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2010年9月20日月曜日

美術展 「田中一村 新たなる全貌」(千葉市美術館)にいってきた


 美術展 「田中一村 新たなる全貌」に行ってきた。

  ●会場:千葉市美術館
  ●会期:2010年8月21日~9月26日(日)

 奄美で描いたエキゾチックな画題を、なんと日本画で描いたのが田中一村(たなか・いっそん 1908-1977)であったが、実は昭和33年(1958年)に奄美に移住する直前まで、千葉市に家を建てて20年も住んでいたのであった。
 その土地にかかわるゆかりから、千葉市の千葉市美術館と鹿児島県奄美の田中一村記念美術館が共催で企画した美術展。千葉市美術館では、開館15周年記念特別展として開催されたもの。


NHK ETV(教育テレビ)「日曜美術館」の意外な観客動員力

 昨日(19日)、たまたまNHK ETV の「日曜美術館」を見て、はじめて今回の美術展の存在を知ったのである。番組名は「田中一村 奄美の陰影」。充実した内容であった。

 日曜夜8時台は、ある時期まで大河ドラマの『龍馬伝』を見ていたのだが、中だるみして面白くないので見なくなっていた。これはまったく偶然のことだが、何か面白い番組はないかとおもっていたら「日曜美術館」で、なんと田中一村を取り上げていたのだ! しかも、美術展をいま千葉市でやっているのだと。

 このときばかりは、普段はあまり好きではない、絵に描いたようなインテリのカン・サンジュンの語り口も、とくだん違和感なく耳にすることができた。この人は、思想や政治の話でないほうがあっているのではないかと思う。思想内容は好きではない。

 実際に、12日と19日(再放送)のNHK ETVの放送以来、来客数がぐんと増えたと館員がいっていた。あとでも書くが、目録も売り切れで増刷り中とのこと。
 NHK ETV(教育テレビ)とはいえ、その影響力たるや、けっして侮れないものを知ることになった。まさかチケット買うのに並ばされるとは思わなかった


田中一村とは

 田中一村は、生前はほとんど評価されず、孤高の画家というニックネームのよく似合う人だったらしい。らしいというのは、私自身、田中一村をはじめて知ったのは、90年代に入ってからで、たまたま入手した『田中一村作品集-NHK日曜美術館「黒潮の画譜」-』(日本放送出版協会、1985)を入手して、魅せられてしまって以来のことだ。

 その後、実物はどこかの百貨店の美術展で見て以来のことであった。

 また、『日本のゴーギャン 田中一村伝』(南日本新聞社=編、小学館文庫、1999)という本もあるように、「日本のゴーギャン」というニクネームをつけた人もいるが、奄美は日本であり植民地タヒチとは違うので、このミスリーディングなニックネームは、田中一村がもし生きていて知ったなら、非常に不本意に思ったに違いない。


今回の美術展 「田中一村 新たなる全貌」(千葉市美術館)では大きな収穫がある

 今回の美術展はなんといっても、田中一村の全貌がようやく明らかになってきたことだろう。かなり調査研究が進んできたようで、今回の展示も、みなが期待する奄美時代のものは1/3で、残りは奄美に移住する前の作品である。基本的に個人蔵が多いので、これほどまとまって展示されたのは初めてのことだろう。

 栃木県生まれの田中一村は、若い頃から神童とよばれたが、東京美術学校を二ヶ月で退学、当時は号を米邨(べいそん)と名乗り、昭和初期に流行した上海画壇風の作品で売れっ子だったらしい。
 当時製作した掛け軸は現在でも個人蔵でかなりの点数が存在するようで、今回も多数展示されていた。
 この時代は本人の意識では、画家というよりも職人になっていることに気がついたのだろう。確かにすぐれた技術をベースにした南画は、床の間に飾っておくには素晴らしい。
 しかし、だからこそブームが去り始めたときにこれではいけないと気づき、それに飽きたらずに自分独自の画風を確立すべく、過去を断ち切ってあらたな道を模索したのだと想像される。かなり自分に厳しい人だったのではないか。

 長い模索時代の絵も多数展示されており、奄美時代の画風を髣髴させるようなものも少なからずあることがわかった。
 この時代、千葉市の千葉寺(地名)に家を建てて姉や妹と20年間暮らして、当時はまだ農村的生活のなかで画業に専念していたようだ。千葉寺球場で有名な千葉寺地区も、むかしはひなびた農村だったようだ。
 頼まれて製作した襖絵(ふすまえ)やお寺の天井画なども多数残している。


なぜ移住先が奄美だったのか?

 なぜ移住先が奄美だったのかという理由がよくわからないが、「日曜美術館」での説明のとおり、日展での落選という、激しく大きな挫折がキッカケであったことは間違いがないだろう。
 おそらく、とにかく、ひたすら南へ、南へと憧れていたというのが真相だろうか。
 昭和33年(1958年)当時は、まだ沖縄は米国の軍政下にあって復帰していなかったので、その当時パスポートなしで移住できた最南端が奄美だった、ということなのかもしれない。奄美群島は1953年には完全に日本に復帰している。

 奄美移住後の作品については、それはもういうことはないくらい素晴らしい。
 何度みても素晴らしいの一語に尽きる。
 
 アダンやソテツ、原色の鮮やかな鳥や魚、植物、果物・・・あのようなエキゾチックな画題を日本画で(!)で描いたのはこの人が初めてだというだけでなく、確かなデッサン力を裏付けにして、しかも大胆なデフォルメを施した構図が日本画的ではないところに、二重三重の驚きがあるのだ。
 おそらく田中一村に魅せられた人は、コトバでは説明できなくでも、虚心坦懐に魅せられているのだと思う。 

 今回の展示には、奄美時代のものも含め、多数のスケッチも見ることができるので、たいへん意義あるものになっていた。
 これらのスケッチは、帰宅してから目録でじっくり見ようと思っていたら、なんと目録は現在品切れ中、あらたに増刷り中とのことだ。というわけなので、その場で申し込んで支払いし、後日郵送してもらうことした。
 今回は美術マグネットだけ買って帰る。気に入った美術作品のマグネットを集めるのが、実は私の趣味なのだ。


千葉市美術館について

 千葉県に住んでいても、船橋市に住んでいる私は千葉市というのは実はほとんどいくことがない。「千葉都民」ともいわれるように、東葛地域は住民の目はみな東京を向いており、たとえ県庁所在地が千葉市であっても滅多にいくことはないのだ。
 私もこれまでの人生で、小学校5年から高校三年までと、大学卒業後の数年が八千代市、昨年から船橋市に住んでいるが、これまでの人生で千葉市には5回くらい(?)しかいったことがないと思う。
 なんせ船橋では、東京のUHF地方放送である Tokyo MX を視聴できる。

 だが、千葉市美術館じたい、旧川崎銀行千葉支店本館という、昭和2年(1927年)完成のネオ・ルネッサンス様式の立派な建築物のなかにあり、これをみるだけでもいく価値があることがわかった。かなり個性的な美術展を開催しているので、機会があればまたいってみたいと思う。

 それよりも、まだ一度もいったことのない奄美にはぜひいきたいものだ。
 ついつい沖縄にはいっても、奄美を素通りしてしまったいるのは私だけではないだろう。
 屋久島と沖縄本島のあいだは、私にとってはいまだに未踏地帯(terra incognita)なのである。


<関連サイト>



田中一村記念美術館(鹿児島県奄美)
・・千葉市美術館での公開のあと、奄美に巡回するようだ。2010年11月14日~12月14日まで。今回千葉市で見逃した人は、奄美でどうぞ。千葉で見るのとはまた違った印象を受けることができそうだ。

田中一村の世界 Isson World(NHK出版)
・・田中一村の画業をウェブ上で見ることができる。







<ブログ内関連記事>

Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)
・・2009年の「ゴーギャン展」など。ただし、田中一村を「日本のゴーギャン」とよぶのはミスリーディングである。





(2012年7月3日発売の拙著です)







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