「アート・スタンダード検定®」って、知ってますか?
「アート・スタンダード検定®」は、芸術(アート)全般にかんする基礎知識と教養の理解力を問う「検定」です。「アート・スタンダード検定」は登録商標です。
個別の分野だけでなく、芸術(アート)にふくまれる分野はすべて網羅しており、音楽・美術・演劇・舞踊だけでなく建築や工芸までふくんだ幅広い分野の基礎知識が、レベル1から5までの5段階で検定される仕組みになっています。
まだまだ知名度が高くないのは当然、2011年4月に玉川大学芸術学部で始まったばかりだからです。基本的に、芸術学部の学生が、自分の専攻分野以外の関連領域について、横断的に知ることが重要だという考えに基づいたものです。
ことし2012年の春に出版されたばかりの『アート・スタンダード検定®公式テキストブック』(玉川大学芸術学部編、玉川大学出版部、2012)には、項目数が500ありますが、ほんとにおどろくほど幅広く収録されています。
「レベル1」は大学入学前程度なので簡単ですが、さすがに芸術学部卒業レベルの「レベル5」になると、わたしも知らない項目が多いので、冷や汗がでますねえ・・・。芸術の基礎知識や基礎教養は、かなり奥が深いものがあります。
この公式テキストが面白いのは、芸術ジャンル別ではなく、50音順にすべての項目が並んでいることにあります。試験勉強用のテキストというよりも、芸術にかんする基礎用語事典みたいなつくりになっています。
現代美術の項目のつぎにクラシック音楽の項目があったり、ジャンルを横断して芸術分野のすべたがカバーされています。しかも、「レベル1」の項目のとなりに「レベル5」の項目があったりしますので、ついつい続けて読んでしまいます。
そうなんです、芸術はすべての分野が、じつは連動しあっているのですね。音楽と美術は切り放して考えてはいけないのです。たとえば、バロック音楽とバロック美術は、おなじ文脈のなかで考える必要があるのです。その他の芸術分野も、それぞれがお互い密接に関連しあっているのです。
ネット検索があたりまえになってしまった現在、自分がいま調べている項目しか読まないことが当たり前になってしまってますが、あまり関係ない項目も一緒に読んだり、寄り道することはすごく重要です。そういう読み方をしていると、知識が関連づけられて文脈ができあがります。だからこそ、アナログの紙媒体のテキストに意味があるのです。
この構成は、じつはかなり考え尽くされたものであるようです。芸術にかんするリベラルアーツの実践を目的にしているようです。このテキストに書いてあることが全部アタマのなかに入っていたら「レベル5」です。それでも、大学4年終了程度なんですね。
世の中は「検定」ブームですが、いま全体でいくつの「検定」があるのかわからないほどです。しかし、意外とありそうでないのが、アートにかんする検定です。 「アート・スタンダード検定®」は、もっと広く知られていいんじゃないかなと思って、この機会に紹介いたしました。
芸術学部出身者の方だけでなく、一般のアート愛好家の方もご興味があれば、いちどぜひこのテキストの中身をのぞいてみてください。その価値は十分にあると思います。
目 次
アート・スタンダード検定公式テキスト(50音配列)
芸術関連専門事典・入門書一覧
文庫クセジュ(Collection QUE SAIS-JE ?)・芸術関係文献一覧
「知の再発見」双書・芸術関係文献一覧
玉川選書・芸術関係文献一覧
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