本日、東京国際フォーラム(有楽町)で開催されている「福祉の仕事 就職フォーラム」にいってみた。先週、都営地下鉄のつり革広告で知った。
主催は、東京都と社会福祉法人東京都社会福祉協議会(東京都福祉人材センター)で、後援は厚生労働省、社会福祉法人全国社会福祉協議会。
福祉の職場への就職をサポートするイベントで、昨年2008年度は1,000名以上が参加した、とのことだが、TVニュースによれば今年の参加者はは昨年の1.5倍以上だとのことだ。
不況の現在、福祉分野は数少ない成長分野だからなあ。
本日(7月26日)の12:30~16:30のみの開催である。
対象が福祉の仕事に関心のある方、学生、転職者とあるので、真夏日の炎天下のもと、東京国際フォーラムまでいってみたが、実際いってみると参加者の大半は、今年あるいは来年の就職を控えたリクルートスーツ姿の学生であった。
なかには明らかに転職目的の中年層や、どうみても介護予備軍の老人などであった。入場無料なので見学にきたのだろうか。
内容は、求人事業所ブースでの説明・面接が中心なのだが、私自身は福祉業界についてはほとんど素人だし、福祉の現場で働くには歳食いすぎだし、しかも体力も全盛期にくらべると衰えているので、さすがにそれはオミットし、会場を見て回ることに徹した。
参加施設は、東京都内の高齢者施設や障害者施設、それに児童施設など68施設ほどである。
ひとくちに福祉といっても、実に広い世界なのだ、と実感させられる。
無料セミナーもあり、東京都福祉人材センターによる 『優しい接し方セミナー』 という1時間のセミナーに参加してみた。
福祉業界への転職者や新卒者を対象にしたももので、福祉の現場での接し方、就職面接での接し方についての実践的な内容である。
いちばん重要なポイントは傾聴、すなわち相手の話に耳を傾けて聴くことだ。
コーチング理論でいう Active Listening と基本的に同じことをいっているのだと思う。
傾聴することによって相手を受け入れるだけでなく、自分の感情にも気づき、結果として相手に有効にはたらきかけることができることになる。
傾聴の意味を実感するための二人一組のワークもあり、無料だが有効なセミナーであった。
参考のためにメモとして、傾聴するに際しての注意事項をまとめておく。
1. 座る位置は、L字型、つまり斜め90度がよい
2. 目線は、相手のトライアングルゾーン(両目とのど元でできる三角形)を見る。のど元を見るつもりであれば、凝視せず目を合わせることができる
3. 声のトーンは、高からず低からず。目線をあげるようにすればちょうどいいトーンの声がでる
4. 話すスピード、大きさは、相手に合わせて臨機応変に
5. 傾聴の技法は、①アイコンタクト、うなづき、あいづち ②繰り返し ③共感(感情の反射) ④相手の話に質問する
とくに福祉の世界では、相手と優しく接することは絶対不可欠だと、あらためて確認した午後であった。もちろん、これはどの世界にいても重要なことだ。
「上から目線」で教え諭すのではなく、同じ目線で接することによって、自分も気づき、相手にも気づきの機会を作り出す、これが重要なのだ。
教育の世界でも、education よりも learning が重視される傾向になって久しい。後者は「気づき」をベースにした「学び」である。
今後も、むかし日めくりカレンダーにのっていた名言「われ以外みな師なり」(吉川英治)の心構えで人生には臨みたい。
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I am part of all that I have met (Lord Tennyson) と 「われ以外みな師なり」(吉川英治)
(2014年8月11日 項目新設)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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