昨夜(2024年8月21日)の東京は「線状降水帯」の発生による「記録的大雨」(=ゲリラ豪雨)でたいへんだったようだ。
東京メトロの市ヶ谷駅は、地下鉄駅の改札まで濁流が流れ込んでいた様子が、動画に撮影されて SNS の X に投稿されていた。その状況はすさまじいの一言に尽きる。
どうやら、東京は、いや日本全体があらたな時代状況に突入しているようだ。東京をはじめとする大都市では、20世紀の早い頃から地下鉄や地下街が発展してきたが、地球温暖化が原因の、水の猛威に対する対策が喫緊の課題となりつつあるのではないか?
■地下鉄の冠水対策はタイに学べ!
そんなときに思い出すのが、タイ王国の首都バンコクの地下鉄駅の構造である。バンコクには、そのむかし、仕事の関係で暮らしていたことがある。
地下鉄は、正確には MRT(Metropolitan Rapid Transport) というが、地下鉄の駅舎の入り口は地面より高く設定されており、昇降用の階段が設けられているのだ。
(バンコク中心部の金融街にあるシーロム駅 筆者撮影)
最初はなぜそうなっているのかわからなかったが、あとから洪水対策なのだということがわかった。
(バンコク北部のホイクワン駅 筆者撮影)
雨期になるとタイではひんぱんに発生する洪水だが、たとえ道路が冠水しても、あふれた水が地下鉄駅に流れ込まないようになっているのである。
(バンコク中心部のルンピニ駅。仏教国タイらしい駅名 筆者撮影)
もちろん対応が困難な場合は、土嚢(どのう)が積み上げられることになる。2011年の大洪水の場合がそうだったが(*下記の写真参照)、たいていの場合は問題ない。 ただし、日本と違って、突発的に大洪水となるような事態はそれほど多くない。
(2011年の大洪水が引いたあとの地下鉄駅入り口 土嚢が残されている 筆者撮影)
バンコクの地下鉄システムは基本的にドイツのシーメンス社のものだが(・・建設資金は日本からの円借款)、後発組であるだけに、その土地の特性に応じた対応が取られ、最新の技術が導入されている。
日本は、地下鉄の技術にかんしては先進国であるが、地球温暖化時代の対応は、後手後手に回ってしまっているようだ。 まさに想定をはるかに上回る事態が発生し、それが常態化しつあるのに対応が追いついていないのだ。
(東京メトロ東西線の東陽町駅 地面は海抜マイナス0.8m 筆者撮影)
いまからでも遅くないから、地下鉄の冠水対策はタイに学ぶ必要があると思う。
ただし、バンコクのMRTにかんしてはスロープが設置されていないので、バリアフリーだとは言いがたい。実際問題、キャスターつきのスーツケースは持ち上げて運ばなければならないのは面倒なことだった。
地下鉄の入り口に階段を設けるためには、バリアフリーを意識して、スロープを設置するなどで対応可能だろう。あらたに建設されるベトナムやインドネシアの状況は、はたしてどうなっているのだろうか?
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