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2022年12月18日日曜日

書評『自民党の統一教会汚染-追跡3000日』(鈴木エイト、小学館、2022)ー 「共依存関係」となっていた自民党と統一教会について時系列で迫る

 

このところメディアの引っ張りだこになっている、ジャーナリストの鈴木エイト氏の初の単著を読んだ。出版されたばかりの新刊だ。

 『自民党の統一教会汚染-追跡3000日』(鈴木エイト、小学館、2022)。内容は帯に書かれているとおりだ。「圧力に屈せず追求し続けたジャーナリストがたどりついた真実とは? 安倍元首相と教団、本当の関係。」 (*)

(*注)この文章は2022年9月27日に執筆したが、アップが大幅に遅れて12月になってしまった。ただし、内容には手は入れていない。

統一教会について追跡してきた人たちは何人もいる。なぜなら、冷戦構造のまっただなか、合同結婚や霊感商法などが社会問題化していたからだ。 

だが、その統一教会が自民党を中心とした政治家に浸透し、密接な関係が構築されていたことに気づいて、それを追跡してきたひとは、この鈴木エイト氏以外には誰もいない。 

オウム真理教の事件の陰で、統一教会の存在が見えない存在になっていたこともその理由の一つだろう。わたし自身、統一教会が名称変更していたことなど、最近まで知らなかった。 

自民党と統一教会との関係にかんしては、たしかに岸信介からの「安部三代」との関係を抜きに考えることはできない。だが、安倍元首相の場合はそうストレートにつながっていたわけではない。これは重要なポイントだ。 

その安倍元首相がなぜ濃厚な「反日思想」を根底に据えた、統一教会という「禁断の木の実」あるいは「毒まんじゅう」を食ってしまったのか? 

そして、ついにその毒が自民党という政党の全身にまで回ってしまって、抜き差しならない状態にまで至ってしまったのか? 

お互いの利害関係から始まった関係だが、まさに「共依存関係」としかいいような状態にまで進行していたのだ。いや、まだその関係は解消したわけではないだろう。 


本書は、鈴木エイト氏がこれまで地道な取材活動によって検証してきた事実を、既発表の記事を再編集し時系列に並べ直していくことで全体像があきらかにしていくという手法をとっている。 

その時点、その時点での動きはパズルのピースの1つ1つに過ぎないが、そのピースをならべていくうちに全体像がおぼろげながらも浮かび上がってくる。 

そのクライマックスが、安倍元首相の統一教会の集会におけるリモートによるビデオ挨拶であったのだ。これが動かぬ証拠となったことは、安倍元首相を暗殺した狙撃犯も含めて、少なからぬ人たちに衝撃を与えたのである。 

もちろん、全体像はおぼろげに見えてきただけであって、まだまだ全容解明にはほど遠い。 鈴木エイト氏の執念ともいえる地道な取材活動に敬意を表するととともに、日本全体の問題として全面的な取り組むがなされることを期待したい。 




目 次
プロローグ 安倍元首相が殺害されるまで
第一部 安倍政権との癒着(2013~2020)
 第1章 発覚した首相官邸と統一教会の”取引”
 第2章 利用される2世信者たち
 第3章 教団イベントに国会議員が大挙参加
 第4章 疑惑の国会議員を直撃
 第5章 全国弁連の申し入れにも聞く耳持たぬ自民党
 第6章 50周年大会の勝共連合、教団関連組織の工作
 第7章 顕在化する総裁・韓鶴子の反日思想
 第8章 2019参院選で暗躍する教団
 第9章 第4次安倍再改造内閣は”統一教会系内閣”
 第10章 自民党最大派閥会長が教団サミットで講演
 第11章 教団と政治家とのマッチング集会
 第12章 「桜を見る会」に統一教会関係者
 第13章 2世信者が韓国で謝罪ツアー
 第14章 国会議員同伴の北朝鮮訪問が頓挫
第二部 菅・岸田政権への継承(2020~2022)
 第15章 菅政権へ引き継がれる”負のレガシー”
 第16章 統一教会と米歴代大統領との蜜月
 第17章 ついに安倍晋三がリモート登壇
 第18章 岸田政権でも”継承”された教団との関係
 第19章 2022年参院選、安倍晋三暗殺
エピローグ 我々は何に目を向けるべきなのか
統一教会関連団体と関係があった現職国会議員168人


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