『パクスなき世界-コロナ後の正義と自由とは』(日本経済新聞社編、日本経済新聞出版社、2021)を昨日(11月2日)やっと読了した。
日本経済新聞の連載を本にまとめたものらしい。と書くのは、日経どころか新聞をやめて10年以上たつので、この連載はリアルタイムで読んでいないからだ。
正直いって一気読みする類いの本ではない。読みやすくないのは、新聞紙面の制約上、どうしても薄くなりがちな記述が大量に集められて1冊になっているからだ。68人もの専門家にインタビューしているが、要点だけが掲載されているのが物足りない。
とはいえ、あらためて本として出版されるということは、その価値があるということだろう。
「パクス」(Pax)とは平和の女神のこと。「パックス」とも表記する。「パックス・アメリカーナ」(=アメリカの平和)が崩壊し、「米中対立」が今後も続く見込みだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、原因というよりも、すでに存在していた問題を顕在化させ、もはや後戻りのない状況に押しやったというべきであろう。
「コロナ前の常識」は、すでに崩壊したのである。すでに過去のものとなった常識は捨てなくてはならない。この本を最初から最後までよんでみて、その感をあらためて強くもつ。たとえ見たくないものだとしても、現実を直視することが必要だ。
すくなくとも、この本で「項目」として取り上げられた25の命題(*下記の「目次」を参照)にかんしては、現在を生きるビジネスパーソンとしては「常識」にしておきたいものだ。個別の問題については、各人の関心度合いに応じて深掘りするしかない。
目 次第1章 コロナが変えた世界1. 20世紀成長モデルの終焉2. 米中 2大国の対立3. 行き詰まる民主主義国家4. 国家や企業の存在意義とは5. 従来型の働き方の終わり6. 揺れる「都市」の価値第2章 自由のパラドックス1. 民主主義の動揺2. 中間層の没落3. 視界不良の財政政策4. 国家のセーフティーネット5. デジタルが生む分断第3章 大断層の先に目をこらす1. 開く格差と富裕層の責務2. 規制すりぬけるデジタル寡占3. 若者たちの貧困化4. 体制間競争、再び5. 強まる知の保護主義第4章 いまは夜明け前1. ゆがむ資本主義2. グローバリズムの動揺3. 膨張する債務と財政の不安4. 教育格差と固定されるヒエラルキー5. 企業の新たな倫理第5章 歴史を繰り返さぬために1. 歴史のアナロジー2. 第4次産業革命のインパクト3. SNSが揺るがす統治4. 日本の未来は
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