【教科書には書いてある「知識」とは次元が異なる「知恵」の書】 『永守流 経営とお金の原則』(永守重信、日本経済新聞出版、2022)を読んだ。これは「教科書には書いてある「知識」とは次元が異なる「知恵」の書」というべき本だ。
内容には大いにうなづきながら読了。線引きだらけになるだろうから、線引きはいっさいしない。線引きするくらいなら、二度、三度と繰り返し、繰り返し読むべきだ。
京都には、京セラやオムロンをはじめとして、島津製作所や堀場製作所など、ハイテク企業の集積地帯となっている。日本電産もその1つであり、「京都はハイテク」というイメージを形作っている重要な存在だ。
消費財メーカーではないので一般的な知名度は低いだろうが、日本電産は、知る人ぞ知る国際的な生産財メーカーである。2023年には社名を NIDEC に変更し、さらなるグローバル経営を推進するらしい。
小型モーターを中核にした事業経営を中軸に、内部成長とM&Aによって規模を拡大してきたのが著者の永守重信会長。ことし77歳になる伝説のモーレツ経営者。創業からちょうど50年。 そんな永守氏がカラダを張って体得した「原則」なのだから、面白くないはずがない。
まさに「知恵の塊」といってよい内容であり、「知識」が書かれている教科書とは、次元が異なるのは当然なのだ。 もちろん、教科書は教科書で重要だ。知識がなかれば知恵も生かせない。
自分自身、金融と製造業の両方を「中の人」として体験してきたので、世界的な経営者である永守氏とは次元がまったく違うとはいえ、その発言には大いに納得しながら読んだ。
技術は大事だが、経営にとっては大事なのはマーケティング。そしてその根幹となるのが財務と資金繰り。カネのマネジメントがきちんとできていてこそ、夢の実現に向けて全身全霊でチャレンジできるのである。
ビジネスパーソンなら、できれば20歳代で、遅くても30歳代までには読み込んでおくくべき本である。
目 次まえがき序章 お金の戦略が必要だー会社を絶対つぶさないために第1章 キャッシュこそ企業価値の源泉ーコスト意識を鍛えよう第2章 会社を成長へ導く財務戦略ー創業期に重視すべき指標とは第3章 創業時の資金の集め方ーやっぱりお金から始まる第4章 金融機関とどう付き合うかー「取引は人なり」で活路第5章 取引先を見極める方法ーその選択が会社の命運を分かつ第6章 チャレンジと財務バランスー持続的成長へ変化を恐れない第7章 いざ株式上場 規律の中で鍛えるー問われる発信力第8章 M&Aをどう活用するかー永守流・勝利の方程式第9章 海外展開は飛躍のチャンスーリスク管理は分散から第10章 波乱の時代をどう乗り切るかあとがき
著者プロフィール永守重信(ながもり・しげのぶ)1944年京都生まれ。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業。1973年、28歳で従業員3名の日本電産株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。1980年代から国内外で積極的なM&A戦略を展開し、精密小型から超大型までのあらゆるモータとその周辺機器を網羅する「世界No.1のモーターメーカー」に育て上げた。代表取締役会長兼社長(CEO)、代表取締役会長(CEO)を経て、2021年より代表取締役会長。 2014年、世界のすぐれたモータ研究者の顕彰と研究助成を目的とした公益財団法人永守財団を設立、理事長に就任。また2018年には京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園理事長に就任。ブランド主義と偏差値教育に偏った日本の大学教育の変革と、グローバルに通用する即戦力人材の輩出に情熱を燃やしている。 著書に『「人を動かす人」になれ! 』(三笠書房)、『情熱・熱意・執念の経営』(PHP研究所)、『成しとげる力』(サンマーク出版)など。
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