「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2020年2月5日水曜日

書評 『カント先生の散歩』(池内紀、潮文庫、2016 単行本初版 2013)-カントについて関心のある人、そうではなくても池内紀ファンなら読む価値あり


先日惜しくもお亡くなりになったエッセイストでドイツ文学者の池内紀さん。その知られざる1冊がこれ。『カント先生の散歩』(潮文庫、2016)。 

「知られざる」と書いたのは、潮(うしお)文庫なんて、存在そのものすら忘れていたマイナーな文庫だから。潮文庫を置いている書店も、あまりないしね。 

じつは私もつい最近知ったばかりなのだ。潮出版社のインド関連の本を読む機会があって、試みに amazon で潮出版からどんな本が出てるのかなと検索していたら、この本が出てきた。おお、こんな本があったのか! というわけでさっそく注文。届いたらすぐに読んでみた。

さすがに「散歩中」というわけにはいかないが、「電車での移動中」の読書には最適だ。薄くて軽く読める本だが、内容は面白い。 

カントの哲学書は、正直いって私も途中で読むのを断念している(苦笑)。ところがカントには『人間学』なんて面白い本がある。大学の講義を元にしたらしい。このほか『永遠平和のために』は、21世紀のいまでも読むべき本であって、短いし比較的読みやすい内容だ。 

池内さんは、その『永遠平和のために』の翻訳もしていたらしいと、この文庫本で初めて知った。その翻訳のための調べ物がから生まれたのが、この本のもとになった連載。その連載が、月刊誌『潮』だから、潮出版社から初版がでて、さらにその3年後に文庫化されたというわけ。 

池内さんの『ゲーテさん、こんばんは』(集英社文庫)も面白いが、おなじく18世紀に生きたドイツ人を描いた、この『カント先生の散歩』もいい味のある作品だ。 

哲学者カントのじつに人間臭い側面哲学書が生まれた背景にディスカッション・パートナーとして一卵性双生児のような英国人商人が存在したことの意味など、なるほどというエピソードに充ち満ちている。カント哲学は、けっして孤独な思索から生まれたわけではなく、対話から生まれたのである。

世の中全般に通じていた雑学的知識の持ち主で、会食の席で座を盛り上げる名手だったことなど、読んでいて楽しくなってくる。 

そして人間である以上、誰もが避けられない老いについて。頭脳明晰な哲学者カントも、寄る年波には勝てず、介護されながら老衰していく。カントの老いを詳しく描いているのは、著者自身が老境に入っていたためだろう。 

長々と書いてしまったが、カントについて関心のある人、そうではなくても池内紀ファンなら読む価値あり。この本を読めば、哲学者カントについて知ったかぶりができるようになりますよ(笑)






<ブログ内関連記事>

JBPress連載コラム第29回目は、「ロシアの「飛び地」に見る国境線のうつろいやすさ-Wカップの舞台となったカリーニングラードの歴史」 (2018年7月3日)
・・現在のカリーニングラードは、かつてケーニヒスベルクと呼ばれていた東プロイセンの首都だった。カントが生涯を過ごしたバルト海の港町である

書評 『富の王国 ロスチャイルド』(池内 紀、東洋経済新報社、2008)-エッセイストでドイツ文学者による『物語 ロスチャイルド家の歴史』

書評 『ことばの哲学 関口存男のこと』(池内紀、青土社、2010)-言語哲学の迷路に踏み込んでしまったドイツ語文法学者


『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと-時間・お金・ファンタジー-』(池内 紀・子安美知子・小林エリカほか、新潮社、2013)は、いったん手に取るとついつい読みふけってしまうエンデ入門



 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)


   
(2012年7月3日発売の拙著です)

 





Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end