨てる信者が続出しているという。

仏教者の妻帯がときに批判される日本仏教だが、アメリカと日本とのあいだにある共通点を考えると(・・この点はアメリカの影響がつよいのかもしれない)、「先進国における仏教」のかたちを考えるうえでは面白い。仏教者の妻帯が積極的に評価される日が来るかもしれない。ただし、妻帯と世襲は別個に考えるべきだろう。

その意味でも、日本の仏教は仏教界が想定しているのとは違った形、つまり「家の宗教」ではなく、アメリカ経由の「個人単位の宗教」として再輸入され、最定着していく可能性も否定できない。

アメリカで流行することは10~20年後には日本でも流行するとは、かなり以前から経験則として語られてきたことではあるが、アメリカ仏教の動きは、翻訳などをつうじて確実に日本にも影響を与えていくだろう。

アメリカと仏教という組み合わせに違和感を感じる人もいるかもしれないが、仏教だけでなく価値観の変容といった観点から、読んで得るところの多い本だといってよい。ぜひ一読をすすめたい。






目 次

第1章 アメリカで劇的に伸びる仏教人口
第2章 アメリカが仏教に出会う
第3章 仏教がアメリカに出会う
第4章 目覚める宗教としての仏教
第5章 現代社会の心の問題に応える仏教の心理学的アプローチ
第6章 アメリカで進む科学と仏教の対話
第7章 二十一世紀-グローバル化する世界での仏教の役割
あとがき

著者プロフィール  

ケネス・タナカ(Kenneth Tanaka)
1947年、山口県生まれ。武蔵野大学教授。日系二世の両親とともに1958年に渡米。スタンフォード大学卒。米国仏教大学院修士課程修了。東京大学大学院修士課程修了。同大学院博士課程退学。カリフォルニア大学(バークレー校)大学院博士課程修了。哲学博士。国際真宗学会会長。日本仏教心理学会会長。仏教キリスト教学会理事。元北カリフォルニア仏教連合会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


PS. この投稿記事で 1111本目となった。ぞろ目である。






<関連サイト>

Tricycle: The Buddhist Review 
・・アメリカでもっとも有名な仏教雑誌のサイト『トライシクル(三輪車)』。Facebookページもある。禅仏教とチベット仏教関連が中心だが、上座仏教その他アジア系仏教もカバーしている。ちょうどわたしが滞米中の1991年に創刊、滞米中に購読していた。紙媒体のバックナンバーは、いまでも所有している。すでに1991年頃には、政府高官にもチベット仏教信者がいたことがインタビュー記事からわかる。

(2014年8月27日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

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レナード・コーエン(Leonard Cohen)の最新アルバム Old Ideas (2012)を聴き、全作品を聴き直しながら『レナード・コーエン伝』を読む
・・長年にわたって禅仏教の修行に打ち込んできたユダヤ系カナダ人アーチスト

書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)

Winning is NOT everything, but losing is NOTHING ! (勝てばいいいというものではない、だけど負けたらおしまいだ)
・・MBAの戦略実行の授業で『Zen and the Motorcycle Maintenance』(日本語訳 『禅とオートバイ修理技術』)という哲学書を読めと強くすすめられたくらい、アメリカでは禅仏教は定着している

書評 『アメリカ精神の源-「神のもとにあるこの国」-』(ハロラン芙美子、中公新書、1998)-アメリカ人の精神の内部を探求したフィールドワークの記録  ・・メインストリームのキリスト教とアメリカ人の関係を知らなければアメリカを理解したことにはならない

書評 『「気づきの瞑想」を生きる-タイで出家した日本人僧の物語-』(プラ・ユキ・ナラテボー、佼成出版社、2009)-タイの日本人仏教僧の精神のオディッセイと「気づきの瞑想」入門
・・アメリカでは仏教の枠を超えて、いまマイドフルネス(mindfulness)として、上座仏教系の瞑想が拡がっている

(2013年12月29日、2014年8月27日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)





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