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2013年3月30日土曜日

書評『イラク建国 ー「不可能な国家」の原点』(阿部重夫、中公新書、2004)ー「人工国家」イラクもまた大英帝国の「負の遺産」


つい先日のことになるが、2003年3月20日で「イラク戦争」の開戦から10年たったと報道されていた。しかも、同じ日にはオウム真理教の「サリン事件」から18年である。偶然の一致だとはいえ、なんだか不思議な感じがするのを覚えた。

いまとなっては、ネオコンのシナリオに沿って、虚偽の証拠によってでっちあげられた戦争であったことは明らかになっているが、10年前の今頃は少なからぬ日本人もイラク戦争に賛意を示したはずだ。独裁者サッダーム・フセインを倒すという大義名分があったからだ。

開戦以後、バグダッドにむけて快進撃をつづける米軍部隊の電撃作戦の戦況に興奮していたのはわたしだけではないと思う。バクダッド進撃まではまさに破竹の勢いだったからだ。

ところが、とんとん拍子で進んだのはバグダッド制圧とサッダーム・フセイン逮捕まで。その後の泥沼のイラク情勢は、同じく泥沼となったベトナム戦争、ソ連によるアフガニスタン侵攻の轍を踏んだ結果となった。

この間、戦争当事者として戦争を主導した米英では、世論は完全に逆転している。さまざまな映画も製作されてイラク戦争の真相も明らかになってきている。

当時、米国の政治を主導していたネオコンたちは、第二次大戦によって敗戦した日本再建の成功モデルをそのままイラクでも実行すると豪語していたが、結果については言うまでもない惨状である。

なぜ、アメリカはそんな夢想に引きづられてしまったのか、それにはイラクという国の成り立ちを考えてみなくてはならない。


イラクはそものもの誕生の時点から「人工国家」である

イラクは、大英帝国によるオスマン帝国分割の結果うまれた「人工国家」である。なにごとも「誕生の秘密」を知れば、その後の歴史的展開は明確に理解できることになる。

「帝国主義」時代の末期は、第一次世界大戦の結果、オスマントルコ帝国だけでなく、ロシア帝国もドイツ帝国もハプスブルク帝国も崩壊したことによって、「民族国家」なるものを大量に生み出すことになった。いわゆる「民族自決」原則による「帝国分割」である。

このような情勢のなか、衰えつつあるとはいえ世界に君臨していた覇権国である大英帝国にとっては、インド植民地の存在が最も重要なものであった。

インド植民地をめぐるアフガニスタン、イラン(ペルシャ)、そしてイラクが建国されることになるメソポタミアという地政学的状況。その動向がドミノ倒しとしてインド植民地に影響を与える可能性のあるメソポタミアは、英国海軍にとっての死活的な燃料である石油供給基地として絶対に押さえておかねばならない地域であったのだ。

だからそのメソポタミアの地に、英国の息のかかったイラク王国が建国されることになる。本書はそのプロセスを、「イラクの母」となったガートルード・ベルという知識層の独身中年女性を主人公に描いている。

『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)の第8章 女たちの大英帝国」に描きだされているように、オスマン帝国崩壊後のイラク王国成立にかんしても、植民地での戦争に参加したのは男性だけではなく、看護婦(ナース)やそれ以外の形で現地におもむいた女性たちが多数存在したのである。

日本では昔から有名な「アラビアのロレンス」もかかわっているのだが、イラク建国はロレンスにとっては夢破れた結果であり、本書での扱いもあくまでも脇役である。

英国は、少数の支配層による統治を容易にするため、民族を分断して牽制させる政策である「分割して統治せよ」(Divide and Rule)を実行してきたことは有名だが、そのため現在に至るまでマレーシアやミャンマーといった旧植民地では民族間の紛争が絶えない。

イラクは植民地ではなく、建国当初から独立国として「設計」されたが、アラブ人のあいだでもスンニー派とシーア派という対立するイスラーム勢力、さらには分断民族であるクルド人の領土をくっつけて、そのうえに外から連れてきた国王を乗せて王国としたものである。

戦後になって王政は倒れてサッダーム・フセインの独裁と推移していくが、この構造はそのまま引き継がれて現在に至る。アラブ世界では、強力な指導者を欠いていては、このような国を統治することが難しいことは、カダフィー体制崩壊後のリビアでも同様である。

「近代国家」という概念にはまったくなじまない部族支配、錯綜するイスラームの宗派争い。英国本土、インド植民地のデリー、エジプトのカイロとあいだの激しい駆け引き。アラブ人に独立を確約しながら、サイクス=ピコ秘密協定をむすび、パレスティナでは」バルフォア宣言という英国の三枚舌の秘密外交。これら複雑な状況のなかで、かろうじてできあがったのがイラクという人工国家だったのだ。

そして、人工国家という蜃気楼の製作にかかわったガートルード・ベルもロレンスも、そのプロセスのなかで苦渋に満ちた想いをしたのであり、精神的にも肉体的にも疲弊しきってしまったのであろう。その後の人生は幸せに満ちたものであったとは言い難い。


(wikipedia 掲載のイラク地図)


歴史に学ばないアメリカが繰り返す愚行・・・。そして大英帝国の負の遺産

2003年3月20日に開戦に踏みきった「イラク戦争」。10年たったいま振り返ればまさに愚行としか言いようがない。

アメリカの歴史家バーバラ・タックマンが生きていれば、その主著である『愚行の世界史』にあらたな一章を書き加えなければならなかったであろう。

アメリカは歴史の教訓を学んだのか? 学ぶだけのイマジネーションを欠いているのか?

アメリカの底の浅い知性は、英国と比較して深い洞察を欠いていると言いきってしまいたいところだが、その英国ですら、みずからが設計した「人工国家」は蜃気楼にすぎないことを知っていたというのがその真相であったことを本書によって知ることができる。

「大量兵器はなかった」という結論はすでに出ている。これもまた蜃気楼に過ぎなかったのだ。しかし、その真相はいまだに不明である。ネオコンが表舞台から消え去った現在においても、依然として英米アングロサクソの奥の院の闇は深い

そして、現在に至るまで続いている大英帝国の「負の遺産」に目を向けるべきこと。アジアだけに限っても、インド=パキスタン問題、ミャンマーの少数民族問題、マレーシアの民族問題と大英帝国の「負の遺産」は払拭されたといえるのだろうか。


本書は、2012年に「オリンパス事件」の端緒をつくりだした、月刊誌 「FACTA」(ファクタ)を主宰する博覧強記のジャーナリストによる著作である。

なぜ金融を専門に取材してきた元日経記者が、『イラク建国』などというテーマで執筆したのか。著者のコトバを借りれば以下のような構想があったようだ。

もとの構想は、1991年湾岸戦争の引き金になった80年代イラクの大量破壊兵器調達網の形成と、それを陰ながら支援した米英独仏など先進国政府の「原罪」を人物、場所、日時を特定していちいち固有名詞で書くことだった。ロンドンの金融街(シティ)には黒目の異邦人が近づけない二大聖域-石油と兵器の資金調達-の「隠れた神々」の世界がある。その秘密の「裂け目」がイラクにある と知ったのがきっかけだった。(「あとがき」・・太字ゴチックは引用者=わたし)

本書はその構想の一部、「前史」にあたるものを編集してできあがったものだという。

歴史書でも、ルポルタージュでもない。現在進行形の「現代史」をジャーナリストが描いてみせたものだ。すぐれて現代そのものを描いたノンフィクション作品である。けっして色あせることのないアクチュアリティに満ちた作品だ。事実関係を確認しながらじっくり読むと、得るところのきわめて大きい作品である

出版されたのは、まさにイラク統治の失敗が明らかになった最中の2004年であるが、9年後の2013年現在でも「国家の不可能性」の条件には、いささかの変化もない。時の試練に十分に耐えうる内容である。

単行本3冊以上にも該当する濃縮された1冊である。それでも序論にしかすぎないようであるが・・・





<付記>

サイクス=ピコ秘密協定は、大学入試の二次試験の世界史の論述問題で書いた。18歳のときのことだ。そのおかげで大学には合格することができたと考えている。30年の歳月を経て明瞭に思い出す。船橋市の文化会館館で船橋在住(?)の映画解説者・水野晴雄の解説で映画 『アラビアのロレンス』を大画面でみたのは高校3年のときだったと思う。その後、岩波新書で中野好夫の著作によってロレンスの生涯をたどった。


<関連サイト>

イラクのナジャフにある世界最大級の墓地「平和の谷」(Gigazine 2008年02月13日)
http://gigazine.net/news/20080213_wadi_al_salam/


<ブログ内関連記事>

書評 『大英帝国という経験 (興亡の世界史 ⑯)』(井野瀬久美惠、講談社、2007)-知的刺激に満ちた、読ませる「大英帝国史」である
・・「イラクの母」となったガートルード・ベルもまた、知識層の独身中年女性の・・・であった。第8章 女たちの大英帝国(女たちの居場所、帝国に旅立つ女たち)を参照。「19世紀末の南アフリカにおけるボーア戦争や、オスマン帝国崩壊後のイラク王国成立にかんしても、植民地での戦争に参加した男性ではない、看護婦やそれ以外の形で現地におもむいた女性たちの視点がじつに新鮮な印象を受けるのだ」。

本年度アカデミー賞6部門受賞作 『ハート・ロッカー』をみてきた-「現場の下士官と兵の視線」からみたイラク戦争(2010年3月13日)

映画 『ゼロ・ダーク・サーティ』をみてきた-アカデミー賞は残念ながら逃したが、実話に基づいたオリジナルなストーリーがすばらしい

映画 『ルート・アイリッシュ』(2011年製作)を見てきた-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ②

書評 『新月の夜も十字架は輝く-中東のキリスト教徒-』(菅瀬晶子、NIHUプログラムイスラーム地域研究=監修、山川出版社、2010)

書評 『中東激変-石油とマネーが創る新世界地図-』(脇 祐三、日本経済新聞出版社、2008)

書評 『中東新秩序の形成-「アラブの春」を超えて-』(山内昌之、NHKブックス、2012)-チュニジアにはじまった「革命」の意味を中東世界のなかに位置づける

書評 『エジプト革命-軍とムスリム同胞団、そして若者たち-』(鈴木恵美、中公新書、2013)-「革命」から3年、その意味を内在的に理解するために ・・エジプトもまた大英帝国の植民地であった

書評 『田中角栄 封じられた資源戦略-石油、ウラン、そしてアメリカとの闘い-』(山岡淳一郎、草思社、2009)-「エネルギー自主独立路線」を貫こうとして敗れた田中角栄の闘い
・・エネルギー問題で「奥の院」の虎の尾を踏んでしまった田中角栄

書評 『持たざる国への道-あの戦争と大日本帝国の破綻-』(松元 崇、中公文庫、2013)-誤算による日米開戦と国家破綻、そして明治維新以来の近代日本の連続性について「財政史」の観点から考察した好著
・・米英アングロサクソン世界が牛耳る国際金融市場に敗れ去った大日本帝国

早いもので米国留学に出発してから20年!-それは、アメリカ独立記念日(7月4日)の少し前のことだった ・・1992年の湾岸戦争(The Gulf War)について、戦争期間中、わたしは交戦国である米国にいた

(2014年5月28日 情報追加)


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2013年3月25日月曜日

「聖週間 2013」(3月24日~30日)ー キリスト教世界は「復活祭」までの一週間を盛大に祝う




昨日(3月24日)から始まった「聖週間 2013」。キリスト教世界は「復活祭」(イースター)までの一週間を盛大に祝います。

「聖週間」とは、「パーム・サンデー」(Palm Sunday)から「復活祭」(イースター:Easter)前日までの週のことをいいます。「聖週間」というのはカトリック用語ですが、イエス・キリストがエルサレムで受けた受難を記憶するためプロテスタントでは「受難週」(Passion week)と呼ばれています。

キリスト教でも宗派によって日本語での名称が異なるのがややこしいですね。基本的に移動祝祭日ですが、これもまた宗派によって計算方法が異なるようです。

「復活祭」を wikipedia で調べてみると、「典礼暦における位置づけ」という小項目にはつぎのような説明が書かれています。

受難の月曜日、受難の火曜日、受難の水曜日、この週の木曜日から土曜日までは特に、聖木曜日(洗足木曜日)、聖金曜日(英語でGood Friday、受難日、受苦日)聖土曜日と呼ばれ、特別の儀式が行われる。・・(中略)・・カトリックでは「過越の三日間」として、人間にあがないをもたらしたキリストの受難と復活を主の過越の出来事として祝う。「過越の三日間」は主の晩さん(聖木曜日)の夕べのミサから、復活の主日の「晩の祈り」までとし、年間を通した典礼暦の最高頂である。中でも復活徹夜祭を最も重要な祭儀として祝い、この日に入信の秘跡(洗礼、堅信、聖体)を授けることが伝統的な習慣となっている。

この間、「十字架の道行」という練り歩きが行われます。十字架を自らかついで処刑場まで歩くキリストの受難を追体験するものです。キリストの生涯を描いた映画にはかならずでてくるシーンですね。

上掲の三枚つづきの写真は、メキシコ西部の町サン・クリストーバル・デ・ラス・カサスで行われた「受難劇」。1991年に同地を訪れた際に知り合った現地の人にいただいた写真をスキャンしました。

このときの訪問時期が1月だったので、じっさいに「十字架の道行」をみたわけではないのが残念でした。中米のグアテマラ国境にも近いこの町は、原住民のインディオ比率のきわめて高い地域ですが、スペインの統治時代に完全にカトリック化されています。

カトリック信者の多い中南米やフィリピンでは盛大に祝われる聖週間スペイン語ではセマーナ・サンタ(semana santa)といいます。

「聖週間」の終わりは復活祭(イースター:Easter)。植物も息を吹き返す春ですね。復活祭とは、もともと春の祝祭なのです。キリスト教の祝祭は、そのうえに上書きされているわけです。

1992年の春にニューヨークで聖週間の受難劇の練り歩きに遭遇しました。ニューヨークにはイタリア移民も多く、またアイルランドの守護聖人の名を冠した大聖堂セント・パトリック・カテドラルがあるように、カトリック人口も少なくありません。
東南アジアでも、カトリック国のフィリピンでは「聖週間」は盛大に祝われます。世界の三大宗教の仏教、キリスト教、イスラームが入り乱れているのが東南アジア。キリスト教について知っておくこともまた重要ですね。

宗教について最低限でいいので知識をもつことは、たとえその宗教の信者ではなくても、とくに海外ビジネスに従事する人にとっては絶対に必要です。

なぜなら、ものの考え方というのは、とくにその人が信じている宗教などの価値観に大いに影響されるからです。せめて今週が「聖週間」であるということだけでもアタマのなかに入れておきましょう。


<ブログ内関連記事>

・・イスラームを排除して「純化」したスペインは海外に・・・。南米植民地を獲得した・・・

・・イエズス会士たちは大西洋を渡って南米へ、あるいはインド洋をわたって戦国時代の日本に向かう

・・「私は何の先入観なしにこの『アバター』をみているうちに、これはロバート・デ・ニーロ主演の『ミッション』だな、と思った。監督が意識していたかどうかは知らない・・(中略)・・南米では、スペイン人植民者が宣教師と軍人と行動をともにしたのと同様、西欧文明の継承者である、米国においてはビジネスマンと科学者と軍人がセットで登場するが、宣教師の枠割りは科学者が代替している。」。アバターは、滅亡に追い込まれた原住民インディオのメタファーと考えるべきではないかと思われる。南米ミッションについて、やや詳しく書いておいた

・・キリスト教を異文化の日本に布教しようとした際に考案されたことは?

書評 『治癒神イエスの誕生』(山形孝夫、ちくま学芸文庫、2010 単行本初版 1981)


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2013年3月24日日曜日

書評『目覚める宗教 - アメリカが出合った仏教 現代化する仏教の今』(ケネス・タナカ、サンガ新書、2012)ー「個人のスピリチュアリティ志向」のなかで仏教が普及するアメリカに読みとるべきもの


いま、アメリカでは仏教徒が約350万人もいるのだという。もちろん圧倒的多数はキリスト教徒なのだが、いずれ人口の約2%を占めるユダヤ教徒を抜いて、全米第二位のポジションにつくことは確実と見られていると本書にある。

仏教に共感を感じる人はそのほか150万人仏教に大きな影響を受けたと感じている人が2,500万人もいるのだという。アメリカの総人口は約3億人である。

仏教徒はアジア系の移民だけではない。ハリウッドのセレブや知識階層が主導して、白人にも広がっているという。有名なところではチベット仏教徒のリチャード・ギアや、おなじくスティーブン・セガール、禅仏教に傾倒していたスティーブ・ジョブズ、おなじくシンガーソングライターのレナード・コーエン

鈴木大拙による英語による禅仏教にかんする書籍は、価値観の転換を求めるビートニク達によって再発見され、鈴木俊隆による座禅指導という実践面での貢献により、ヒッピームーブメントに代表されるカウンター・カルチャーを経て、アメリカには完全に定着した。

禅仏教と同じ程度に浸透しているのがチベット仏教。これはチベット民族の離散とダライラマの存在も大きい。そして、アメリカでひろく普及しているのが上座仏教(テーラワーダ)系のヴィッパサナー瞑想法

このように実践(プラクティス)を中心にした仏教が、個人化やスピリチュアリティ重視といった、いまのアメリカの傾向に合致して普及する原因になっているのだという。その結果、伝統的枠組みや宗教的な枠組みから自由となって、「(個人的な)目覚める宗教」となっているのである。

アメリカというと、どうしても原理主義者などのキリスト教が全面にでてくるのだが、教義中心のキリスト教にあきたりない人、違和感を感じる人は、なにもカリフォルニアだけではないらしいのだ。

本書『目覚める宗教 - アメリカが出合った仏教 現代化する仏教の今』は、日系三世の著者によるフィールドワークも踏まえた最新のアメリカ仏教事情である。『アメリカ仏教』(武蔵野大学出版、2010)をベースに再編集したものだという。著者自身は浄土真宗なのだそうだが、宗教社会学的なアプローチで、アメリカの仏教事情を記述している姿勢が違和感なく読める。

アメリカは日本とくらべると、仏教の歴史が浅く、仏教は儀礼としてよりも個人のスピリチュアリティ開発(・・目覚め)としての要素がつよいという。そのため、仏教に改宗せずに、キリスト教徒やユダヤ教徒でありながら同時に瞑想(メディテーション)など仏教の実践も行うという人も少なくないようだ。

なかでも存在感が大きいのが JUBU というユダヤ人仏教徒という存在だ。JUBU とは、Jewish Buddhist の略。wikipedia(英語版)で Jewish Buddhist という項目をみると、具体的な人名も列挙されている。

日本人なら、たいていの人が仏教の檀家でありながら神道でもあるという二重宗教、あるいは二重アイデンティティはべつに珍しくもなんともないのだが、アメリカでこういう動きがあるというは興味深い。

著者によれば、アメリカ仏教の特徴は以下の5点になるという。

1. 平等化
2. メディテーション中心
3. 参加仏教
4. 超宗派性
5. 個人化宗教

日本では出家よりも在家仏教が中心だが、アメリカでは仏教の実践者も出家志向ではなく、日本とどうように「在家」志向がつよいのだという。

たとえば、日本では仏教僧侶の妻帯は明治維新以降は当たり前になっているが、アメリカでもプロテスタント牧師は妻帯は当たり前である。妻帯を禁じているカトリックで発生している度重なる児童の性的虐待などへの嫌悪感のため、アメリカではカトリックを捨てる信者が続出しているという。

仏教者の妻帯がときに批判される日本仏教だが、アメリカと日本とのあいだにある共通点を考えると(・・この点はアメリカの影響がつよいのかもしれない)、「先進国における仏教」のかたちを考えるうえでは面白い。仏教者の妻帯が積極的に評価される日が来るかもしれない。ただし、妻帯と世襲は別個に考えるべきだろう。

その意味でも、日本の仏教は仏教界が想定しているのとは違った形、つまり「家の宗教」ではなく、アメリカ経由の「個人単位の宗教」として再輸入され、最定着していく可能性も否定できない。

アメリカで流行することは10~20年後には日本でも流行するとは、かなり以前から経験則として語られてきたことではあるが、アメリカ仏教の動きは、翻訳などをつうじて確実に日本にも影響を与えていくだろう。

アメリカと仏教という組み合わせに違和感を感じる人もいるかもしれないが、仏教だけでなく価値観の変容といった観点から、読んで得るところの多い本だといってよい。ぜひ一読をすすめたい。


(2022年に新版が発行 画像をクリック!


目 次

第1章 アメリカで劇的に伸びる仏教人口
第2章 アメリカが仏教に出会う
第3章 仏教がアメリカに出会う
第4章 目覚める宗教としての仏教
第5章 現代社会の心の問題に応える仏教の心理学的アプローチ
第6章 アメリカで進む科学と仏教の対話
第7章 二十一世紀-グローバル化する世界での仏教の役割
あとがき

著者プロフィール  

ケネス・タナカ(Kenneth Tanaka)
1947年、山口県生まれ。武蔵野大学教授。日系二世の両親とともに1958年に渡米。スタンフォード大学卒。米国仏教大学院修士課程修了。東京大学大学院修士課程修了。同大学院博士課程退学。カリフォルニア大学(バークレー校)大学院博士課程修了。哲学博士。国際真宗学会会長。日本仏教心理学会会長。仏教キリスト教学会理事。元北カリフォルニア仏教連合会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


PS. この投稿記事で 1111本目となった。ぞろ目である。



<関連サイト>

Tricycle: The Buddhist Review 
・・アメリカでもっとも有名な仏教雑誌のサイト『トライシクル(三輪車)』。Facebookページもある。禅仏教とチベット仏教関連が中心だが、上座仏教その他アジア系仏教もカバーしている。ちょうどわたしが滞米中の1991年に創刊、滞米中に購読していた。紙媒体のバックナンバーは、いまでも所有している。すでに1991年頃には、政府高官にもチベット仏教信者がいたことがインタビュー記事からわかる。

(2014年8月27日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

グラフィック・ノベル 『スティーブ・ジョブズの座禅』 (The Zen of Steve Jobs) が電子書籍として発売予定

スティーブ・ジョブズの「読書リスト」-ジョブズの「引き出し」の中身をのぞいてみよう!

レナード・コーエン(Leonard Cohen)の最新アルバム Old Ideas (2012)を聴き、全作品を聴き直しながら『レナード・コーエン伝』を読む
・・長年にわたって禅仏教の修行に打ち込んできたユダヤ系カナダ人アーチスト

書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)

Winning is NOT everything, but losing is NOTHING ! (勝てばいいいというものではない、だけど負けたらおしまいだ)
・・MBAの戦略実行の授業で『Zen and the Motorcycle Maintenance』(日本語訳 『禅とオートバイ修理技術』)という哲学書を読めと強くすすめられたくらい、アメリカでは禅仏教は定着している

書評 『アメリカ精神の源-「神のもとにあるこの国」-』(ハロラン芙美子、中公新書、1998)-アメリカ人の精神の内部を探求したフィールドワークの記録  ・・メインストリームのキリスト教とアメリカ人の関係を知らなければアメリカを理解したことにはならない

書評 『「気づきの瞑想」を生きる-タイで出家した日本人僧の物語-』(プラ・ユキ・ナラテボー、佼成出版社、2009)-タイの日本人仏教僧の精神のオディッセイと「気づきの瞑想」入門
・・アメリカでは仏教の枠を超えて、いまマイドフルネス(mindfulness)として、上座仏教系の瞑想が拡がっている

(2013年12月29日、2014年8月27日 情報追加)


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2013年3月23日土曜日

ボリウッド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(インド、2007)を見てきた



ボリウッド映画 『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム Om Shanti Om』(インド、2007)を見てきた。東京・渋谷のシネマライズにて。

ここのところボリウッド映画の日本での上映機会が増えてきたのはありがたい。レディー・ガガじゃなくても、「ハリウッドよりもボリウッド」のほうが面白い。なぜなら、ボリウッド映画はあまりに濃厚なインド・テイストに圧倒されるから。万人向けを狙って薄味になっているハリウッド映画を面白く感じないのは当然といえば当然なのだ。

日本での上映がありがたいのは、タミル語映画であれヒンディー語映画であれ、日本語訳字幕がつくから。日本公開ではなくてもDVDになっているものはあるが、英語字幕も読むのが面倒くさいことがある。



さて、『オーム・シャンティ・オーム』だが、2007年製作のヒンディー語映画。ボリウッド映画だから、うるさいまでに過剰、過剰、過剰なまでの濃厚なてんこ盛り。音量もでかいし、役者はしゃべりまくるし、歌に踊りのシーンがでてくるわ、そこまで描かなくてもいいだろというまであまり関係ないシーンまで登場する。

「シャンティ」とは、平和とか平安「オーム・シャンティ」で、安らぎをという意味だが、タイトルと映画とは一致しないと思って見たほうがいい。

むしろ日本語版の『恋する輪廻』のほうがふさわしい。輪廻転生の物語である。映画のなかでは輪廻転生は "cycle of life" と英語で表現されている。そして愛と復讐の物語。「何度生まれ変わっても、また君に恋をする」という日本語版の宣伝コピーが効いている。

(インド版ポスター)

内容は、映画解説の文章をそのまま引用させていただくとしよう。

ボリウッドを代表する俳優シャー・ルク・カーンが主演を務め、インドで大ヒットを記録したミュージカル・エンタテインメント。1970年代。脇役俳優のオームは人気女優シャンティに恋をするが、シャンティはプロデューサーの男と密かに結婚・妊娠していた。しかし、シャンティは、彼女を疎ましく思う夫の罠にはまり殺されてしまい、シャンティを救おうとしたオームもまた命を落としてしまう。30年後、シャンティの息子はオームと名づけられ、スター俳優として活躍するが……。

主演のシャー・ルク・カーンはムスリム(イスラーム教徒)のインド人。だが、映画のなかでは輪廻転生の結果、腕に神聖なオームの文字のスティグマが浮かび上がるというヒンドゥー教徒を演じている。こういうことを知っていて映画を見ることも面白いかもしれない。知らなくてもべつにかまわないのだが。

ヒンディー語映画なので、サンスクリット語を多少でも知っていれば、ところどころ単語が聞き取れる。また英単語や英語のフレーズがかなりでてくるので、その部分は日本語字幕を見ていれば聞き取れるだろう。英語字幕版では英語のセリフには字幕がつかないのが普通だ。

上映時間が 169分とやや長いが、編集して圧縮しないのがボリウッド流。筋にはあまり関係ない歌や踊りが入るが、いわゆるミュージカル映画というのともまた違う。伝統的なインド舞踊風あり、バングラビートあり、ディスコ調ありと音楽にかんしてもてんこ盛りだ。

最後のほうでは、『オペラ座の怪人(ファントム・オブ・オペラ)』のような曲が使われていたが、まあ最初から最後までうるさいこと。静かに鑑賞する映画ではないのがボリウッド映画ですね。


(インド版 サントラCDジャケット)


<関連サイト>

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム Om Shanti Om』 オフィシャルサイト ・・映画内容や劇場情報については公式サイトを参照

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム Om Shanti Om』 フェイスブックページ

Om Shanti Om - Theatrical Trailer (インド版トレーラー)

Dhoom Taana Full HD Video Song Om Shanti Om (ダンスシーン)

Om Shanti Om Full Movie (映画全編 ただし字幕なし)




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(2015年2月8日 情報追加)



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2013年3月21日木曜日

書評『7大企業を動かす宗教哲学 ー 名経営者、戦略の源』(島田裕巳、角川ONEテーマ21、2013)ー 宗教や倫理が事業発展の原動力であった戦前派経営者たちの原点とは?



宗教学者の島田裕巳氏が、宗教教団分析の手法をつかって企業組織の分析を試みたという本。戦前派の創業社長たちにとって、宗教や倫理が事業発展の原動力であったという原点が確認できる内容だ。

宗教であれば開祖に該当するのが、企業の創業経営者である。開祖伝が面白いのと同様、創業経営者の伝記も面白い。創業経営者のなかでも、宗教的、倫理的な色彩の濃い人たちは、たしかに宗教教団と似たような手法で事業拡大を行っているケースも少なくない。

その典型的な例としては、本書の第1章の松下電器(現パナソニック)、第3章のトヨタ自動車、第4章のサントリーである。トヨタを除けば、パナソニックもサントリーも大阪が発祥の地である。

松下電器の松下幸之助は、まさに日本の神仏の加護をもとに事業経営を拡大した人といって過言ではない。天理教の本部でみたシーンにインスパイアされたという有名なエピソードのほか、真言密教の世界観を反映した考えをもっていたことも本書で知ることができる。サントリーもまた創業経営者の鳥井信治郎は、松下幸之助と同様の傾向をもっていた人であった。

トヨタの豊田佐吉とその息子の豊田喜一郎は、神仏というよりも、二宮尊徳の報徳思想の根強い土地柄で生まれ育った人であることが、トヨタの合理的な倹約志向の基礎になっているようだ。宗教というよりも倫理だろう

第2章のダイエーの中内功は、セツルメント運動を推進したキリスト教宣教師の賀川豊彦の影響を間接的に受けているが、とくにこれといった宗教はない。毛沢東思想の矛盾論の影響は大きく受けているが毛沢東主義者ではない。

宗教教団分析の手法をつかって企業組織の分析を試みるという切り口はよいのだが、残念ながらイマイチという感がなくもないのは、本書に取り上げられたのがなぜ「7大企業」なのかの説明はないからでもある。選択の基準が不明なのだ。

第5章の阪急電鉄は、宗教とはいっさい関係なし。
第6章のセゾングループは、元共産党員であった堤清二。
第7章のユニクロの柳井正は、団塊の世代特有の価値観の持ち主。

はっきりいって、第5章以下はあまり読む価値はないというのがわたしの個人的な評価だ。評価をするとすれば前半は星5つ、後半は星2つといったところだろう。

むしろ、戦前派の創業経営者と戦後派の創業経営者の違いを際立たせたほうが面白い読み物になったのではないかと思う。だから、すくなくとも前半だけなら読む価値はある。

宗教教団においては開祖のカリスマをそっくりそのまま継承できないことは常識であるが、企業経営においても創業経営者のカリスマは伝承できない。創業者の理念が時代の変遷にともなってどう変化したか、それは経営学や経営史の観点を踏まえなければ正確に把握できないためである。その観点を欠いた本書は、はたしてビジネスパーソンには物足りないと映るのではないだろうか。宗教学者の限界である。

わたしが同じ内容で本を書くなら、戦前派はキリスト教系であれば、グンゼの波多野鶴吉、クラボーの大原孫三郎と大原総一郎の親子、キリスト教伝道者の米国人ヴォーリズが創業した近江兄弟社、仏教系ではミツトヨの創業経営者で仏教伝道協会の創設者・沼田恵範、戦後派であれば、京セラの稲盛和夫、二黒土星ゆえ九頭龍信仰をもつ日本電産の創業経営者・永守重信などをとりあげるところだ。

重要なテーマなので、経営学者からのアプローチも、宗教学者からのアプローチも、その双方ともに今後は必要であろう。狭い意味の宗教よりも、ひろく「価値観と経営」という観点のほうが、ビジネスパーソンを中心とする読者にとっては実り多いものとなるだろう。


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目 次

はじめに
 企業社会としての日本
 経営哲学や理念は共同体を動かす基本原理だ
 宗教教団と企業は同じ角度から分析できる
第1章 松下電器産業(現パナソニック)
第2章 ダイエー
第3章 トヨタ自動車
第4章 サントリー(サントリーホールディングス)
第5章 阪急電鉄(現阪急阪神ホールディングス)
第6章 セゾングループ・無印良品
第7章 ユニクロ(ファーストリテイリング)
おわりに

著者プロフィール  

島田裕巳(しまだ・ひろみ)
1953年東京生まれ。宗教学者、作家。1976年東京大学文学部宗教学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1984年同博士課程修了(宗教学専攻)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

松下幸之助は「宗教」をみて「経営」を悟った どうして宗教は盛大で力強いのか (江口克彦 故・松下幸之助側近、東洋経済オンライン、2016年6月10日)

(2016年6月10日 項目新設)


<ブログ内関連記事>

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む
・・このブログ記事の最後に「島田裕巳という生き方」という文章を書いておいた

「やってみなはれ」 と 「みとくんなはれ」 -いまの日本人に必要なのはこの精神なのとちゃうか?
・・サントリーの創業経営者・鳥井信治郎

グンゼ株式会社の創業者・波多野鶴吉について-キリスト教の理念によって創業したソーシャル・ビジネスがその原点にあった!

「信仰と商売の両立」の実践-”建築家” ヴォーリズ
・・メンタームの近江兄弟社の創業者でもある

クレド(Credo)とは
・・キリスト教のほうが「ミッション」という性格がつよいためか、事業経営との親和性は明瞭にあらわれる傾向があるように思う。

書評 『叙情と闘争-辻井喬*堤清二回顧録-』(辻井 喬、中央公論新社、2009)-経営者と詩人のあいだにある"職業と感性の同一性障害とでも指摘すべきズレ"
・・共産党も宗教教団と考えれば、元共産党員も元信者という観点で分析できるはずなのだが


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