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2011年2月1日火曜日

西向く士(さむらい)-二月きさらぎは偶数月のはじめ




 本日から二月である。如月(きさらぎ)ともいう。

 二月は偶数月である。一年でもっとも短い28日間。今年は閏年ではないので28日ぴったり。思ったより早く過ぎ去るのが二月である。

 さて、偶数月は一年で5ヶ月ある。二月、四月、六月、九月、そして十一月。
 全部あわせて、西向く士(さむらい)。

 2月、4月、6月、9月、11月の数字を並べると、2・4・6・9・11。に・し・む・く・さむらい。11は漢字で書くと十一、これを縦書きにすると、士 となる。634 と書いてムサシ(武蔵)と読ませるようなものだ。4649(ヨロシク)。

 ただ単に頭文字を集めただけだが、なんとなく絵になる光景である。


 サムライといえばサムライブルー。サッカー・ニッポン代表チーム アジアカップ優勝!! これはなんといっても今年最大のプレゼントだろう。若者は内向きだと年長者から批判されるが、この勝利は若者たちによるもの。応援するわれわれも含めて、健全なナショナリズムは歓迎だ。
 
 イタリア人ザッケローニ監督の見事な采配ぶりも印象に強い。優勝の翌日に放送されたザッケローニ監督就任時のインタビューでは、「サムライという日本語が気に入っている」とかいっていた。これは響きがいうほかに、ヨーロッパ語ではもっともよく知られた日本語の一つだからということもあろう。

 イタリアだけでなく、フランスでも、ロシアでも「サムライ」といえば誰もが知っている日本語だ。アラン・ドロン主演の『Le Samouraï』(サムライ)という孤高な殺し屋を描いた映画もある。フレンチ・ノワールの名作である。

 サムライというのは漢字で書くと、「士」と「侍」の二通りがあてられている。士という字は仕える、侍という字は・侍る(はべる)という意味だ。

 日本が生んだ漢字学者で知の巨人・白川静博士の漢字辞書『常用字解』を見てみよう。解説にはこうある。

(3画 シ おとこ・つわもの)
【解説】象形。小さな鉞(まさかり)の頭部を、刃を下に置いた形。実用品の武器ではなく、士の身分を示す儀礼用の器である。士は戦士階級で、王に仕えた者である。大きな鉞(まさかり)の頭部は王で、王の座る玉座の前に王のシンボルとして置いた。(P.237)

(8画 ジ さむらい・はべる・つかえる)
【解説】形声。音符は寺(じ)。寺に侍(はべ)る(貴人のそば近くに仕えるの意味があり、古くは宮中にあって側近に侍る宦官(去勢された男子)を寺人(じじん)といった。のち「はべる、つかえる」という動詞には、にんべんを加えた動詞的な字の侍を用いる。寺は持のもとの字で、保持するの意味があり、恃(たのむ)・持(もつ)・時(とき)などは、みな持続するの意味を含む。国語では「さむらい」の意味に用いる。(P.256~257)

 白川博士の解説を読む限り、「士」のほうが「侍」よりも意味的には身分が高いという印象を受ける。

 日本語の「さむらひ」は、もともとは「さぶらふ」という動詞の名詞形である。「さぶらふ」とは、英語でいえば serve(仕える)という意味だ。貴人の側近に仕えるという意味である。このために「侍」という字があてられたのだろう。古語では「もののふ」という表現もある。

 「さむらい」は武士ともいう。国文学者で民俗学者の折口信夫は、『古代研究』に収録された「ごろつきの話」という論文のなかで、武士(ぶし)と山伏(やまぶし)、野伏(のぶし)は「ぶし」という音で共通しており、武士というのは当て字であったと推測している。むかし読んだ時、なるほどと思ったことを覚えている。この説が正しいのかどうか私には判断しかねるが、ゴロツキは雷が鳴るゴロゴロという音から来ているなどの説は非常に面白い。

 折口説に立てば、「ぶし」というコトバがまず先にあって、これに武士という漢字があてられたことになる。一般的に侍という漢字があてられる「さむらい」と「ぶし」とは、もともと発生的には異なるコトバであると考えるのが正しいのかもしれない。

 さきに見たように漢字としては「士」のほうが「侍」よりも意味としても語感としても上のようだ。

 運転士というコトバもある。運転士と運転手は違う。運転士は鉄道に限定されるが、運転手はバスでもタクシーでも使う。タクシー・ドライバーとは言うが、バスは運転手のほうがしっくりくる。

 ビジネスの世界では 士業(しぎょう)というコトバがある。サムライ職業ともいうが、弁護士や弁理士、公認会計士や税理士、司法書士といった「士」という字が末尾に来る、資格取得が義務づけられている専門職のことである。教師ではないが先生と呼ばれる職業のことだ。その意味では代議士も同類か。代議士は相撲取りの力士と同様、強くて人気があれば天下も取れるが、ともに資格取得は必要条件ではない。

 「士」という漢字は、数学の記号 ± に似ている。プラスマイナス。そう考えれば、士業(しぎょう)には現代のサムライには相応しからざる御仁もいなくはない理由も理解できるというもの。


 さて、西向く士(さむらい)だ。

 沈む夕陽に浮かぶ富士山のシルエットを食い入るように眺めているサムライ。私はこんなイメージを勝手に描いている。なんといっても空気が冷えている冬にふさわしい光景ではないか。

沈みはつる 入り日のきはに あらはれぬ 
 霞める山の なほ奥の峰 (京極為兼)

 西向く公家(くげ)、いや西向く士(さむらい)が食い入るように見つめる夕陽の彼方には西方浄土がある。平家の公達(きんだち)敦盛(あつもり)の首を泣く泣く取った熊谷次郎直実(なおざね)が出家したのち、念仏を唱え、鉦を叩きながら、ひたすら西へ、西へと歩いて行ったという伝説を思いだす。

 冬の天気は、西高東低だ。
 日本はつねに西から吹いてくる風によって恵みも災厄も受け取ってきた。

 私は西から東にやってきたサムライ(士族)の末裔でもある。


 連想ゲームであちこち跳びながら、つれづれとつづってみた。



<関連サイト>

Alain Delon 『Le Samouraï』(1967、フランス) トレーラー(フランス語、字幕なし)


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