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2013年4月20日土曜日

書評 『超マクロ展望-世界経済の真実』(水野和夫・萱野稔人、集英社新書、2010)-「近代資本主義」という既存の枠組みのなかで設計された金融経済政策はもはや思ったようには機能しない




超長期で経済分析をすすめている異端の民間エコノミストと、国家と資本主義の関係について考察してきた気鋭の政治哲学者との刺激的な対話です。

帯には、「近代資本主義の崩壊が始まる」とありますが、「近代資本主義」が崩壊過程にあるのはたしかですが、資本主義じたいが崩壊するるわけではないのでお間違えないよう。世の中によくあるオカルト系ではありません。

エコノミスト水野和夫氏の大著 『終わりなき危機-君はグローバリゼーションの真実を見たか-』(水野和夫、日本経済新聞出版社、2011)は、このブログでも紹介しましたが、ある程度の経済学の素養と西洋近代史の素養がないと読み切れない大著なので、なかなかチャレンジしにくいのではと思います。 

そんな人のためには、この新書本をぜひすすめたいと思います。対談本で238ページなので、読みとおすことは可能でしょう。

「近代資本主義500年の歴史」はいまや終わり、大転換期にあるという認識が必要なことを、豊富な経済データと濃密な議論で展開した読みでのある新書本です。

中世世界が崩壊して近代世界に移行した500年前の大転換期--いわゆる大航海時代のことですね--との対比で現在の状況をわかりやすく解説しています。

日本の超低金利状態は、500年前のイタリアの都市国家ジェノヴァの低金利以来のものなのです。これを「利子率革命」というのですが、すでに低金利は経済成長のとまった先進国全般に拡大しています。低利で調達された資本は先進国ではなく、成長余地の大きな新興国に流れるのは当然なことです。実体経済の成長は新興国で、金融経済は先進国でというわけです。

500年前のスペイン(=ハプスブルク帝国)とイタリア(=ジェノヴァ共和国)の関係が、現在のアメリカと日本の関係になぞらえて説明されているところなど、経済覇権国と資本提供者の組み合わせという意味ではじつに卓抜です。

この対談ではヘゲモニー論を軸に、軍事力を背景にした経済覇権と国家の関係について考察した内容になっています。こういう議論に慣れていない人は新鮮な印象を受けることでしょう。

水野氏は、「歴史の峠」に立っているという認識を」という「あとがき」でこう言っています。

このような時代の転換期において、近代資本主義の枠内だけの道具では、問題を解決することは不可能だろう。デフレという問題ひとつをとっても、おカネを刷れば一挙解決といった処方箋は、グローバル化した経済を見誤っている典型のように思われる。(*太字ゴチックは引用者=わたし による)

わたしはこの発言に賛成です。水野氏はこういうことを発言しているので、いわゆる「リフレ派」からはボロクソに批判されています。

つい先日、あたらしい総裁のもと日銀が「異次元の金融緩和」を断行しましたが、経済史を含めた西洋史を大学学部で専攻したわたしには、水野氏の発言こそまっとうに思われます。もしかすると政策決定者には隠されたべつの意図があるのかもしれませんが。

とはいっても、政策決定者ではない一日本国民には、経済政策も金融政策もコントロール不能な「外部環境」です。ですから、すでに始まっているバブル生成と崩壊を見据えたうえで、自らの行動を決めなくてはならないでしょう。そのときに備えた研究が必要なことは言うまでもありません。

しかし、その解答まではこの本には書かれていません。あるべき枠組みについての議論はあっても、自分とその関係者がサバイバルするための方法については、自分で考えて自分で実行していくしかありませんね。

いずれにせよ、まずは、「近代500年の近代資本主義」が崩壊するプロセスにあるいま、既存の枠組みのなかで設計された経済金融政策はもはや機能しないことに気がつかねばならないのです。





目 次

はじめに 市場経済だけで資本主義を語るエコノミストたちへ
第1章 先進国の超えられない壁
第2章 資本主義の歴史とヘゲモニーのゆくえ
第3章 資本主義の根源へ
第4章 バブルのしくみと日本の先行性-日米関係の政治経済学-
第5章 日本はいかに生き抜くべきか-極限時代の処方箋-
対談を終えて
 「歴史の峠」に立っているという認識を(水野和夫)
 経済学的常識への挑戦(萱野稔人)
参考文献

著者プロフィール 

水野 和夫(みずの かずお)
1953年生まれ。埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授。元三菱UFJ モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト。早稲田大学大学院修士課程経済 研究科修了。著書に『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』など(出版社サイトより)。
 

萱野稔人(かやの・としひと)
1970年生まれ。津田塾大学国際関係学科准教授。哲学博士。パリ第十大学大学院博士課程哲学科修了。著書に『国家とはなにか』など。(出版社サイトより)。



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書評 『21世紀の歴史-未来の人類から見た世界-』(ジャック・アタリ、林昌宏訳、作品社、2008)-12世紀からはじまった資本主義の歴史は終わるのか? 歴史を踏まえ未来から洞察する

書評 『国家債務危機-ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?-』(ジャック・アタリ、林昌宏訳、作品社、2011)-公的債務問題による欧州金融危機は対岸の火事ではない!

「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む

書評 『新・国富論-グローバル経済の教科書-』(浜 矩子、文春新書、2012)-「第二次グローバリゼーション時代」の論客アダム・スミスで「第三次グローバル時代」の経済を解読

書評 『歴史入門』 (フェルナン・ブローデル、金塚貞文訳、中公文庫、2009)-「知の巨人」ブローデルが示した世界の読み方

書評 『国力とは何か-経済ナショナリズムの理論と政策-』(中野剛史、講談社現代新書、2011)-理路整然と「経済ナショナリズム」と「国家資本主義」の違いを説いた経済思想書






(2012年7月3日発売の拙著です)





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