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2009年7月5日日曜日

タイのあれこれ (3)-新聞という活字メディア



(タイの外資系ビジネスパーソンは英字新聞を読む)

 タイ王国で発行されている新聞には大きくわけて二種類ある。英字紙とタイ字紙の2つである。


タイ語の新聞は日本のスポーツ新聞のようなもの

 後者は日本のスポーツ新聞のようなものだと考えればよい。代表的なものには発行部数100万部のタイラット、この他デイリーニュースマティチョンなどがある。

 ウェブ版ではわかりにくいが、見出しも内容も、扇情主義一色といってよい。とにかく写真がすごい。殺人現場の死体写真などザラである。

 三角関係のもつれで殺害された若くてハンサムな男性の下半身が真っ赤に血で染まった写真をみた事がある。そのものずばり、まさにドイツ語でいうところのザッハリッヒ、即物的な写真である。

 先月、アメリカの映画俳優がバンコク市内の高級ホテルで怪死する事件があったが、自殺(?)写真がタイ字紙にでて大きな問題になっているらしい。おそらく警察が新聞記者に横流ししたのだろうが、アメリカ人の遺族は訴訟を起こすといっているらしい。

 人権感覚もアメリカとタイで違いすぎるのだ。


タイ人の感覚を知りたければタイ語紙を見よ

 タイ人の感覚というのは正直いってよくわからない。

 同じ仏教といっても、日本の仏教とは大きく異なる。日本では明治以前、原則肉食禁止であったが、タイではそんなことはない。

 お坊さんもお布施(タイ語でタンブン)でいただいたものはすべて食べなくてはいけないのが戒律であるから、もちろん施しを受けたら肉も食べる。

 肉食が禁止されてきたわけでないから、家畜の屠殺解体も昔から行われてきたのであろう。しかし、慣れの問題、といい切れるかどうか。
 
 交通事故が起きても、血だらけの被害者がそのまま放置されている。病院は民間の事業法人で営利主義がまかり通っているので、カネがない人間には救急車を差し向けない。

 そのかわりに、華人系タイ人がやっている慈善組織の「報徳善堂」が、ボランティアでレスキュー活動を行っている。漢字で「報徳善堂」と書かれたユニホームを着ている。

 しかし、たいていの場合、到着した時には事故で重傷を負った人間はすでに死んでいるケースが多い。したがって、「報徳善堂」のクルマは救急車ではなく霊柩車だというブラック・ジョークすらある。


日系企業もふくめた外資系のタイ人ビジネスパーソンは英字新聞を読む

 さて英字新聞だが、これは信頼に値する内容のものである。

 Bangkok PostThe Nation というニ大紙がある。

 私は毎朝 The Nation を購読していたが、これを読めば経済ニュースを中心に、タイ国内のニュース、国際ニュースを読むことができる。スポーツ・芸能などほぼすべて網羅した内容で、タイ人でもビジネスマンはたいていタイ語紙は読まず、英字紙のうちどちらか一方には目を通しているのが普通である。

 とくに外資系企業に勤務するタイ人ビジネスパーソンと会話する場合には、当方も英語で内容をしっていると会話が弾むというものである。

 英字新聞はそれぞれデータベース機能が完備されていることも記事の信頼性を担保するものとなっていよう。
 
 こうした信頼に足る内容をもつタイの英字紙であるが、活字メディアの衰退という世界的な趨勢には必ずしも太刀打ちできているわけではないようだ。

 The Nation もフリーペーパー版を発行して無料で配布したり、ブラックベリーなどの携帯通信機器むけのメール配信サービス(有料)なども行っているようであるが、経営は決してラクではないらしい。私がいた昨年に大規模な人員整理が行われていた。

 こう書いている私なども、日本語や英語でとれる情報は、タイでもウェブで得ることが非常に多かった。

 いまはそういう時代なのである。


タイのあれこれ(4)につづく。なお、不定期にアップします。

           




PS 読みやすくするために改行を増やし、写真と小見出しを加えた。この写真はわたし自身のバンコクにおける朝食風景であった。 (2014年2月1日 記す)。


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書評 『怪奇映画天国アジア』(四方田犬彦、白水社、2009)-タイのあれこれ 番外編-
・・タイ人の死体や心霊、スプラッターにかんする感覚

書評 『HELL <地獄の歩き方> タイランド編』 (都築響一、洋泉社、2010)-極彩色によるタイの「地獄庭園」めぐり写真集






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