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2020年8月1日土曜日

書評 『日本経済予言の書-2020年代、不安な未来の読み解き方』(鈴木貴博、PHPビジネス新書、2020)-覚悟を決めながらも諦めないという相矛盾するマインドセットが、コロナ後に生きる日本人には求められている


「コロナ後を考える」といっても感染症そのものについてではない。経済についてだ。 

日本の場合は当然のことながら、世界全体を見回しても、たとえ感染爆発が進行しようが、圧倒的多数の人間は生き残るのである。 

だが問題は、パンデミックを生き残ったとしても、経済的に死んだのでは意味がない。失業率と自殺率にはかなり高い相関関係があるとされている。2020年以降の経済がどうなるのか、社会がどうなるのか想定内にしておく必要があるのだ。 

そんな観点から、『日本経済予言の書-2020年代、不安な未来の読み解き方』(鈴木貴博、PHPビジネス新書、2020年7月)という本を読んでみた。

基本的に、新型コロナウイルスによるパンデミックは、それ以前に進行していた諸問題が顕在化する契機となったというスタンスである。

コロナだから問題になったのではなく、コロナによって、もはや避けて通れない問題となったという意味だ。コロナによって問題の進行が加速する、という意味だ。 

目次を紹介しておこう。 

第1章 コロナショックでこれから何が起きるか 
第2章 なぜトヨタは衰退するのか 
第3章 気候災害の未来はどう予測されているのか 
第4章 アマゾンエフェクトが日本の流通を破壊する日 
第5章 確実に起きる人口問題の不確実な解決方法 
第6章 半グレ化する大企業とアイヒマン化する官僚たち 
第7章 日本崩壊を止めるには 

経済社会にかんするものと、ビジネスにかんするものが順不同になっているが、関心のある項目だけ読んでもいいだろう。

とはいえ、ビジネスの変化が経済の変化をもたらし、ひいては社会全体を変化させると捉えるべきであり、それぞれが密接な関係にあることは押さえておかねばならない。

基本的に、どう考えたって世の中は悪くなる、のである。これは避けられないことだ。とくに日本は自然災害大国であり、地球環境問題の影響をモロに受ける立場にある。人口も減少傾向にある。機械化・自動化だけでは対応不可能だ。移民受け入れは避けて通れない。 

だが、こういった事象は、この著者じゃなくても、ある程度までは誰もが考えることだろう。予測の手法に従って、ロジカルな推論を行えば、ある程度までおなじような結論がでてくるものだからだ。 

面白いと思ったのは、「第6章 半グレ化する大企業とアイヒマン化する官僚たち」だ。コンプライアンスを遵守する大企業は自社にとって都合の悪い面は外部化して中小企業に押しつけ、官邸支配下にある官僚は命令にのみ従う「アイヒマン」となっている、その弊害だ。この章だけでも読む意味はある。 

このほか、なかなか面白い分析と指摘がちりばめられているので、一読の価値のある本である。すべてに賛成するわけではないが、まあだいたいのところその通りだろうな、と。ただし、処方箋にかんしては異論も多かろう。 

間違いなくそうなるであろうという「予言」と、人間の意志によって変えることのできる「予言」の2つがある。前者はコントロール不能だが、後者はコントロール可能だ。そう考えて、覚悟を決めながらも諦めないという相矛盾するマインドセットが、コロナ後に生きる日本人には求められているのではないかと思う次第だ。 

いずれにせよ、すべてを想定内にして、事なかれ主義には陥らないことだ。主体的に動かなくては道は開けない。




PS 日本政府が酒の提供制限にこだわり、「1兆の損より10兆の損」を選ぶ謎
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

最後にざんげしておきます。5月末でコロナが収束して6月以降、日本経済は回復すると想定したわたしの未来予測は完全に外れました。政府や都がここまで狂ったように経済を止めに来るとはわたしは想定していませんでした。その点でまだまだわたしは未熟です。 

(2021年6月19日 情報追加)



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