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2011年6月9日木曜日

書評 『梅棹忠夫-地球時代の知の巨人-(KAWADE夢ムック 文藝別冊)』(河出書房新社、2011)-まだまだ「使いこなされ」ていない「ウメサオタダオという発想法」を知るために


まだまだ「使いこなされ」ていない「ウメサオタダオという発想法」を知るために

まるごと一冊ウメサオタダオ。著作集と単行本に未収録の文章と対談を中心に収録した本書は、梅棹忠夫ファンにはうれしい一冊だ。

本書を通読してあらためて思うのは、梅棹忠夫の発想には、戦前のモンゴル研究が、最初から最後まで通奏低音として流れているということだ。
初公開の「原画によるモンゴル遊牧図譜」は、敗戦後のどさくさのなか、日本に持ち帰ることのできた貴重な資料である。

定住する農耕民の発想ではなく、京都という「都市住民の発想」「使いこなす」という動詞に端的にあらわれた「職人の発想」、あこがれの対象であったモンゴルを中心とした遊牧民の「ノマドの発想」。文明論だけでなく、情報論もまたこのベースが根底にあるような気がする。

同じく関西生まれで理系出身の浅田彰との1996年の対談も、読んで得るものが非常に多い。理系のセンスで人文科学の分野を開拓してきたこの二人は、世代が大きく異なるとはいえ、記憶術やデータベースにかんする考えなど、共通するものも多いことがわかる。「分類するな検索せよ」など、インターネット時代を先取りした発想である。この対談も2011年時点で読んでもまったく古さを感じさせないのは、本質論を語っているからであろう。

ロングセラーの『知的生産の方法』(1969年)で、ずっと黙殺され続けてきたローマ字論について、そもそもの思想的根拠がどこにあるかがわかって興味深い。とくに、エスペラント語をめぐっての、モンゴル学者で言語学者の田中克彦との対談では、梅棹忠夫が筋金入りのエスペランティストであったことの理由が明確に語られており、ある意味では田中克彦よりもはるかにラディカルな言語思想家で実践家でったことがわかる。耳で聞いてわかる日本語の改革に生涯をかけて精力を注いでいたことに、失明後も旺盛な知的生産を行うことのできた秘密の一端があるようだ。

梅棹忠夫の『文明の生態史観』が江上波夫の『騎馬民族国家』とならんで、敗戦後の日本とアジアにおいて大きな意味をもっていたことが、中国領の内モンゴルで知的形成したモンゴル学者の楊海英氏の文章で再確認されるのも貴重な証言だ。戦後の自由な風を準備したのは、戦前にモンゴルの草原でフィールドワークを行っていた、ジャンル横断型の型破りな学者たちであったことは、実に幸いなことであったのだ。

ここにはすべてを紹介しきれないが、まだまだ「使いこなされ」ているとは言い難い「ウメサオタダオという発想法」を知るために、本書は実によく編集されたアンソロジーになっている。多くの「発見」がある本書を、ぜひ多くの人にも薦めたいと思う。


<初出情報>

■bk1書評「まだまだ「使いこなされ」ていない「ウメサオタダオという発想法」を知るために」投稿掲載(2011年5月1日)
■amazon書評「まだまだ「使いこなされ」ていない「ウメサオタダオという発想法」を知るために」投稿掲載(2011年5月1日)





目 次

エッセイ

中村桂子 優しさと厳しさが一つになって
橋爪紳也 天啓としての都市神殿論
中野不二男 オクマジャクシから宇宙まで
白幡洋三郎 梅棹忠夫ににとっての旅と探検
糸井重里 <絶対のおすすめ本>
井上ひさし べストセラーの戦後史-『都市の論理』『知的生産の技術』

●初公開 草稿 日本探検「近江菅浦」

梅棹忠夫 近江菅浦
篠原 徹 日本探検「近江菅浦」がめざしたもの

梅棹忠夫、語る

鶴見俊輔 党派の憂鬱-語りつぐ戦後史
桑原武夫 人類の未来
開高健 地球時代の文明論
田中克彦 二一世紀の文明の行くえと国際語のあり方
梅樟忠夫×臼杵陽 イスラームを旅する
浅田彰 文化のデータベースとしてのミュージアム

●幻のベストセラー 初公開「人類の未来」の構想

小松左京 SFの大先輩のような人
小池信雄 幻のベストセラ-『人類の来来』-暗黒のかなたの光明


原画によるモンゴル遊牧図譜

著作集・単行本未収録原稿 梅棹忠夫
梅棹忠夫 梅棹忠夫の文明巷談
梅樟忠夫 文明論からみた家庭と家族

京都大学カラコラム・ヒンズークシ学術探検隊 記録映画メモ

再現イラスト 知的生産の現場
「梅棹忠夫著作集」が生まれた部屋

文明論

阿部健一 「文明の生態史観」とは何か
楊海英 遊牧民からみた「文明の生態史観」
橋爪大三郎 文明の生態史観と戦後日本

家庭論・女性論

上野千鶴子 「妻無桐論」から半世紀をへて

情報産業論

奥野卓司 情報はエーテルか、メディアはマッサージか-梅棹「情報産業論」再考

座談会

中牧弘允×久保正敏×小長谷有紀×飯田卓
梅樟忠夫をうけつぐ

資料

梅棹忠夫主要著作リスト
梅棹忠夫略年譜




<書評への付記>

戦後思想を代表する鶴見俊輔との1967年の対談も、大衆の思想というよりも、あくまでも自分というフィルターを通ったものだけが意味をもつということの重要性を、当たり前のように主張している点が興味深い。

いまでもまだまだ主流になっているとは言い難いこの発想は、その当時はそうとうの反発を招いていただろうことは容易に想像できる。本書に収録された、井上ひさしの文章「ベストセラーの戦後史」の抜粋が、そのかっこうな説明となっている。

現時点でもっとも関心がもたれるであろうものは、●幻のベストセラー 初公開「人類の未来」の構想についてであろう。国立民族学博物館(みんぱく)の設立準備で超多忙のためもあり、結局書かれずに終わってしまったけなかった本の中身についてであるが、先日、NHK・Eテレで放送された、ETV特集 「暗黒のかなたの光明-文明学者 梅棹忠夫がみた未来-」 では、「3-11」後の視点から、文明観の根本的転換が必要なことが指摘された、きわめて内容の濃い番組となっていた。

番組を補完する意味でも、大阪出身のSF作家・小松左京による「SFの大先輩のような人」と河出書房で編集を担当していた小池信雄による「幻のベストセラ-『人類の来来』-暗黒のかなたの光明」は必読であろう。企画の背景などインサイドストーリーを知ることができる。

なお、『世界の歴史 25 人類の未来』(河出書房、未完)については、このブログでも別途取り上げることとしたい。


<関連サイト>

「ウメサオタダオ展」(国立民族学博物館(みんぱく))・・2011年3月10日~6月14日

ETV特集 「暗黒のかなたの光明-文明学者 梅棹忠夫がみた未来-」


<ブログ内関連記事>

書評 『梅棹忠夫 語る』(小山修三 聞き手、日経プレミアシリーズ、2010)
・・最晩年の放談集。日本人に勇気を与える元気のでるコトバの数々

書評 『梅棹忠夫のことば wisdom for the future』(小長谷有紀=編、河出書房新社、2011)

書評 『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界の歩き方』(小長谷有紀・佐藤吉文=編集、勉誠出版、2011)

書評 『日本人は爆発しなければならない-復刻増補 日本列島文化論-』(対話 岡本太郎・泉 靖一、ミュゼ、2000)
・・大阪万国博覧会(ばんぱく)から国立民族学博物館(みんぱく)へ。志半ばでともに中心になって推進していた盟友の民族学者・泉靖一が斃れたあとをついだのが梅棹忠夫である。その泉靖一との対談記録で、フランンスで民族学を勉強した岡本太郎が議論をバクハツさせる!






(2012年7月3日発売の拙著です)







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