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2024年8月12日月曜日

暑いからこそ辛いものを食べ、暑い国の辛い料理について書かれた本を3冊つづけて読んだ:『カレー移民の謎 ー 日本を制覇する「インネパ」』(室橋裕和、集英社新書、2024)/『インドの食卓 ー そこに「カレー」はない』(笠井亮平、ハヤカワ新書、2023)/『カラー版 インド・カレー紀行』(辛島昇、大村次郷=写真、岩波ジュニア新書、2009)

 

「暑い国」の「辛い料理」(=「ホットな国」の「ホットな料理」)といえば「カレー」だな。 

というわけで「カレー関連」の新書本を3冊ぶっつづけで読んだ。「カレー」とカッコ書きで書くのは理由があるが、そのわけはのちほど。 



■日本のインド料理店のほとんどが「ネパール人」の「カレー移民」の経営である!


いまでは日本中いたるところにある「インド料理店」だが、じつは5,000店近くあるそのほとんどがネパール人の経営で、ネパール人のコックが調理しているという実態。アメリカの日本料理店の大半が韓国人経営ということを想起するが、ちょっと違うようである。 

もともと、ムガール帝国の宮廷料理から発展した「ムガール料理」をベースにした高級料理として日本紹介されたのがインド料理であった。

だが、現在では上記のような状況になっている。海外出稼ぎや移民で経済を成り立たせているネパール人の独擅場となっているのである。その経緯と理由が、著者による人から人をたどった綿密な取材によって明らかにされる。 

取材に3年間かけてできあがった、まさに労作というべきノンフィション作品だ。 

第一世代の「カレー移民」そのものだけでなく、親の都合で日本に連れてこられたネパール人二世をめぐる問題へのめくばりも大事な視点だ。

また、日本に大量に「カレー移民」を送り出しているネパールの農村の現地取材もいい。 

そのむかし、ネパールのカトマンドゥ、そしてルンピニ(=仏陀生誕地への仏跡巡礼)、さらにポカラ(・・アンンアプルナ周辺のトレッキング)に行ったことがあるが、そのことを思い出しながら読んだ。 


バンコク卒業後の室橋氏の取材活動には要注目だ。


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目 次
はじめに 「ナン、おかわりどうですか?」 
第1章 ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか 
第2章 「インネパ」の原型をつくったインド人たち 
第3章 インドカレー店が急増したワケ 
第4章 日本を制覇するカレー移民 
第5章 稼げる店のヒミツ 
第6章 カレービジネスのダークサイド 
第7章 搾取されるネパール人コック 
第8章 カレー屋の妻と子供たち 
第9章 カレー移民の里、バグルンを旅する 
おわりに カレー移民はどこへ行くのか
あとがき

著者プロフィール
室橋裕和(むろはし・ひろかず)
1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年にわたりタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のジャーナリストとして活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。外国人コミュニティと密接に関わり合いながら取材活動を続けている。著書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)




■カレーだけがインド料理ではない!

日本の「インド料理店」が「インネパ」の経営であるために、ガチのインド料理を食べることが、かえってむずかしくなっているのが現状だ。 

というわけで、『インドの食卓 ー そこに「カレー」はない』(笠井亮平、ハヤカワ新書、2023)をつづけて読んで、インド料理の多様性について知る。

著者は、カレーを「スパイスをもちいた煮込み料理」と定義する。そう定義すると、日本でいう狭義の「カレー」以外の多種多様な料理が含まれてくる。  

わたしはインドには2回いっているが、長期滞在ではないし、しかも地域が限定されるので、インドでインド料理を食べたことがあるといっても、まさに「群盲象を撫でる」に等しい。だからこそ、こういう本を読む必要があるわけだ。 

著者はインドの首都デリーとパキスタンの首都イスラマバード勤務経験があるとのことで、基本は北インド料理についての記述が多い。

ムガール帝国以降のインド料理が、初代皇帝の出身地である中央アジアや西隣の文明国イランの影響を受けていることが示されている。さすがに炊き込みご飯のビリヤニがイラン起源とは知らなかったな。イランのピラウがピラフへ、名前を変えてインドではビリヤニに。 

インド料理は、基本的に「ベジタリアン」(vegetarian)と「ノンベジタリアン」(non-vegetarian)で区分される。前者は、言うまでもなく文字通りであるが、後者は肉食ありのことだ。つまり、インドは「ベジ」が基本なのである。 

「第5章 「インド中華料理」ー 近現代史のなかで起きたガラパゴス化」という章が面白い。

チャイナタウン(=中華街)がないとされるインドだが、インドにも中華料理があるのだ。それもインドにローカライズされた中華料理が。 

「インド料理=カレー」という固定観念を壊すために読むといい。この本を読むと、ガチのインド料理食べたくなってくる。


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目 次
はじめに ー インドに「カレー」はない?
第1章 「インド料理」ができるまで ― 4000年の歴史 
第2章 インド料理の「誤解」を解こう 
第3章 肉かベジか、それが問題だ ― 食から見えるインドの宗教、文化、自然 
第4章 ドリンク、フルーツ、そしてスイーツ ― インド料理に欠かせない名脇役たち 
第5章 「インド中華料理」― 近現代史のなかで起きたガラパゴス化 
第6章 インドから日本へ、日本からインドへ 
おわりに
あとがき
参照資料についての解説

著者プロフィール
笠井亮平(かさい・りょうへい)
1976年、愛知県生まれ。岐阜女子大学南アジア研究センター特別客員准教授。中央大学総合政策学部卒業後、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科で修士号取得。専門は日印関係史、南アジアの国際関係、インド・パキスタンの政治。在インド、中国、パキスタンの日本大使館で外務省専門調査員として勤務した経験を持つ。著書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


■インド料理は南から北上した「スパイス」と、北から南下した「ミルク」が融合し、その基本形ができあがった


もうお亡くなりなってひさしいが、著者の辛島氏はインド史の権威だった人。「辛島」という名字が「カレー」にふさわしい(笑) 

それはさておき、「ジュニア新書」だとあなどってはいけない。マドラス(現在のチェンナイ)を中心に、南インドに長く滞在して研究された人だけに、コメと魚が中心で、しかも古代以来スパイスの一大産地である「南インド料理」の記述が光っている。 

辛島流にいえば、インド料理は南から北上した「スパイス」と、北から南下した「ミルク」が融合し、その基本形ができたということになる。インド料理には、多様性がありながら、そこに統一性があるわけだ。 

辛島氏によれば、インド料理に絶対に欠かせないスパイスは、ターメリック(=ウコン)、クミン、コリアンダー(=パクチー)、コショウ、マスタードの5つだという。 

北は粉食が中心で、小麦粉からつくるナンやチャパティは北インド発だ。その点は中国大陸と似ているな、と。中国大陸も北部はマントウなどの粉食で、南部はコメが中心である。

ただし、ガンジス川中下流域のベンガルはコメと魚が中心で、しかも東隣のミャンマーからの影響もある。 なるほど、インド亜大陸の南北が出会って融合したことで、スパイスとミルクがインド料理を特徴づけているわけだ。 

そんな話が満載のこの本は、アジアが専門の写真家・大村次郷氏の写真とあいまって、新書本ながらぜいたくな内容になっている。 

もう1回インドに行く機会があれば、ぜひまだ行ったことのないケーララ州を含めた南インドにいってみたい。そう思ったのであった。 


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目 次
はじめに
第1章 インドでカレーライスを注文したら 
第2章 「カレー」の語源と「カレー」の成立 
第3章 留学生活とカレー ― マドラス大学院生寮の食事 
第4章 カレー好きになる ― マイソールでの一家滞在 
第5章 ムガル朝の宮廷料理 ― 中央アジアとペルシャの伝統 
第6章 カレーの原点 ― ケーララの海とスパイス 
第7章 ゴアのカレーに残るポルトガルの味 
第8章 カレーで結ばれたベンガルと日本 ― ガンジス川の流とその魚 
第9章 辛いスリランカ・カレーとモルディブの鰹節 
第10章 現代インド料理の成立 ― インド文化論 
カレー関連用語集
参考文献

著者プロフィール
辛島昇(からしま・のぼる)
1933~2015年。東京大学名誉教授、大正大学名誉教授。専門は南アジア史。タミル語刻文研究の世界的権威であり、カレー博士としても知られる。History and Society in South India(Oxford University Press)にて日本学士院賞を受賞。著書多数。





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