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2023年11月19日日曜日

映画『BELUSHI ベルーシ』(2020年、米国)を視聴 ー ジョン・ベルーシ死して40年。あらためて不世出の天才コメディアンの早すぎる死を悼む




amazon prime video でも視聴可能だったが、レンタル料が高かったので後回しにしていた。最近、ふと思い立って「マイアイテム」に登録したタイトルを見ていると「無料」になっていたので、さっそく視聴することにした次第。

ジョン・ベルーシ(1949~1982)の評伝執筆のためのインタビュー記録をドキュメンタリー映画に編集したものだ。ベルーシの妻や盟友のダン・エイクロイドその他、関係者多数の証言で構成されている。




映画の内容は以下のようなものだ。amazonサイトに掲載されているものを引用しておこう。

「サタデー・ナイト・ライブ」、『ブルース・ブラザース』の他、『アニマル・ハウス』(1978年)、『1941』(1979年)など、輝かしい日々を振り返るアーカイヴ映像、親友で俳優のダン・エイクロイドや、弟で俳優のジェームズ・ベルーシ、映画監督のジョン・ランディスなど関係者たちへのインタビュー、ロックバンド「ゴリラズ」のMVを手掛けるアーティスト、ロバート・バレーによる、人生の貴重な瞬間を表現するアニメーションで構成。
さらに、高校時代からの恋人で、後に妻となるジュディスが製作に協力したことで使用が実現した、彼女の自宅の地下室に保管されていた貴重な未公開音声テープと、ベルーシがジュディスに宛てた大量のラブレターや詩が物語を牽引していく。


1982年のジョン・ベルーシの33歳での突然死は、全米で大きな衝撃となって受け止められていた。TIMEなど週刊誌でもカバーストーリーになっていたと記憶する。

ベルーシといえば、なんといっても不朽の傑作コメディ音楽映画『ブルース・ブラザーズ』(1980年)だろう。

黒ずくめのスーツにネクタイ、黒いサングラスの二人組。すでにカルチャーアイコンとなってひさしい。amazon prime video でも視聴できるので、ときどき思い立っては特定のシーンだけ見ている。




とくに好きなのは、黒人教会のシーンだ。ジェームズ・ブラウン扮する牧師が、絶叫調の説教からそのままゴスペルを絶唱し、信者も巻き込んだエネルギッシュなダンスシーンになるというもの。

シカゴものの映画であり、ベルーシはシカゴに生まれ育っている。シカゴは黒人音楽のひとつの拠点であり、レイ・チャールズはじめブルース界の大御所のホンモノが登場する。ゴスペルからカントリー、ブルース、そして最後はロックンロールで締めるという「アメリカ音楽史」にもなっている構成。

このほか、見所がてんこ盛りなので、全編見るのは控えるようにしている。ついつい最後まで見たくなってしまうからだ。もちろん、後半のラスト近くのコンサート会場を借り切っての「ブルース・ブラザーズ」のコンサートシーンも最高だ。




そして、『アニマルハウス』(1978年)に、スピルバーグ監督の初期のコメディ作品『1941』(1979年)を映画作品としてあげることができる。




アメリカの大学キャンパスもので、ハチャメチャぶりが弾けきっている『アニマルハウス』は文句なしの傑作だ。

設定は1962年の某大学。通称「アニマルハウス」という男子学生寮が舞台。いわゆるフラタニティ(fraternity)というやつだ。女子寮はソロリティ(sorority)という。米国の大学ならではである。

ベルーシの役柄は、「アニマルハウス」の主(ぬし)。いるだけで存在感がある。

ベルーシはセリフなしでも笑わせる才能の持ち主だ。表情と動きですべてを表現する演技力に脱帽。存在感がありすぎる。




後者の『1941』とは、1941年つまり昭和16年の日米戦争を題材にして、西海岸のカリフォルニアの太平洋岸を舞台に、ベルーシをヒーロー(アンチヒーロー?)に据えたドタバタコメディー。

『1941』はいまいち日本では受けなかった記憶がある。『ジョーズ』や『激突』などと違って、スピルバーグ監督の作品としては、あまり言及されることがないような気もする。日本公開時に見たいと思った記憶もない。

先日、といっても数年前になるが、はじめて全編とおして見た。快作であることは間違いない。三船敏郎も出演しており、反日映画ではない。

映画のベルーシも素晴らしいが、なんといってもニューヨーク発の SNL(Saturday Night Live:サタデー・ナイト・ライブ)時代の短編コメディもすばらしい。

マーロン・ブランドやキッシンジャーの物まねものも笑わせるが、とくに三船敏郎の『用心棒』をニューヨークのTVで視聴してインスパイアされたという「サムライ・フタバ」(Samurai Futaba)ものは、爆笑につぐ爆笑の作品だ。

あやしげな日本語風の奇声を発しながら、ひげ面で髷を結んだ和服姿で登場する。なかでも、4分強の Samurai Hotel は、爆笑を誘発してやまない。やたら日本刀を振り回し、相棒とチャンバラを展開する。数少ないセリフに登場する mama-san という単語は、駐留米兵が持ち帰って英語かした日本語だ。




とくに傑作中の傑作は、いわゆる「チーズバーガー」(Cheeseburger) として知られている5分の短編コメディ作品。チーズバーガーとペプシしか置いてないギリシア料理の軽食カフェいう設定。

これはなんど見ても、腹の底から爆笑させられる。英語がわからなくてもまったく問題ない。というより、オーナー以外は英語がわからないという設定から生まれる笑いだから。




「オリンピア・カフェ」(Olympia Café) という、いかにもギリシア風の軽食カフェのオーナーの役だが、バルカン半島のアルバニアからの「移民2世」で、小太りで濃い風貌のベルーシーは、意図的にしゃべる巻き舌の英語とあいまってギリシア系オーナーになりきっている。

シカゴにはギリシア系の移民が多く、たしかアテネよりもギリシア人の人口は多いはずだ。そんな話を、ギリシア系移民からシカゴで直接聞いた記憶がある。

ギリシアはバルカン半島の南端で、アルバニアはその西北方面に隣接しており、アドリア海とイオニア海に面している。ものを知らないアメリカ人だが、さすがにギリシアくらいはしっているだろう。アルバニアはムリだとしても。


(アルバニアはギリシアの西北 Googlemap クリックで拡大)


このドキュメンタリー映画ではじめて知ったが、あの「チーズバーガ-」はアルバニア系移民1世の自分の父親がモデルだったのだそうだ。アルバニア語(Albanian*)まじりの片言の英語で接客していたのだろう。

2023年現在のオーストラリアの首相はアルバニージー(Albanese)という名字である。父親がオーストラリアに移民した、アルバニア系イタリア人の家系とのこと。アルバニアとイタリア南部のかかとの先端はイオニア海を挟んで対岸にある。


カウボーイが好きで、「アメリカン・ドリーム」を夢見てアルバニアから移民してきた両親。息子のジョンはアメリカ生まれなので、最初から英語をしゃべっている。

レストランを経営して多忙だった両親。ベルーシは典型的な「おばあちゃん子」だったようだ。家庭内ではアルバニア語が話されていたという。もちろん祖母は英語などまったくわからない。典型的な移民ファミリーである。


(アルバニアで2008年に発行された記念切手 Wikipediaより)


こういう環境に育つと、言語感覚にすぐれた人になるものだ。言語のズレを日常的に感じながら生きているためだ。日本国内でも、東京以外の出身者のコメディが面白いのはそのためである。

ベルーシの場合は、英語のわからない祖母とのコミュニケーションが、セリフに頼らない身体表現に目覚めるきっかけになったのかもしれない。表情とアクションだけで感情表現できる高度な能力。

太っちょで短足だが運動神経がいいのは、ハイスクール時代はアメフト選手だったからだ。『ブルース・ブラザーズ』でも、バック転を連続する身体能力の高さは驚異的だ。

中途半端になってはいけないと、父親の願いだったレストラン・ビジネスを継ぐことは断り、シカゴのコメディアンからニューヨークのTVの世界へ、そしてハリウッド映画。

高校時代もバンドを組んでいた音楽好きで、ブルースにはまってから親友のエイクロイドでバンドを組んだら、それが大受けして映画にもなる。

まさにマルチな才能を全速力でフル回転させて生き抜いた人生。

自信過剰というほど自信の塊だったようなベルーシだが、大きな成功が人生をむしばんでいく。薬物依存から結局は抜け出すことができないまま、誰にも看取られることなくハリウッドで孤独死という最期であった。生き急いだのかもしれない。

1982年にベルーシが33歳で突然死して、すでに40年以上もたつ。もうずいぶん昔のことになるのだなと思いながら、これほどの天才はなかなか現れるものではないなあ、とも思う。

全身コメディアンというべき演技で、ハチャメチャぶりを発揮していたベルーシ。実人生も破天荒そのものであったが、こういう人に限って、じつは繊細な神経の持ち主だというのはよくあることだ。

日本のギャグマンガ家にもそういう人が少なくないが、成功がかえってあだになって行き詰まってしまい、死を選んでしまうことがある。ベルーシの場合もそうだったのだろうか。

ドラッグカルチャーの1960年代の申し子であったが、コカインとヘロインの薬物中毒で、過剰摂取が原因での突然死となっているが、実質的に自分を殺したようなものだろう。

あらためて不世出の天才コメディアンの早すぎる死を悼む。



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<ブログ内関連記事>

・・シカゴを舞台にしたコメディ映画で音楽映画でもある『ブルーズ・ブラザーズ』(1980年)は、まさにそのコンピレーションといってもいい。ミシシッピ川上流域で分岐点にあるシカゴが、黒人音楽の一つの中心であることの意味も、わかってくる。20世紀前半の黒人の南部から北部への大移動(=グレート・マイグレーション)は、ニューオーリンズからミシシッピ川を北上するルートであった。

・・ベトナム戦争時代、東部ペンシルバニア州の鉄鋼業の企業城下町に生きるロシア系移民たちの青春。エスニックもの映画でもある

・・ギリシアはバルカン半島の南端で、アルバニアはその西北方面に隣接しており、アドリア海に面している。オスマン帝国時代にイスラーム化された住民がアルバニアには多い。エジプト太守のムハンマド・アリーはアルバニア人であった

・・アルバニアもまた社会主義国だったが、中ソ対立時代に毛沢東主義を採用していた。冷戦崩壊後の社会経済の大混乱は「ネズミ講事件」などが発生しており、ルーマニア以上の混乱であったようだ


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