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2014年9月10日水曜日

映画 『プロミスト・ランド』(米国、2012)をみてきた(2014年9月8日)-衰退するコミュニティ(=共同体)とプロミスト・ランド(=約束の地)


映画 『プロミスト・ランド』(アメリカ、2012)をみてきた。日比谷のTOHOシネマズ・シャンテにて。

シェールガス開発と環境問題をめぐる社会派エンターテインメントであるが、社会問題をテーマとしているだけでなく、中年にとっての人生の転機もまたテーマとしたドラマである。

なんだか、ひさびさにアメリカ映画らしいアメリカ映画を見たという気がする。アメリカ国内を舞台にした映画だからだがそれだけではない。ニューヨークのような国際的大都市ではなく、名も知れぬ田舎にこそほんとうのアメリカがある。土地に根ざして生きる農民たちが登場人物の大半である。

日本でも話題になることが多いシェールガスだが、シェールガス(shale gas)とは、頁岩(シェール)層から採取される天然ガスのことだ。2,000メートルから3,000メートルといった深い地底に眠っている。クラッキング(=水圧破砕法)技術の普及により、2000年代以降にガス開発が活発化して「シェールガス革命」となっているのである。

シェールガスは、農民が耕している畑の下に眠っているのである。まさに手つかずの「眠れる宝」であったわけだ。だが、採掘技術のクラッキングが100%安全であるとは誰にもいえない。これが手放しで開発バンザイとならない理由であり、開発をめぐって町が二分される原因となる。

主演のマット・デイモンが脚本にかかわり、プロデュースもしている。ほんとうは自分で監督もやりたかったらしい。その意味では、自分が作りたい映画を作ったという感じがよくでている。テーマもさることながら、リメイクではない、オリジナルの脚本だからこそ、ぜひ見たいという気持ちにさせられるのだ。




敏腕ビジネスマンが乗り込むスモール・コミュニティ

1970年生まれのマット・デイモンが演じる主人公は、ニューヨークに本社のある大手エネルギー会社に勤務する敏腕ビジネスマン。バイスプレジデント(=事業部長)昇進も間近という彼は、シェールガスの採掘権を土地所有者から買い上げる仕事を担当している。その仕事は、まあいってみれば地上げ屋みたいなものだ。

そんな彼が、農業以外にはこれといった産業のない、中西部のとある田舎町に乗り込んでゆく。工場が閉鎖されたあとの田舎町は、基本的に農業以外にはこれといった主要産業がなく、しかもその農業も補助金漬けで、とても自立した産業とは言い難い。

農民たちにとって、シェールガス革命というものは、空からカネが降ってくるようなものだ。いや、地の底からわいてくるカネというべきか。ただその土地に住んで土地所有者というだけで、それが大金に変わるという錬金術のようなもの。降ってわいてきた大金で人生を変えることができる、またとないチャンスである。

土地に根ざした農業は数代にわたって続けられてきたものであり、土地柄は保守的といっていい。小さなコミュニティなので、その多くが顔なじみの存在だ。その土地の人に受け入れられるために、まずは姿かたちを現地仕様にし、夜は飲み屋にも繰り出す主人公。


いかにも典型的なアメリカの田舎町だが、それはスモール・コミュニティと言い換えてもいい。ハイスクールの体育館で行われるタウンミーティングは民主主義(=デモクラシー)の最小ユニットであり原点でともいうべきものだ。コミュニティのことは、コミュニティで決めるという自治の精神。これが現在でも生きているのがアメリカらしさなのである。アメリカ映画らしいアメリカ映画というのは、そういうこともある。

採掘権買収の仕事も快調に進み、交渉もメドがつきはじめたと思った矢先、さまざまな横やりが入り始める。まずはコミュニティ・リーダー、物理学の博士号をもち大企業で働いていた経験をもつインテリ教師、そして外部から入り込んできた環境団体NPOの代表者。その結果、開発推進に傾いていた町の「空気」が変わりはじまる

最初は数日の滞在で仕事が完了するはずだったのだが、滞在が長引くにつれ、意見が二分するスモール・コミュニティの人たちとの交流を通じ、自分自身の人生を見つめ直していく主人公

カネで将来の可能性を買うことができるが、カネで失ってしまう価値あるものもある。主人公は、やり手なのだが根が真面目なのである。人生経験のある中年は惑うのである。人生経験のないが正義感に燃える若者とは違うのである。中年は、人生の「下り坂」でもある。

この「中年の惑い」が、この映画を意外と味わい深いものとしている。衰退するコミュニティと、下り坂の中年の人生がクロスするのである。


衰退するコミュニティ(=共同体)とプロミスト・ランド(=約束の地)

プロミスト・ランド(Promised Land)とは日本語でいえば「約束の地」。いうまでもなく聖書にでてくる表現である。大文字で書くと、ディアスポーラ(=離散)のユダヤ人にとっての父祖の地、すなわち建国前のイスラエルをさしていた。

「約束の地」がこの映画で何を意味しているのか、考えながら見るといいだろう。

映画のなかで、田舎町の夜の集会所ともなっている居酒屋(tavern)で、登場人物の一人が生バンドでブルース・スプリングスティーンの曲を歌うシーンがある。それとは違う曲だが、映画をみていて思い出したのが My Hometown(マイ・ホームタウン) という名曲だ。

自分自身も長年にわたって、自分の前も何世代にもわたってそこに住んできた住民にとっては愛着のある故郷である。マイ・ホームタウン(=わが故郷)である。

同時期には、ビリー・ジョエルにも、Allentown(アレンタウン)という曲があった。製造業が衰退して荒廃していく町の姿を歌ったものだ。いずれも1980年代である。その当時は、アメリカ衰退論が盛んで、バブル経済で快進撃の日本とは、えらく対照的であった。

アメリカは国土が広大だから、焼き畑農業的に産業の中心地がどんどん移動していくのだといった説明が、かつて日本ではあたりまえのように通用していた。だが、そうはいっても、自分の故郷が衰退し、荒廃していくのは、誰にとってもうれしい話ではない。

1980年代のこういった曲を思い出しながら、いまの日本はまさにあの時代のアメリカを後追いしているのだなという感をぬぐうことができない。国全体で減少しつつある人口、消滅する自治体・・・。衰退する日本、である。

1980年代には、日本でも農家が農地を売却して土地成金となったこともあったが、それも昔の話だ。新潟や秋田など一部を除けば、日本にはシェールガスのような地下資源があるわけでもない。

この映画には、シェールガスの採掘現場がでてくるわけでもない。ジュリア・ロバーツ主演の『エリン・ブロコビッチ』のように、環境活動家を描いた映画ではない。環境問題そのものを訴える映画でもない。

人間はなにを価値として生きるのかという、根源的な問いを投げかけている映画である。

この問いに対する答え、プロミスト・ランド(=約束の地)がどこにあるのか、それは人によって異なって当然だ。そう、問われているのは、「あなたの約束の地はどこにあるのですか?」である。






<関連サイト>

映画 『プロミスト・ランド』 公式サイト (日本版)

Official Site | Promised Land | Movie Overview (英語版)

Promised Land Official Trailer 2013 (HD) (公式トレーラー)


Bruce Springsteen - My Hometown (YouTube) 
・・ブルース・スプリングスティーンの「マイ・ホームタウン」

Billy Joel - Allentown (W/Lyrics) (YouTube)
・・ビリー・ジョエルの「アレンタウン」



<ブログ内関連記事>

映画 『インビクタス / 負けざる者たち』(米国、2009)は、真のリーダーシップとは何かを教えてくれる味わい深い人間ドラマだ
・・マット・デイモン主演の人間ドラマ

「バークレー白熱教室」が面白い!-UCバークレーの物理学者による高校生にもわかるリベラルアーツ教育としてのエネルギー問題入門
・・第5回 エネルギーの未来 大統領に提言せよ(2013年5月3日)では、シェールガス開発の功罪についてディスカッション。採掘法である破砕法(クラッキング)について

映画 『ウォール・ストリート』(Wall Street : Money Never Sleeps) を見て、23年ぶりの続編に思うこと
・・「前作では、主人公の若手金融マンは、父親が航空機製造に従事するエンジニアとなっていたが、今回はリーマン・ブラザーズをモデルにしたと思われる投資銀行(≒証券会社)でエネルギー投資を専門にしているという設定だ。しかも従来型の石油や天然ガスなどではなく、新エネルギー開発に従事する研究開発型ベンチャーを金融で支援するという志(こころざし)ある役柄である」

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)-アメリカの本質を知りたいという人には、私はこの一冊をイチオシとして推薦したい

NHK連続ドラマ「坂の上の雲」・・・坂を上った先にあったのは「下り坂」だったんじゃないのかね?
・・「下り坂」の日本、「下り坂」の中年

鹿のマークの John Deere (ジョン・ディア)-この看板にアメリカらしいアメリカを感じる

(2015年7月30日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)









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