『悪韓論』とは、じつに思い切った大胆なタイトルですね。
「悪韓」とは「悪しき韓国」のことでしょう。おなじ音で表現される「悪漢」であり「悪感」であろうとまずは連想してみますが、この本じたいはじつに「圧巻」です(笑)
この本に書いてあるようなことは、だいたい知識としても体験としても知らないわけではないので、あらためて読むまでなかろうと思っていたのですが、懇意にしている朝鮮半島問題専門家から「ぜひ読むべきだ!」と面と向かって言われたので、そこまで勧めるのならまあ読んでみようかと思って読んでみたという次第。
なんて口上を書いてみましたが、「この本はぜひ読むべきだ!」と、わたしも一読してみなさんにつよく推奨したくなりました(笑)
著者の室谷氏は1949年生まれの「団塊の世代」。ふつうなら「親韓派」の多い世代ですが、韓国語に堪能で、新聞社の特派員として1980年から1985年までの5年間、韓国の首都ソウルで生活したという経験をもっている点が違います。
現場体験をもとに情報を読み解き判断する。そういうリアリズムに徹した態度が、この『悪韓論』に結実しているといえましょう。現場経験をもっていても、自己規制して本当のことを書かない「親韓派」の自称ジャーナリストが多いなかでは、室谷氏の存在は出色だといっていいでしょう。
いまなんといっても困るのは、「韓流」の影響を受けた人たちが日本に大量発生してしまったことです。
近隣諸国と友好関係をもつことはけっして悪いことではありませんが、幻想に満ち満ちたファンタジー世界の「韓流」は、現実の韓国社会とも韓国人の実態とも大きく異なることを知らないし、知ろうともしないことがパーセプション・ギャップを生み出しているのが問題なのです。人間は、自分が見たいと思うイメージしか見ないからですね。
ビジネスの世界はまだいいのです。なぜなら幻想ではなく実利で動く世界だから。現実をしったうえで、あえて韓国企業や韓国人と付き合っているからです。これは中国との関係も同じですね。いろいろ問題はあることは否定できませんが、「確信犯」であることは悪いことではない。
『悪韓論』はぜひ読んでみることを薦めますが、とりあえず「目次」だけでも見ておくといいでしょう。
はじめに
序章 李王朝の昔から続く宿痾(しゅくあ)
第1章 韓国コンプレックスに陥ることなかれ
第2章 格差王国の身分制度
第3章 就職浪人大国の悲惨
第4章 短期退職者が溢れる国に匠はいない
第5章 長時間労働大国の怠慢
第6章 嘘吐き大国は「外華内貧」で老人自殺大国
第7章 詐欺大国の上に訴訟大国
第8章 高級マンションはヤミ金大国の象徴
第9章 お笑い欺術大国、だから原発が恐ろしい
第10章 恩赦大国に腐臭なき人はいるのか
第11章 韓国型生活様式が内包する売買春天国「大国」
第12章 「強国」だらけのウリナラ
あとがき
タイトルだけみたら、これまたおどろおどろしい印象をもたれるかもしれませんが、内容はいたってまじめ、かつすべてが事実に基づいたものです。
しかも、データや情報ソースの多くは韓国の新聞雑誌記事からとってますし、そのかなりの部分が、なんと『朝鮮日報』や『東亜日報』など韓国の新聞社のサイト上で日本語訳されてネット上で閲覧可能なのです。
ある意味、あっけらかんとして身内の恥をさらけだしている韓国ですが、知らぬは日本人ばかりなりという不思議な情報格差が存在していたわけですね。
あらためて通読すると、まったくもってそのとおりだなあと、変な意味ですが感心するばかりです。内容がウソだと思う人は、自分でネット検索して情報ソースを検証してみるとよいでしょう。
さきに、「ビジネスの世界はいい」と書きましたが、それは「韓国に直接かかわっているビジネスパーソンはまだましだ」という意味で書きました。
困ったのは、日本経済新聞などでサムスンなど韓国企業関連の記事を読んで危機感をあおられている人たち。グローバル競争の観点からいって、韓国に大きく後れをとっていると煽っている手合いが多数いますが、韓国や韓国企業の内情を知らないと、おそらく記事の内容をそのまま信じてしまうでしょう。
韓国企業もまた「外華内貧」の「張り子の虎」あるいは「張りぼて」であることは、ぜひこの本を読んでその内実を理解していただきたいものです。かつて毛澤東は「資本主義は張り子の虎である」と言いましたが、韓国こそ「張り子の虎」(=ペーパー・タイガー)でありましょう。
なんせ、大韓民国は1948年の建国以来、日本に対する「貿易赤字」が解消したことはまったくないのですよ。日本の部品がなければ韓国製品など成り立たないことは、サムスンのスマートフォンですら例外ではありません。見た目重視のブランド戦略を強化するサムスンは、まさに「外華内貧」の最たるものですね。
なぜそんな事態が2013年の現在まで続いているのか、その理由を知りたい人は「ぜひこの本は読むべきだ!」と推奨したいと思います。
なんどでも言います。「ぜひこの本は読むべきだ!」(笑)
著者プロフィール
室谷克実(むろたに・かつみ)
1949(昭和24)年東京都生まれ。評論家。慶應義塾大学法学部を卒業後、時事通信社へ入社。政治部記者、ソウル特派員、宇都宮支局長、「時事解説」編集長などを歴任し、2009年に定年退社。以後、評論活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
PS 続刊として『呆韓論(産経セレクト)』(室谷克実、産経新聞社、2013)が2013年12月に刊行。
目 次
はじめに
序章 妄想と非常識に巻き込まれた日本
第1章 「自由と民主主義」の価値を同じくしない国
第2章 恥を知らない国際非常識国家
第3章 反日ならすぐにバレる嘘でも吐く
第4章 世界から軽蔑される哀れな反日病
第5章 歪みだらけのオンリー・イン・コリア
第6章 呆れかえるウリジナルの暴走
第7章 本当に恐ろしい人間差別大国
第8章 「売春輸出大国」の鉄面皮
第9章 わかりあえない不衛生・不法・不道徳
第100章 反撃の種「対馬」の仕込み方
終章 官邸、皇居の耳目役への警鐘
おわりに
書評 『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(古田博司、WAC、2014)-フツーの日本人が感じている「実感」を韓国研究40年の著者が明快に裏付ける
「ムクゲの花が咲きました」-原爆記念日に思うこと(2012年8月6日)
「日韓併合100年」に想うこと (2010年8月22日)
書評 『韓国のグローバル人材育成力-超競争社会の真実-』(岩渕秀樹、講談社現代新書、2013)-キャチアップ型人材育成が中心の韓国は「反面教師」として捉えるべきだ
書評 『コリアンスポーツ<克日>戦争』(大島裕史、新潮社、2008)-韓国のナショナリズムと国策としてのスポーツ立国
・・スポーツのすそ野の狭い韓国は基本的にエリート選抜型のキャッチアップ型の域をでない
書評 『朝鮮半島201Z年』(鈴置高史、日本経済新聞出版社、2010)-朝鮮半島問題とはつまるところ中国問題なのである!この近未来シミュレーション小説はファクトベースの「思考実験」
書評 『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』(鈴置高史、日本経済新聞出版社、2013)-「離米従中」する韓国という認識を日本国民は一日も早くもたねばならない
韓国で初の女性大統領誕生-彼女の父親を「同時代」として知っている世代には感慨深い
韓国映画 『嘆きのピエタ』(キムギドク監督、2012)を見てきた-「第69回ベネチア国際映画祭」で最高賞の金獅子賞を受賞した衝撃的な映画
・・韓国ではなぜ中小部品メーカーが成長しないのか?
韓国現代史の転換点になった「光州事件」から33年-韓国映画 『光州 5・18』(2007年)を DVD でみて考えたこと(2013年5月18日)
書評 『新・通訳捜査官-実録 北京語刑事 vs. 中国人犯罪者8年闘争-』(坂東忠信、経済界新書、2012)-学者や研究者、エリートたちが語る中国人とはかなり異なる「素の中国人」像
・・中国人と韓国人はかなり似ている。すくなくとも日本人とは大きく異なることがよくわかる
(2014年4月8日 情報追加)
(2012年7月3日発売の拙著です)
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