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2017年11月10日金曜日

書評『習近平 vs. トランプ ー 世界を制するのは誰か』(遠藤誉、飛鳥新社、2017)ー「米中ビッグディール」という「密約」に警戒せよ!


本日(2017年11月9日)は、ドナルド・トランプ氏が米国大統領に選出されてから1年になる日だ。さらにさかのぼれば、奇しくも1989年に「ベルリンの壁」が崩壊してから28年目になる日でもある。

そのトランプ大統領が、「アジアツアー」の途上にある。日本を皮切りに、韓国を経て中国に至っているが、今回の12日間に及ぶ長い「アジアツアー」の最大目的は当然のことながら中国との交渉であろう。

もしかすると、「米中ビッグディール」が密約として結ばれる可能性があるのではないかという疑心暗鬼が日本にあるのは当然だ。トランプのアメリカは、あくまでも「アメリカ・ファースト」の原理原則で動いているのであって、同盟国の日本は米国にとっては比較的自由に取り扱いがきく手駒の一つに過ぎないと考えるだからだ。韓国など、間違いなくそれ以下の存在であろう。

トランプ大統領は安部首相と相性がいいとニュース報道されているが、習近平とも馬が合うようだ。褒め殺しに限りなく近い印象がなくもないが、習近平を最大限に褒めていることを忘れるべきではない。米中両大国のトップは、巨大オーナー企業同士の頂上会談のようなものと考えるのが適当だろう。

今回は日本が最初の訪問地になったが、日本の頭越しに中国訪問という悪夢が実現しなかっただけでも、よしとするべきではないだろうか? 佐藤栄作首相の時代、米国のニクソン大統領は日本の頭越しに中国を電撃訪問し、国交回復を実現したことは忘れるわけにはいかない屈辱であったのだ。

ことし8月に出版されてすぐに読んだ本だが、『習近平 vs. トランプ-世界を制するのは誰か』(遠藤誉、飛鳥新社、2017)は、米中関係の深層を知るうえで、いまあらためて読み直す必要のある本だ。 出版社による書籍紹介から内容をピックアップしておこう。

<内容紹介> 新・米中蜜月の裏の巨大取引! そこには中国の代弁者キッシンジャーがいた。アメリカを操ってきた世界最大の暗部を、中国研究の第一人者がはじめて解き明かす。
アメリカを私物化するキッシンジャー
・誰も語らない北朝鮮問題の根本矛盾
・AIIB、一帯一路の真の狙い
中国最強の知恵袋・王滬寧(おう・こねい)
大の親中派・イヴァンカ
米中をつないでいる米財界人
清華大経済管理学院顧問委員会リスト初公開

ニクソン大統領による米中国交正常化は、キッシンジャー国務長官の「忍者外交」によって実現した「ビッグディール」というべきだ。

日本嫌いのキッシンジャーがそれ以後、中国の代理人を務めていることは、ある意味では「常識」であったが、本書で事実として確認されたことは、日本人のためにはたいへん喜ばしい。米財界が中国ビジネスをどう見ているかについても、遠藤氏の言うとおりだと納得する。

著者の遠藤誉氏は、中国で生まれて国共内戦時代から中共初期の中国で少女時代を送った人。中国共産党の生態とロジックが手に取るようにわかる人だ。

カバー表紙のイラストは辣椒(ラージャオ)氏によるものだ。『マンガで読む嘘つき中国共産党』(新潮社、2017年)の著者である政治風刺マンガ家。ペンネームである。

辣椒氏は、日本滞在中に「表現の自由」のない中国に帰国することの危険を感じそのままを逃れて日本に「亡命」」したが、民主主義が徹底しない日本には見切りをつけて渡米することにしたのだという。辣椒(ラージャオ)さんとの出会い-亡命漫画家『嘘つき中国共産党』(遠藤誉)を参照されたい。

遠藤誉氏の著書は、ほぼすべて読んでいるが、『習近平 vs. トランプ-世界を制するのは誰か』もまた、いまこの時期だからこそ読むべきだと推奨しておきたい。





目 次 

まえがき

第1章 「一つの中国-水面下で動く米財界と中国
 1. それはトランプのビッグ・ディール第一弾だった
 2. トランプ、突然の表明・・・「一つの中国」原則を尊重
 3. 水面下で中国で深くつながっていた米財界人
 【コラム】 超エリート校・精華大学の由来
 4. トランプ政権はキッシンジャーに乗っ取られていた
第2章 米中蜜月「世紀の大芝居」か
 1. シリア攻撃-ビッグ・ディール第二弾
 【コラム】 中国最強の知恵袋・王滬寧(おう・こねい)
 2. 帰国してから米中首脳電話会談
 3. 米中蜜月を演じて北朝鮮を追い詰める
 4. 中国は中朝軍事同盟を破棄できるか?
第3章 北朝鮮問題と中朝関係の真相
 1. 朝鮮戦争はなぜ始まったのか?
 2. 休戦協定が残したしこりと根本的矛盾
 3. ソ連崩壊後の中朝関係
 4. 中国の制裁はどこまで行くのか
第4章 中国の野望、世界のリスク
 1. 「一帯一路」構想とは何か
 2. 一帯一路構想はいつから練り出されたのか
 3. グローバル経済の覇者を狙う
 4. 習近平の顔に泥! 開幕式直前に北朝鮮がミサイル発射
 5. 日本はAIIBに参加すべきではない
 6. 中国の不戦勝となるのか-トランプ、パリ協定を離脱
第5章 歴史の真相に怯える習近平
 アメリカも気付きはじめた中国の巨大な嘘
 参照: 毛沢東が潘漢年(はん・かんねん)と直接連絡を取った例(「毛沢東年譜」より抜粋) 
 ウォルドロン教授との対談(『Hanada』2017年3月号)

あとがき 金日成派に粛清された延安派-長春を食糧封鎖した挑戦八路

著者プロフィール 

遠藤誉(えんどう・ほまれ)
1941(昭和16)年中国吉林省長春市生まれ。国共内戦を決した「長春包囲戦」を経験し1953年に帰国。 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。 著書に『卡子(チャーズ)-中国建国の残火』『チャイナ・セブン<紅い皇帝>習近平』(ともに朝日新聞出版)、 『毛沢東-日本軍と共謀した男』(新潮新書)など多数。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)





<関連サイト>

トランプ訪中、主人公はアラベラちゃん(遠藤誉、Yahoo!ニュース、2017年11月10日)
・・「それ以外にも活躍していたのは習近平の母校、清華大学にある経営管理学院顧問委員会の米財界人たちだ。そこにはゴールドマンサックスやJPモルガン・チェースCEOなど、目がくらむほどの米財界の大物たち数十名が名を連ねている(この全員のメンバー・リストは『習近平vs.トランプ 世界を制覇するのは誰か』のp.31~34に掲載)。 第19回党大会と一中全会が終わると、習近平は早速、この顧問委員会のメンバーと歓談した。ここで既に今般の米中首脳会談の基本路線は決まっていたと見ていいだろう。(・・中略・・) 清華大学経営管理学院顧問委員会の最も大きな目的は、米中間の経済貿易に貢献する「人財育成」である。投資などが目的ではない。 これは実は時間が経てばたつほど大きな効果を発揮することになる。(・・中略・・) 28兆円の投資協定の裏には、清王朝から続いている、(アメリカのための)清華大学の米大財閥たちとの、恐るべきベースがあることを見逃してはならない。 トランプのアジア歴訪は、ビジネスマン・トランプの一面を発揮したが、表面には出ていない米中の結びつきを、見たくはないだろうが、正視するしかないだろう。」

習近平がトランプに呑ませた「スーパー・ビッグディール」の中身(近藤大介、現代ビジネス、2017年11月14日)
・・「ビッグディール」にかんする一つの推測記事

(2017年11月14日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

書評 『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』(遠藤誉、WAC、2013)-中国と中国共産党を熟知しているからこそ書ける中国の外交戦略の原理原則
・・「本書の特徴は、とかく日中関係という二国関係だけでものをみがちな日本人に、米中関係という人きわめて強い人的関係をベースにした二国関係の視点を提供してくれている点にある。中国問題は、すくなくとも日米中の三カ国関係でみなければ見えてこない。「大型大国間関係」という、G2=米中二国間関係にちらつくキッシンジャーと習近平の親密な関係、アメリカの世論にきわめて大きな影響力をもつ在米華人華僑の存在、アメリカの中国重視政策と日米同盟のズレなど、米国の中国政策を前提にしないと日中関係も見えてこない。」

書評 『パックス・チャイナ-中華帝国の野望-』(近藤大介、講談社現代新書、2016)-2012年に始まった「習近平時代」を時系列で振り返るとクリアに見えてくるもの

トランプ大統領初来日(2017年11月5日~7日)-この機会に「 トランプ現象」とは何かについてあらためて考えてみる

書評 『仮面の日米同盟-米外交機密文書が明らかにする真実-』(春名幹男、文春新書、2015)-地政学にもとづいた米国の外交軍事戦略はペリー提督の黒船以来一貫している
・・「中国に対しては、キッシンジャー以来、いわゆる「瓶のフタ」論という詭弁で在日米軍の存在を自己正当化してきたことも忘れるべきではない。日本が暴発しないよう、米軍が駐留しているという論である」

書評 『日本近代史の総括-日本人とユダヤ人、民族の地政学と精神分析-』(湯浅赳男、新評論、2000)-日本と日本人は近代世界をどう生きてきたか、生きていくべきか? 
・・米中関係の太さについての重要な指摘が行われている本である。あまり読まれていないのが残念だ。「2章 日米の宿命の関係  1. 同盟国から仮想敵国へ  2. 幻想のアジア  3. 米中同盟=日本の破滅  4. アメリカの日本観  5. 再び日米戦争論」は必読

書評 『中国は東アジアをどう変えるか-21世紀の新地域システム-』 (白石 隆 / ハウ・カロライン、中公新書、2012)-「アングロ・チャイニーズ」がスタンダードとなりつつあるという認識に注目! ・・経済と安全保障のズレが存在するアジア太平洋地域



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