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2010年2月4日木曜日

書評 『醜い日本の私』(中島義道、新潮文庫、2009)-哲学者による「反・日本文化論」とは、「世間論」のことなのだ




哲学者による「反・日本文化論」とは、「世間論」のことなのだ

 『うるさい日本の私』、『私の嫌いな10の人びと』、『私の嫌いな10の言葉』・・なんて本を出してきた哲学者だといえば、この本もまた例の"偏屈じじい"によるクレーム本だろうと思っていた。

 暇つぶしのために買ったこの文庫本、読んでいたら意外と内容がまともで読むに耐えるというより、平易に書かれているが非常に内容の濃い本だとわかった。

 タイトルは、川端康成の『美しい日本の私』大江健三郎の『あいまいな日本の私』という、いずれもノーベル文学賞受賞講演のタイトルをもじったものだが、本人いわく「人一倍、不快なもの、醜いものに感受性の強い」(!)著者の分析は非常に鋭い。中島先生、単なる偏屈者ではないんですね。

 著者の分析そのものは、おおかた当たっていると思う。

 日本人は美意識がきわめて高いが、醜いものがすぐ隣にあっても居心地がよければまったく違和感を感じない心のもちよう一つで見えても見えないこととする、聞こえてもきかないことにする、という訓練を子供の頃から受けてきた・・・こんな分析が全体に散りばめられていて、読んでいてな~るほどと納得させられる。

 とはいえ、私自身はさすがに、著者と一緒になって、あらゆることにクレームつけたりする気にはならないなー。著者の分析は正しくても、無意識のうちに「世間」にどっぷりつかっている日本人の大半は、もちろん私も含めて、著者の価値観とは違うものをもっているためだ。

 著者は、「感受性についてのマイノリティ」あり、であるからこそフツーの日本人が見過ごしていることに非常に敏感なのだろう。その意味では貴重な本である。

 世の中には、そういう過敏なまでに感受性が強い人も存在するのだ、ということは意識のなかにいれておきたい。 

 哲学者による「反・日本文化論」、けっして読んで損はない。「反・日本文化論」は裏返せば、実はすぐれた「日本文化論」となっているのである。

 それは、つまるところもう一つの「世間論」なんですね。


<初出情報>

■bk1書評「哲学者による「反・日本文化論」とは、「世間論」のことなのだ」投稿掲載(2010年2月2日)
 *再録にあたって、字句の修正を行った。




<書評への付記>

 著者の中島義道(1946~)は哲学者で電通大教授、この人のことは、好きな人は好きだろうが、キライな人は徹底的にキライだろう。

 書いているものを読む限り、面白いと思う点も多々あるが、正直いってこの人には直接かかわりたくないねーという気にさせられるのは、否定するつもりはないな。

 その昔、ウィーン愛憎-ヨーロッパ精神との格闘-』(中島義道、中公新書、1990)という--一般書としては著者のデビュー作といっていいだろうか--を読んだとき、次から次へと学士入学やら大学院をハシゴしているこの人は、社会人になりたくないのかな、と思ったものだ。モラトリアム人間のような印象ももった。

 内容はというと、欧州の古都ウィーンに留学した著者の、文字通り西洋文明と闘う日々を描いた読み物でたいへん面白かったが、その後私も米国に留学して、米国も欧州同様だと強く思ったものである。この手の読み物としては、同じく中公新書からでたロングセラーである、会田雄次の『アーロン収容所』(中公新書、1962 中公文庫、1973)と並んで、体当たりで脱西欧を宣言した本といってもいいだろう。

 その後、中島義道のことなど忘れていたが、ある頃から日本と日本人に、やたらとイチャモンつけるオッサンとして登場してきたことを知った。欧州を斬ったあと、返す刀で日本も斬りまくっているのだが、いまから考えれば日本的「世間」に一人で徹底抗戦するドンキホーテのような存在になったということなのだ。その頃はまだ、阿部謹也の「世間論」も登場しておらず、孤軍奮闘ということだったのかもしれない。中島義道が阿部謹也についてどう思っているのかは、私は知らないが。

 続・ウィーン愛憎-ヨーロッパ、家族、そして私-』(中島義道、中公新書、2004)が出たので読んでみたが、この本は『ウィーン愛憎』リターンズ、とでもいった内容の本で、14年たっても著者は日本的な意味での"オトナ"とはほど遠い、わがままの固まりであることをさらけだしている。インパクトは『ウィーン愛憎』ほどはない。あーそうですか、くらいの印象しかもたなかった。

 本書『醜い日本の私』については書評に書いたとおりなので、興味のある人は読んだらいいと思う。「人一倍、不快なもの、醜いものに感受性の強い」、つまるところキタナイものが目についてしょうがない、ウルサイものが耳についてしょうがない、ということで、まあ一種のビョーキなんだろうが、そういう立場から見えてくる、日本と日本人がつくりだすに人間関係は、なかなか見事な分析になっていて面白い。

 すくなくとも、西洋人向けにオリエンタリズム丸出しで書かれた、川端康成の『美しい日本の私』よりは、はるかにマシだろう。

 哲学者による「世間論」といった内容の本だ。



PS <関連サイト>と<ブログ内関連記事>をあらたに加えた。 (2014年1月29日 記す)


<関連サイト>

バカな人々と戦って「人間とは何か」を学べ!-『うるさい日本の私』の中島流騒音対策法 (東洋経済オンライン 2014年1月29日)
・・「人生相談」のテーマは、まさに中島氏が戦ってきた「うるさい日本」


<ブログ内関連記事>

書評 『ヒトラーのウィーン』(中島義道、新潮社、2012)-独裁者ヒトラーにとっての「ウィーン愛憎」                                
書評 『見える日本 見えない日本-養老孟司対談集-』(養老孟司、清流出版、2003)- 「世間」 という日本人を縛っている人間関係もまた「見えない日本」の一つである

書評 『「空気」と「世間」』(鴻上尚史、講談社現代新書、2009)-日本人を無意識のうちに支配する「見えざる2つのチカラ」。日本人は 「空気」 と 「世間」 にどう対応して生きるべきか?

(2014年1月29日 情報作成)




(2012年7月3日発売の拙著です)









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