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2026年9月11日金曜日

「9/11」(2001年)から25年(2026年9月11日)― 受け取りかたに日米で違いがあるのは当然だ

 
本日は2026年9月11日。もう25年になるのか‥…。

その日、仕事先から帰宅してTVつけたら、2機目が突入するのをリアルタイムで目撃したことが強烈に記憶に残っている。9時台のニュース番組で渡辺真理アナウンサーだった。
 
YouTube を起動したら、DW(ドイッチェ・ヴェレ)作成のドキュメンタリー「9/11 - The day that changed the world | DW Documentary」が表示されているので、さっそく視聴してみた。86分。

9月11日の早朝からツインタワーの崩壊、そしてアメリカが反撃に出るまでが、時系列に沿って追跡される。ところどころに関係者のインタビューが挿入され、当時のなまなましい記憶が再生される。




テロリストたちが空港で搭乗手続きをする映像から始まり、ハイジャックによってトランスポンダーが切られてエアコントローラーとの交信が途絶、CAたちが機内通話をつかって機内の状況を連絡したものの、航路を変更した航空機がニューヨークに向かい、ツインタワーに突入する。

2機目が突入し、熱のためタワーが崩壊する前、耐えきれずに窓から身を投げる人たち。次から次へと地面にたたきつけられ、バシッツという音が響き渡る。視聴する側も耐えきれない気持ちになる。米国のTV局も、こういう映像を中継するのは止めることにしたと関係者が証言している。当然だろう。

そしてワシントンD.C. に向かったハイジャック機は、ホワイトハウスへの突入は断念し、迂回して国防省のペンタゴンに突入。米国史上はじめての本土攻撃であった。



「米国が攻撃を受けたのはパールハーバー以来だ」

関係者インタビューでなんどもクチにされるのが「米国が攻撃を受けたのはパールハーバー以来だ」という発言だ。

たしかに、米国領だが本土から離れたハワイのパールハーバー(=真珠湾)の奇襲攻撃は1941年であり、それからまる60年後に「9/11」となったことは歴史的事実である。「パールハーバー」は米国人にとってシンボリックな意味をもつ。

「パールハーバー」が引き合いに出されるのは、日本人からすれば、かならずしも気持ちのいい発言ではない。だが、米国人の観点からすれば、それは間違いなく確かな歴史的事実であり、この攻撃に対する国民の激しい怒りが米国政府による反撃を支持したのも当然だろう。

アルカーイダのテロリストたちは、それこそアメリカの「虎の尾」を踏んでしまったのだ。

まずはアフガニスタン、そしてイラクでの戦争が始まり、テロリスト組織アルカーイダのウサーマ・ビン・ラディン暗殺で、「9/11」の復讐の第一幕は終わる。「9/11」から10年後の2011年5月2日のことであった。


(NYで体験したジャーナリストによるルポ 画像をクリック!



■「9/11」から数年後の空気感はおなじ米国でも西海岸と東海岸で違っていた

「9/11」の何年後か忘れたが、米国出張のついでに NY に寄った際に、ずいぶん「愛国的」になっていたことを鮮明に覚えている。いたるところに星条旗があった。そんなことは、自分が留学していた1991年前後には見られなかった光景だった。

ところが、NY入りする前に滞在していた LA とはずいぶん雰囲気が違っていた。おなじアメリカといっても、現場から遠く離れた西海岸のカリフォルニアと直接的な被害のあった東海岸のNYとは空気感が違っていたのも確かなことだった。

そして、米国人と日本人の受け取りかたも違っているのも当然だろう。日本からNYまでは物理的距離があるだけでなく、日本語話者にとっては英語という言語の壁もある。

その日本では、1995年には1月に「阪神大震災」、3月にはサリンガスによるテロの「オウム真理教事件」、2011年には「3/11」という東日本大震災という巨大な自然災害が発生しており、どうしてもその中間にあった「9/11」の記憶もかすれがちなのだ。

NYのテロで直接の犠牲者となった日本人もいるが、その関係者以外の日本人にとっての意味合いが異なるのである。

たとえリアルタイムで映像を視聴したとして衝撃を受けたちはいえ、海の向こうの出来事だったからだ。物理的な距離と心理的な距離は、インターネット時代でも縮むわけではない。時間がたつとそう思わざるをえない。

「9/11」から25年になる本日、当時のことを記憶から引っ張りだして書いてみた。


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<ブログ内関連記事>





・・アルカーイダのウサーマ・ビン・ラーディン暗殺作戦



■パールハーバー(真珠湾)





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2026年1月17日土曜日

書評『国家の生贄』(福田ますみ、飛鳥新社、2025)― 公平な立場から「不都合な真実」を暴き「宗教弾圧」の実態に迫ったノンフィクション

 

『国家の生贄』(福田ますみ、飛鳥新社、2025)というノンフィクション作品を読了。500ページ以上の大冊であり、読み応えがあった。この本の存在は X(旧twitter)で知った。 自分が購入した時点ですでに第3刷であったが、すでに第4刷になっているという。

旧統一教会問題にかんして疑問を抱いたノンフィクション作家の著者が、誹謗中傷を受けながらも、執念ともいうべき粘り強い執拗な取材によって書き上げた、まさに迫真の一冊である。

「国家ぐるみのでっちあげ!/スパイ防止法潰し、拉致監禁、テロリストの願望を叶えた真犯人の正体/旧統一教会問題の不都合な真実/メディア報道と180度違う」と帯にある。 帯に使用されているフレーズを使用すれば、「旧統一教会問題の不都合な真実」という副題をつけたほうがよかったかもしれない。 




旧統一教会問題が再燃したのは、3年前の「安倍晋三元首相暗殺事件」からである。殺人犯は「宗教二世」で旧統一教会の被害者だ、そんな言説が拡散されたことがテロリストへの同情心を生み、旧統一教会バッシングが復活するキッカケとなった。 

かつてメディアで大々的に取り上げられ、世間から激しいバッシングを誘発した「霊感商法」の悪評が蘇り、さらに1995年の「オウム事件」というテロ事件の悪夢が重なることで、旧統一教会バッシングが燃えさかったのである。 

だが、本書を読んでいくうちにわかってくるが、どうやら旧統一教会においては、内部改革によって自浄作用が行われ、かつてのような行き過ぎた行動はすでに存在しないようだ。いまでは純粋な信仰集団となっているらしい。 




では、なぜ執拗な旧統一教会バッシングが止まないのか? 

その理由を解き明かしたのが本書のメインテーマである。 

それは、1978年の京都府庁選で「革新陣営」が敗退したことから始まった。日本共産党による「聖なる戦い」がその出発点にある。日本共産党の宿敵である「反共」を掲げる集団を撲滅せよという、悪魔的な「聖戦」なのである。 

共産党員やそのシンパ、左翼思想に染まった弁護士たち、それとは別個に統一教会をキリスト教異端とみなし、徹底的に叩くことに執念を燃やしたプロテスタント系の牧師たちと合流することで反統一教会活動のネットワークができあがり、「被害者救済」を名目にした「正体を隠し」の活動が行われてきたのだ。

なんといっても、おぞましいのは「脱洗脳」(ディプログラミング:deprogramming)を名目にした拉致監禁である。子どもたちを統一教会から取り戻そうとする親たちに取り入った活動だ。関与する牧師たちにとっても、弁護士たちにとっても、うまみのあるビジネスと貸していた事実。

拉致監禁という人権侵害の「被害者」は、1966年から2014年までの約半世紀で、なんと4,300人以上ときわめて多数に及ぶが、なかに信仰放棄を拒否して、なんと12年5ヶ月にわたって監禁されていた人もいるというのだ! (・・監禁から解放後の口絵写真を見よ!)

著者によって拉致監禁を主導した人物や弁護士、ジャーナリストの実名があげられ、かれらによる、それはもうおぞましいまでの悪行が、これでもか、これでもかと掘り起こされる。まさに、かれらこそ日本国憲法に記された「思想及び良心の自由」と「信教の自由」を踏みにじる、人権無視のカルト集団というべきだと言わざるをえない。 

さらに、左派リベラル系が牛耳る「オールドメディア」によって拡散され、それによって形成された国民世論にあらがえない政治家たち、その支配下にある公安、文科省。まさに国家ぐるみの犯罪というべきであろう。 

旧統一教会問題は、「宗教弾圧」だとして国連のみならず、同盟国であるアメリカからも批判されている。英語メディアでの言説はわたしも見てはいたが、ここまで酷いとは考えもしなかった。まことにもって迂闊な話である。ようやく目を覚まされた思いがする。 

ノンフィクション作家の著者は、旧統一教会関係者ではない。もちろん、読者であるわたしもまったく関係ない。公平な立場から行われた調査報道として、ぜひ読むべきだ。 


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目 次
まえがき テロリストの願望が叶う国 
第1章 戦後最悪の人権侵害 ― 拉致監禁 
第2章 全国弁連の正体 
第3章 謎の男 ― 強制改宗請負人 
第4章 「小川さゆり」 
第5章 現役二世信者は訴える 
第6章 「カルトだと負け」 
第7章 畏怖誤信 ― 不当判決の山 
第8章 文科省の言論封殺 
第9章 解散命令請求 ― 高額献金者の胸の内 
第10章 念書裁判の真実 ―「鬼のような長女」 
第11章 公安が仕組んだ冤罪1 新世事件 
第12章 公安が仕組んだ冤罪2 ストーカー規制法違反事件 
第13章 成城教会移転騒動 ― 迷惑集団はどちらか 
第14章 文科省の犯罪 ― 陳述書捏造 
第15章 解散命令 ― 国策裁判 
特別収録1 拉致監禁史 
特別収録2 生還者の肉声 
特別収録3 後藤徹氏の裁判闘争 
特別収録4 国際社会の警告

著者プロフィール
福田ますみ(ふくだ・ますみ) 
1956年、横浜市生まれ。専門誌、編集プロダクションを経てフリーのノンフィクション作家に。犯罪、ロシア、学校現場での冤罪事件などをテーマに取材、執筆を行っている。2007年、『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮社)で第6回新潮ドキュメント賞を受賞。作品は2025年に映画化された。2024年には、宗教に関する優れた記事に与えられる米国のウィルバー賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの) 


<関連記事>

Japan: “Sacrifice to the Nation,” an Extraordinary Book. 1. A Country Where Terrorists’ Wishes Come True (by Bitter Winter | Jan 20, 2026)
・・宗教問題専門サイト Bitter Winter による本書『国家の生贄』(福田ますみ、飛鳥新社、2025)の詳細な紹介とレビュー







オウム事件後の日本における「マインド・コントロール幻想」。宗教学者の太田俊寛氏による国際会議報告


<ブログ内関連記事>


・・アフリカには日本の新宗教だけでなく、統一教会も進出して信者が増えているという事実



■本書で取り上げられ批判されている関係者の著書



(2026年2月1日 情報追加)


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2023年11月27日月曜日

映画『マイティ・ハート 愛と絆』(2007年、米国)をはじめて視聴した(2023年11月26日)― 憎しみはなにも生み出さない。たとえ異なる宗教であっても人間として信頼と友情は築くことができる


 
映画『マイティ・ハート 愛と絆』(2007年、米国)を DVD ではじめて視聴した。108分。

「9・11」(2001年)の翌年、対テロ戦争の取材のため滞在していたパキスタン南部の都市カラチで、狂信的なイスラーム過激派のテロリストたちによって誘拐され人質となり、殺害されたダニエル・パール氏。米国の経済誌「ウォールストリート・ジャーナル」(WSJ)の記者であった。

その妻が書いた手記『マイティ・ハート ー 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死』(マリアンヌ・パール、高濱賛訳、潮出版社、2005)を原作にした映画である。Based on a true story とある。ほぼ実話であり、原作に忠実に映画化したとDVD付録の「メイキング映像」で監督が語っている。

おとり取材で呼び寄せられ、そのまま拘束されて人質となり、首を切り落とされるという残酷な殺された方をしたダニエル・パール氏。殺害されたとき夫は38歳、妻は33歳だった。妻は身ごもっていたが、夫は子どもの顔を見ることもできなかったのだ。

その名字パール(Pearl)からもわかるようにユダヤ系米国人であった。ゴールドやシルバー、ダイヤモンドやサファイアなど、宝石や貴金属を名字にしているユダヤ人は多い。

イスラーム過激派の取材をユダヤ系のジャーナリストが行うなんて、それだけで危険ではないかとわたしなど思ってしまうのだが、真相究明に命を賭けるジャーナリスト精神の発露とはいえ、新聞社の上司はどう考えていたのだろうか。

実際、ユダヤ人であるということが、ダニエル・パール誘拐の原因になったのである。どうやら「あなたはキリスト教徒か?」とかまをかけられ、一瞬ひるんで思わずユダヤ人だと口にしてしまったようだ。「記者はユダヤ人」だという情報が回り回って、テロリストによって誘拐される原因をつくりだしたのである。

「ユダヤ人=イスラエル=モサド=CIA」という「邪悪な連想」が、過激なイスラーム主義者たちの固定観念になっていたのが原因と考えられる。この固定観念は現在でも変わっていないのではないか?





■映画の舞台はパキスタン南部の都市カラチ

映画は、ともにジャーナリストであったこの夫婦のパキスタンにおける日常生活の描写から始まる。

夫が誘拐されてから平和な日常が断ち切られてしまうが、彼女を励ます同僚のムスリム系インド人女性記者、そして新聞社の上司たちパキスタン警察テロ対策部門(CID)のキャプテンとその部下たち。

人質の解放を待つ家族の気持ちに寄り添うかれらのあいだに、ほとんどひとつのチームのような連帯感も生まれてくる。


(インド洋に面したカラチはパキスタン第2の都市 クリックで拡大)


2001年の「9・11」後に米国の報復攻撃、逮捕され拘束された関係者は各国に設置された秘密基地で激しい拷問を受けていた。その象徴ともいえるのが、キューバにある米海軍グアンタナモ基地であった。

犯人側はグアンタナモ基地に拘束されている捕虜たちを解放せよと迫ってくるのだが、対テロ作戦を実行中の米国政府は断固として拒否する。この当時の国務長官はコリン・パウエル氏であった。

パキスタン警察テロ対策部門(CID)の総力をあげての必死の捜索活動で、ついに真犯人を追い詰めるところまでいったのだが・・・。



■ユダヤ教徒のダニエル・パール氏は宗教的に寛容であった

ユダヤ系米国人ジャーナリストのダニエル・パール氏の悲劇については、ユダヤ系フランス人の哲学者ベルナール=アンリ・レヴィ(BHL)の『だれがダニエル・パールを殺したか? 上下』(山本知子訳、NHK出版、 2005)というノンフィクションがでている。




ずいぶん前に読んだので、詳しい内容は忘れてしまったが、残念ながら日本ではあまり話題になっていなかったように思う。

ベルナール=アンリ・レヴィ氏は、アルジェリア生まれのセファルディム系「フランスのネオコン」とよばれることもあるほど、熱烈にイスラエルを支持しているが、この事件とその取材活動をつうじて著作を行ったことで、さらにその確信を強めたのであろう。


イラク戦争を扇動した米国の「ネオコン」は、もともとは民主党支持の理想主義者のユダヤ系米国人の知識人が転向し、共和党支持になった人たちだ。ブッシュ・ジュニア政権のもとで猛威を振るったことは記憶にあたらしい。




だが、ダニエル・パール氏はユダヤ系であっても、それほど熱心にユダヤ教を実践していたわけではない。ましてやネオコンではまったくない。さらにその妻のマリアンヌはフランス人で、しかも仏教信者であった。夫婦でも異なる宗教だったのである。夫の家族も彼女を温かく迎え入れていた。

マリアンヌが仏壇の前で祈るシーンや、「南妙法蓮華経」とお題目を唱えるシーンもでてくる(・・ちょうど最初から71分時点)。ハリウッド映画でお題目が唱えられるのは、黒人ディーバであったティナ・ターナーの伝記映画以来かな。

田原総一郎のノンフィクション『創価学会』(田原総一郎、毎日文庫、2022)で、この映画のことをはじめて知った。昨年の今頃のことだ。それまでこの映画のことは、うかつなことにまったく知らなかったのだ。

あるいは、すでに『だれがダニエル・パールを殺したか?』を読んでいたから、あえて見るまでもないと黙殺したまま記憶から消えていたのかもしれない。


(マリアンヌ・パール氏とその手記)


田原氏の著書によれば、ダニエル・パール氏の妻マリアンヌは18歳から創価学会の信者であり、そのなかで人格形成してきたらしい。

夫の誘拐という身を引き裂くような事態に直面しながらも、冷静さを維持しつづけた強靱な精神力と、殺害という残酷な事実を受け止め、絶望から精神的に回復したリジリエンスは、そのたまものなのであろう。

二人の結婚式が回顧されるシーンでは、ユダヤ教ならではだが、新郎が飲み干したワイングラスを足で踏みつけて割る儀式とともに、仏教信者としての新婦の信条である「力と勇気、知恵と善意」について語られている。

(・・ただし、わたし自身は、創価学会どころか法華経の信者ですらない。Buddhist ではあるが、あえていえば「南無阿弥陀仏」の念仏系。とはいえ、浄土「真」宗ではない。しかも、まったく不熱心である。神社もお寺も参拝する、ごくごく普通の平均的な日本人、つまり山本七平いうところの「日本教徒」である。念のため)


(ダニエル・パール氏 Wikipediaより)


米国人でユダヤ教徒であったダニエル・パール、フランス人で仏教信者であったその妻、そして新聞社のカラチ支局で同僚であったムスリム系インド人女性、パキスタン社会のマジョリティであるムスリムたち。

夫婦のあいだの愛と絆、そして異なる宗教をもつ人びとのあいだでも信頼と友情は築くことができることを示した映画である。そして、憎しみがなにも生み出さないことも。

あの事件からすでに20年も経過している。わたしとはほぼ同世代のダニエル・パール氏にとっては、無念なことだっただろう。

その名前は日本では言及されることが少ないが、勇気あるジャーナリストとして、ダニエル・パール氏は長く記憶されるべきである。




<関連サイト>

Mariane Pearl
・・妻のマリアンヌ・パールにかんしては日本語版もある

Daniel Pearl
・・夫のダニエルにかんしては日本語版はない。残念ながら、日本での関心の薄さを反映しているようだ。
Daniel Pearl (October 10, 1963 – February 1, 2002) was an American journalist who worked for The Wall Street Journal. 
On January 23, 2002, he was kidnapped near a restaurant in downtown Karachi and murdered by terrorists in Pakistan. 
Pearl's kidnapping was carried out by Islamist militants after Pearl had gone to Pakistan as part of an investigation into the alleged links between British citizen Richard Reid (known as the "Shoe Bomber") and al-Qaeda
Pearl was beheaded by his captors, who later released a video of his murder. Ahmed Omar Saeed Sheikh, a British national of Pakistani origin, was sentenced to death by hanging for Pearl's abduction and murder in July 2002,[1] but his conviction was overturned by a Pakistani court on April 2, 2020.(・・後略・・)

・・ダニエル・パール氏の両親は、2020年にパキスタンの最高裁に対して、殺害犯人の死刑判決を取り下げるよう請願している。米国とパキスタンの架け橋となるべく活動されてきた両親。憎しみはなにも生み出さないという信念にもとづく





<ブログ内関連記事>

・・米国を代表する経済紙WSJ(=ウォール・ストリート・ジャーナル)と日本経済新聞の違いもまた、本書を読んでいてつよく印象づけられた。・・記者クラブのない米国の新聞ジャーナリズムの基本線をつくったのがWSJであった。

・・学会そのものも強靱な組織であるが、信者もまた精神的に強靱である。先日(2023年11月15日)、創価学会の第3代会長でカリスマ的存在であった池田大作氏が95歳で亡くなったが、これからどうなるかはわからない。国内と国外でも影響の現れ方には違いがでてくるかもしれない

・・キューバにある米海軍のグアンタナモ基地内に設置された監獄で行われた拷問。アメリカ同時多発テロ以降は、中東などからのテロリズム容疑者の尋問と収容を、この基地でおこなった。その背景は、アメリカ合衆国憲法下では被疑者の人権を保障しているため、租借条約上、米国が完全な管轄権を持ち、かつ米国の主権下ではない「灰色地帯」を利用することをもくろんだものと考えられている」


■テロリズム。アフガニスタン、パキスタン、インド

・・CIAによるウサーマ・ビンラディン殺害作戦


・・タリバーンによる「人類の文化遺産」バーミヤン仏教遺跡の破壊は2001年のことであった





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2023年10月27日金曜日

スピールバーグ監督の映画『ミュンヘン』(2005年、米国)を日本公開から17年ぶりに視聴。 一般人に対する残虐なテロ事件にどう対応すべきかという困難な課題

 

スピールバーグ監督の映画『ミュンヘン』(2005年)を amazon prime video でひさびさに視聴した。日本公開は2006だから、17年ぶりということになる。

163分とはじつに長い。長いだけでなく、全編に張り詰めた緊張感と、主人公のメンタルダメージもあって、ものすごく消耗してしまう。自宅でPCで視聴していてもそうだ。

ミュンヘン・オリンピック大会の選手村で起こったイスラエル選手団虐殺事件。その報復は、「神の怒り作戦」として、パレスチナのゲリラ組織指導者11人暗殺として実行に移されることになる。

そのミッションのリーダーとしてまかされたのが、対外情報機関「モサド」に所属していた主人公であり、その暗殺ミッションの成功と苦悩を描いた作品だ。

暗殺が実行されるのは、ヨーロッパ域内のローマ、パリ、キプロス、それにベイルート、そしてアムステルダムである。

ターゲットを絞り込み、一般人が巻き添えになることは極力回避するのが基本方針である。暗殺の実行者メンバーは、みな「存在しないはずの人物」という扱いになっている。主人公もモサドから籍を抜いている。

だが、まったくカタルシスのない映画である。爆殺と乱射という暴力シーンが連続するからではない。

報復のための暗殺作戦ミッションの成功ストーリーに見えながら、じつはそうではないからだ。

数人の暗殺に成功したがゆえに生まれてくるジレンマと心理的コンフリクト。もうこれ以上は自分にはできない。そこまで追い詰められる主人公は、最後までコミットすることなく職務の継続を拒否する。

いろんな意味で、あまり後味のよい映画ではない。むしろ、問題をつきつけてくる映画である。

ひさびさに視聴してみると、さすがに17年もたっているためか、鮮烈に覚えているシーンとそうでないシーンがあることが確認される。

ゴルダ・メイア首相じきじきの依頼のシーンと、パリでの爆殺シーンなどは鮮明に記憶していたが、それ以外は忘れていた。記憶というものがじつにあいまいなものであるか実感する。



■1972年ミュンヘン・オリンピック大会

自分は1972年のミュンヘン・オリンピックは、リアルタイムで知っている世代だ。

男子バレーボール代表チームをアニメ化した『ミュンヘンへの道』を毎週見ていた。男子バレーボールは見事に優勝している。その年の2月には、札幌で冬期オリンピック大会があった。東京でも雪が降っていた。

もちろん、イスラエル人選手団の選手たちが虐殺された事件もリアルタイムで知っている。全員が選手村の宿舎で殺害されたと記憶していたが、それはまったく違っていた。2006年にこの映画を見ていたのに、1972年の記憶が修正されていない不思議さ。

イスラエル選手団虐殺事件は、「ミュンヘン・オリンピック事件」とよばれている。1972年9月5日のできごとだ。イスラエルのオリンピック選手11名が虐殺された事件は、それはもう衝撃的な事件であった。

犯行を実行したのは、パレスチナ武装組織「ブラック・セプテンバー」(黒い九月)である。

日本赤軍の岡本公三などが、イスラエルのテルアヴィヴの国際空港で26人の死者をだす乱射事件を起こしたのは、1972年5月30日のことであった。日本人テロリストがイスラエルでテロ事件を起こしていることを忘れてはいけない。

航空機をハイジャックする事件もひんぱんに起こっていた。1968年から1972年にかけては、日本を含めた先進国で極左テロの嵐が吹き荒れた時代である。そんなさなかで発生したのが、ミュンヘン・オリンピック事件だったのである。


■「第4次中東戦争」は「ミュンヘン・オリンピック事件」の翌年

ことし2023年10月7日の、パレスチナのテロ組織ハマスによるイスラエルへのサプライズ・アタックから3週間たった。

「ヨムキプール戦争」とよばれる「第4次中東戦争」は1973年10月6日が起こってから、ちょうど50年目のできごとであった。ただし、この戦争は映画には反映されていない。

2023年10月7日は「ヨムキプール」から始まるユダヤ教の祝祭日の最後にあたる「シムハット・トーラー」でシャバット(安息日)あった。イスラエルは、また隙をつかれたのである。

コンサート会場での一般人虐殺キブツでの住民虐殺人質を拉致するするなどのテロ行為を行ったハマスに対する攻撃が行われている。イスラエル側の死者は1400人にのぼっている。

ガザのパレスチナ人の一般民衆を巻き添えにした攻撃に国際的批判が起こっているが、それは当然だ。すでに5000人以上の一般人が空爆の巻き添えになっている。

イスラエルが公開したキブツでの虐殺現場の動画を見ていると、「ミュンヘン・オリンピック大会」での選手たちの虐殺シーンと重なりあうものがある。軍事衝突ではないのである。抵抗できない人質たちがマシンガンで虐殺されているからだ。

軍事衝突なら、軍人が戦場で解決すればいい。だが、一般人を対象にしたテロの場合は、そうはいかない。テロに対してテロで応酬せよという声が、かならず起こってくるからだ。

被害者遺族よりも、むしろ直接の当事者ではない一般国民の報復感情が燃え上がりやすいからだ。ホロコースト後のユダヤ人の場合は、なおさらであろう。

実際、モサドとシンベットが共同で「ニリ」という特殊部隊を創設している。要人暗殺作戦が何年にもわたって実行されるのであろう。「黒い9月」のケースにおいても、最後のターゲットが暗殺されたのは、事件から約7年後の1979年であった。

だが、テロに対する報復感情は、なにものも生み出さない。なぜなら、テロは行為そのものであるが、テロの背後には思想があるからだ。テロの指導者を抹殺したところで、その思想の継承者がまた生まれてくる

そんなセリフを主人公に語らせているスピールバーグ監督は、ユダヤ系米国人であるが、イスラエル人ではない。この映画は、公開当時はイスラエルでは批判も多かったという。その意味を考える必要がある。

この映画が製作され公開された2005年は、米国で「9・11」テロが起こった2001年から4年後のことであった。






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・・連続して暴力シーンを見せられることになる観客は、いったい「ドイツ赤軍」(RAF:Rote Armee Fraktion)とは何だったのかと自問自答せざるを得ない。






■スピールバーグ監督映画




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