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2015年4月28日火曜日

書評 『オタ中国人の憂鬱-怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力-』(百元籠羊、武田ランダムハウスジャパン、2011)-中学から大学まで北京で生活した日本人が語る中国のオタク事情


中国にも日本の動漫、つまり動画(=アニメ)や漫画(=マンガ)をこよなく愛するオタクたちがいる。このことはすでに『中国動漫新人類 (NB online books) 』(遠藤 誉、日経BP社、2008)の元になったネット連載記事で全面的に紹介されているので、日本でも知っている人は少なくないと思う。

つい最近出版された 『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか-「ニッポン大好き」の秘密を解く-』(中島恵、中公新書ラクレ、2015)でも、著者自身は詳しくないと断りつつ、日本アニメ好きの中国のオタクたちの生態について一章を割いて紹介されていた。

アマゾンから機械的に「レコメンド」されたのが、『オタ中国人の憂鬱-怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力-』(百元籠羊、武田ランダムハウスジャパン、2011)である。すでに4年前の出版だが、いままでまったく知らなかった。さっそくマーケットプレイスで購入。

読み出したら、これがまったく面白い。中国のオタクたちが掲示板に投稿した内容を日本語で紹介しているのだが、中国のオタクたちのリアルな肉声とホンネが聞こえてくる。これは貴重なドキュメントでもある。

著者は、「1980年東京生まれの日本人。中学から大学まで北京で生活。中国人の対日感情がどんどん悪化していくなか、予想もしなかった「日本のオタク文化が好き」な中国人達と遭遇して救われた過去を持つ」というプロフィールの人だ。

同時代の中国人オタクたちを、その渦中にあって当事者として「参与観察」してきた人だけに、臨場感が違う。

こういうものは、当事者でしか書けない内容だ。中国のテレビで日本のアニメが放送されていた時代から、インターネットで日本アニメをまとめて視聴する時代への移行期、そしてネットでリアルタイムで日本のアニメを視聴する現在までを体験しており、具体的な作品に即して体験談を織り交ぜながらつづっている。

取り上げられているのは、「ガンダム」、「新世紀エヴァンゲリオン」、「涼宮ハルヒの憂鬱」、「ときめきメモリアル」(これはゲーム)、「北斗の拳」、「聖闘士星矢」、「スラムダンク」、「ウルトラマン」などなど。

これらの作品が中国で受容されていったプロセスが具体的に詳しく書かれているので興味深い。そこから見えてくるのは、中国人の関心と感性の、日本人との共通性と相違点である。

なといっても面白いのは、なんでも「萌え化」してしまう日本人に中国人オタクが脱力しているという話だろう。

たしかに日本では自衛隊や警察にまでキャラ化や萌え化が浸透しているのは、「おいおい、こんなのありか?」と、わたしですら最初はとまどいを感じたものだ。「かわいい」大好きの日本社会で親しみを感じてもらって、かつリクルート活動を効果的にすすめるためには、もはや必要不可欠なのだろう。

かつて日本人も、米軍兵士が戦闘機などに貼りまくっていたピンナップガールのポスターに、「こんな国と戦争して負けたのか・・」と敗戦後に脱力感を抱いたようだが、現代中国人も日本に似たような感想を抱いているのは、社会の成熟度の違いで説明できるかもしれない。

(オタ中国人へ侵攻開始: 日本鬼子&小日本 帯ウラより)

その日本のオタクたちが、尖閣問題で噴出した「反日」に対抗して打ち出してきたのが、「日本鬼子」(ひのもと・おにこ)と小日本(こひのもと)という萌えキャラ

中国人が日本人に対して使用する最大の侮蔑表現である「日本鬼子」(リーベングイズ)、「小日本」(シャオリーベン)を日本語で読み替えて萌えキャラ化してしまったのだ。

わたしもこの事情はネットで見ていたが、そもそもこれらの侮蔑表現が日本人にはピンとこないだけでなく、まったく意に介さないことを中国人に知らしめてしまったことに、ニヤリと感じたものだ。

それ以来、「日本鬼子」や「小日本」をネット検索しても、つぎからつぎへとキャラ化されたイラストが登場する状態で、もはや「日本鬼子」(リーベングイズ)、「小日本」(シャオリーベン)にはまったく攻撃力がなくなってしまっている(笑)のは、日本人からすればたいへん喜ばしい。

日本人本来の諧謔精神というか、しゃれのめす精神を感じて痛快である。「近代」という時代が終わって、日本人本来の精神が復活しているわけだ。これも社会の成熟度の表れとみたい。

アニメ好きではない人にとっても、本書で取り上げられている『三国志』関連の日中の嗜好の違いには注目しておくべきだろう。まだまだ儒教的倫理観の強い中国では、悪人は未来永劫にいたるまで悪人であり、日本人の嗜好とは異なるのである。

日本のアニメが世界中で人気になっているが、中国もまたけっして例外ではない。とはいえ、表現の自由が確保された先進国のヨーロッパ人の受け取り方と、なにかと制約の多い表現の自由のない中国人では、見方に違いがあるようにも思われる。

「日本アニメ受容にみる国際比較」なんてテーマは、誰かやってみたら面白いのではないかと思うなのだが、誰かやらないかな? 読んでいてそんな感想も持ったのであった。





目 次

はじめに 「オタク」が日本を救う!?
オタ中国人的「名作」
 オタ中国人も驚愕するリアルサイズの 「ガンダム」
 カットや修正、それでも見たい 「新世紀エヴァンゲリオン」
 最後の最後までオタ中国人をドキドキさせた 「コードギアス 反逆のルルーシュ」
 大好きだけど、振り回されるのもキツイ 「涼宮ハルヒの憂鬱」
 最新情報を求めてデマや誤報も発生した 「けいおん!」
 ファンの活動で盛り上がった 「ヘタリア」
オタ中国人的「古典作品」
 ケンシロウは健次郎 「北斗の拳」
 オタ中国人の道派ここからはじまった「聖闘士星矢」
 オタ中国人市場最大のブームだった「スラムダンク」
 日本の学校生活のお約束を中国の若者に刻み込んだ 「ときめきメモリアル」
 首相に「ウルトラマンよりも国産アニメを見よう」と名指しされる「ウルトラマン」
オタ中国人的「初めて見た」作品

コラム オタ中国人増殖の背景
 親の目を逃れて楽しむオタク文化
 「学生の恋愛は悪」-中国の一般常識
 日本語学習を頑張るオタ中国人的動機
 
オタ中国人的海賊版
オタ中国人が直面する「日本と中国の違い」
オタ中国人が困惑する「オタク文化」

おわりに 「日本鬼子」オタ中国人へ侵攻開始


著者プロフィール

百元籠羊(ひゃくげん・かごひつじ)
1980年東京生まれの日本人。中学から大学まで北京で生活。中国人の対日感情がどんどん悪化していくなか、予想もしなかった「日本のオタク文化が好き」な中国人達と遭遇して救われた過去を持つ。現在、中国における日本のオタク文化の影響やオタク的な交流についての情報を発信するブログを運営中。 


<関連サイト>

「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む (著者のブログ)
・・「記憶が薄れる前に書いておこうと、北京において行った「文化交流」という名のオタク活動やその方面のネタを適当に綴っております」


<ブログ内関連記事>

書評 『中国動漫新人類-日本のアニメと漫画が中国を動かす-』(遠藤 誉、日経BP社、2008)-中国に関する固定観念を一変させる可能性のある本 ・・「反日」は「反日」、日本のマンガとアニメは別格。それが中国のリアル

書評 『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか-「ニッポン大好き」の秘密を解く-』(中島恵、中公新書ラクレ、2015)-中国人の消費行動をつうじて、日本人と中国人の相互理解の道をさぐる

書評 『拝金社会主義中国』(遠藤 誉、ちくま新書、2010)-ひたすらゼニに向かって驀進する欲望全開時代の中国人

書評 『蟻族-高学歴ワーキングプアたちの群れ-』(廉 思=編、関根 謙=監訳、 勉誠出版、2010)-「大卒低所得群居集団」たちの「下から目線」による中国現代社会論 
・・この「80后」と「90后」がその中心である

『何かのために-sengoku38 の告白-』(一色正春、朝日新聞出版、2011) を読む-「尖閣事件」を風化させないために!

書評 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力-自衛隊はいかに立ち向かうか-』(川村純彦 小学館101新書、2012)-軍事戦略の観点から尖閣問題を考える

『新世紀 エヴァンゲリオン Neon Genesis Evangelion』 を14年目にして、はじめて26話すべて通しで視聴した

『前田建設ファンタジー営業部』(前田建設工業株式会社、幻冬舎、2004)で、ゼネコンの知られざる仕事内容を知る
・・アニメに登場する構築物を、オトナが大まじめにじっさいに設計して積算してみたというもの。アニメの歴史の長い日本ならではだ




(2012年7月3日発売の拙著です)











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