「引き出し」作りのプロが、自分の「アタマの引き出し」の中身を惜しみなく公開します。    テーマは森羅万象×縦横無尽。「無数の引き出しをもつ人」になって「人間力」を高めよう!

  
「引き出し」とは一般に「雑学」とよばれているものときわめて近い・・藤田田(デン)に学ぶものとは?


◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「この国を出よ!」-東南アジアをよく知ろう!●

■■■■ 「ミャンマー再遊記」 全8回+α ■■■■
 総目次はここをクリック!
■■■■ 「三度目のミャンマー、三度目の正直」 全10回+α ■■■■
 総目次はここをクリック!
■■■■ 「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中) ■■■■
 総目次はここをクリック!

お役に立ちます!ご自由にお使い下さい!


●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


●「小国」日本のモデルになりうるか?



ケン・マネジメント のウェブサイトは http://kensatoken.com です。
姉妹編の 「佐藤けんいち@ケン・マネジメント代表 公式ブログ」 は http://ken-management.blogspot.com


ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。


2010年8月19日木曜日

書評 『わたしはコンシェルジュ-けっして NO とは言えない職業-』(阿部 佳、講談社文庫、2010 単行本初版 2001)




「コンシェルジュ」の仕事-「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは?

 コンシェルジュ(concierge)という仕事がどういうものか。このコトバが日本語でも使われるようになってきたので、単行本初版がでた2001年当時とはだいぶ状況が変化したのではないだろうか。お客様の要望にはどんなものでも応えるというコンシェルジュが、比喩的な意味で使われることもしばしばある。

 しかし一方、コトバは拡がっても、実際に日本国内でコンシェルジュのお世話になることがあまりないのは、外資系ホテルが増えたとはいえ、まだまだコンシェルジュの絶対数が日本では少ないからだろう。日本を一歩出れば、私もいつもコンシェルジュのお世話になっているのだが。
 その意味で、コンシェルジュというホスピタリティの仕事がどういうもので、そのために必要な能力は何が求められるのかについて語った本書は、現在でも貴重な一冊である。
 「サービス」と「ホスピタリティ」の違いについては、直接読んで確かめてほしい。

 著者は、コンシェルジュに憧れながらも、まだその職種が日本になかったため断念、10年間別の仕事を経験してからヨコハマ・グランド・インターコンチネンタルで念願のコンシェルジュに就くことができた人である(・・現在はグランド・ハイアット東京のチーフ・コンシェルジュ)。この回り道が、実は意味があったことも本書で十分に語られている。
 コンシェルジュとは、お客様のばくぜんとした要望を限られた質問内容から感じ取り、イメージし、的確で具体的な解答を説得力をもて提示する仕事だからである。
 そのためには、好奇心を全開にして、五感をフルに活動させて、実にさまざまな事を実際に自分で見て、体験しておく必要があるわけなのだ。広く浅くでいいから何でも知っておくことが重要。つまり「引き出し」や「ポケット」はたくさんあればあるに越したことはないということ。
 そして何よりも、すぐに電話で聞ける人脈をもっていることも不可欠であるという。

 本書はコンシエルジュになりたい人、コンシエルジュをもっと知ってみたい人だけでなく、人に接する仕事には何が必要なのかヒントを得たい人にもひろく薦めたい。



<初出情報>

■bk1書評「「コンシェルジュ」の仕事-「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは?」投稿掲載(2010年6月23日)
■amazon書評「「コンシェルジュ」の仕事-「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは?」投稿掲載(2010年6月23日)

*再録にあたって加筆した。




<書評への付記>

 コンシェルジュ(concierge)は、もともと門番とか管理人という意味であったが、現在はもっぱらホテルの専門職として、顧客の要望になんでも応える係という意味で、日本でも知られるようになった。
 どうしてもフランス語読みしてしまう私は、書くときにコンシエルジュとしていまい、検索に引っかからないことが多くて困っている。さらに正確に表記すると、コンスィエルジュ だろうか。

 サービス(service)は、もともと神に仕える(serve)という意味から派生したコトバ。日曜礼拝(Sunday morning service)や軍務(military service)という表現で使われる「サービス」は、かなり原義に近い用法である。ビジネス用語として使う「サービス」は、もっとも新しい用法である。
 日本語のガソリンスタンドを意味するサービス・ステーションは、米語では gas station というが、フランス語では une station service(スタシオン・セルヴィス)というので、まったく間違っているわけではない。
 日本人が一般に使っているサービスは、いわゆる第三次産業の一つである「サービス産業」の意味合いが強い。さすがに無料の意味で「サービス」しておきます、とクチにすることは減ったのは、「フリー」というコトバが普及したためだろうか。
 米国を中心に「サーバント・リーダーシップ」(Servant Leadership)というコンセプトが生まれているが、これは service や serve の原義である「神に仕える」にもっとも近い意味で使用されている。神の僕(しもべ)が神に仕えるように、顧客や従業員に使えるリーダーシップ・スタイルということである。

 ホスピタリティ(hospitality)は、日本語でいえば「もてなし」にあたる。遠来からきたお客さんを、あたかも友達のように歓待し、もてなすことを指した表現である。
 病院のホスピタル(hospital)から派生したコトバである。ホテル(hotel)は、ホスピタルから分離した、というよりも、もともとホスピタルとホテルは同じだった。
 私はホスピタルとコトバには、どうしても十字軍時代のニュアンスを感じてしまうのだが・・・

 サービスとホスピタリティの違いは、その二つを区分して使用する人によって、かなりバラエティがあるのだが、ニュアンスの違いはなんとなく理解していただけただろうか。

 「仕える」サービス「もてなす」ホスピタリティ
 あえていえば、目線と位置の違い、ということになろうか。

 いずれにせよ、西欧文明の根幹をなすキリスト教文化が背景にがあることは、十分に知っておいたほうがいいだろう。
 かつて作家専業の頃の田中康夫は何度もサービスとは何か、というテーマで書き、発言していた。両親が敬虔なカトリックであることが影響していたようである。