『武士マニュアル』(氏家幹人、メディアファクトリー新書、2012)という本を読んだ。
amazonで発見した本。こんな本が出ていたのか!「これを読めば君も武士になれる」といった類いの、オチャラカ系のタイトルだなと思った。そんな驚きと好奇心を喚起されたので、取り寄せて読んでみた次第。
ところが内容は、想像していたものとはぜんぜん違って、いたってマジメなもの。江戸時代の「武士の心得」といった実用書の紹介であった。
戦国時代の血なまぐさい「戦士」から、江戸時代に入って戦国の気風が消えていくと「刀を差した役人」に変わっていった武士。
マニュアルもまた、戦国時代の「実戦」的な指南書から、安定化した江戸時代の「実践」的な手引き書と変化していった。
とくに興味深いのが、切腹と介錯にかんするマニュアルだ。
実際に切腹した武士はごくごく少数だし、したがって介錯を行った武士もそう多くはない。だから、実体験をもつ武士は少なかったわけであり、実行にあたっては現場で粗相のないようにマニュアルが必要だったわけだ。
氏家幹人氏の江戸時代関連本はこれまでにも何冊も読んでいるが、この本もまた大いに楽しませてくれた。武士の末裔であるわたしにとっても、あらたに目を開かれた本となった。
目 次はじめに 武士道よりも武士マニュアル第1章 旗本新人マニュアル-『番衆狂歌』第2章 戦士マニュアル-『卜伝百首』第3章 精神修養マニュアル-『武士としては』第4章 武人マニュアル-『志塵通』第5章 発言マニュアル-『老士物語之ヶ条覚書』第6章 切腹マニュアル-『自刃録』第7章 武士を生きる主な引用史料と関連文献
著者プロフィール氏家幹人(うじいえ・みきと)歴史学者。1954年、福島県生まれ。東京教育大学文学部卒業、筑波大学博士課程中退。近世に関する著書を多く書いている。人と人の絆のあり方に注目。武士の世界を取り上げることが多く、ほかに男色・姦通など性をテーマにしたものや、老い、家族に関するものも多い。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
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