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2015年7月13日月曜日

書評 『IB教育がやってくる!-「国際バカロレア」が変える教育と日本の未来』(江里口歡人、松柏社、2014)-「国際バカロレア」は生徒一人一人の自発性と内発的動機を重視した「総合的な学習」である


「IB教育」(アイビー教育)について耳にする機会も増えてきたのではないだろうか。文部科学省が「グローバル人材育成」の観点から本腰を入れるようになってからは、注目度も上がってきているようだ。

 IB(アイビー)とは International Baccalaureate の略、日本語では「国際バカロレア」と訳されている。1968年に創設されたスイスのジュネーブに本部をおく財団法人のことで、この民間団体が提供する教育プログラムとディプローマ(=証明書)のことも指している。

大学などでフランス語を学んだことのある人なら、バカロレアについては耳にしたことがあるだろう。バカロレア(Baccalaureate)とは、フランスの入試制度において、大学入学資格とその試験のことをさしたフランス語だ。リセ(lycee)などの中等教育の最終学年に受ける国家試験のことである。これがないと大学には入学できない。ナポレオンによる教育改革の一環として18世紀初頭に制度化された。

ところが、「国際バカロレア」は、フランスのバカロレアとは関係ない国家試験でもない文部科学省のウェブサイトによれば、「チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置」、とある。定義としては、こんなところだろう。付け加えれば、英語(あるいはフランス語、スペイン語)によって授業が行われる。

だが、これだけでは、日本の現状を国際標準に合わせるという意味合い以上のものは感じられない。国際バカロレア(IB)を実践している学校では、じっさいにどのようなことが行われているのか知るのは、『IB教育がやってくる!-「国際バカロレア」が変える教育と日本の未来』(江里口歡人、松柏社、2014)など読んでみる必要があるだろう。

この本は、この国際バカロレア(IB)に、日本ではきわめて早い段階から取り組んでいる玉川学園の関係者が執筆したものである。玉川学園は「全人教育」というコンセプトを実践してきた「最後の私塾」といわれる。著者によれば、IB教育の理念と実際は、玉川学園が実践してきた「全人教育」と親和性が高いという。だから、IB教育に取り組むことにしたのだ、と。

「自分のアタマで考えて、自分で行動する」人材は、現在の日本の教育では、なかなか育成できない。なぜなら、日本の従来型の教育は、カリキュラムをこなすことが目的となっており、生徒(あるいは学生)の興味や自主性をうまく引き出すタイプの教育ではないからだ。

IB教育が重視する、生徒一人一人の内発的動機を重視する授業は、教師から生徒への一方通行のブロードキャスティング型授業ではまったくない。教師はあくまでもファシリテーターとして、生徒一人一人とのインタラクションを重視する。しかも、教室での学びであるから、「気づき」をつじた、生徒どうしのインタラクションも活性化されるわけである。

授業の進め方は教師に一任され、「総合的な学習」が実現している。きわめて個性的な一回限りの授業が実現するわけだ。すべての授業が英語で行われるわけではなく、日本語による授業も行われるので、英語漬けを目的とした、いわゆるイマージョン教育とは異なる。

日本での取り組みはまだ始まったばかりであり、実績が出だしたばかりという段階のため、どうしても「期待先行」というきらいがなくもない。IB教育実施のためには、クリアすべき問題が多いが、なによりも教員養成の問題は避けて通れないだ。ファシリテーター型の教師像は、日本ではまだまだ主流とは言い難い。「ハーバード白熱教室」で有名になったサンデル教授のようなスタイルが、実行するに当たってはいかにむずかしいか、一度でもじっさいに試みた人なら理解できることだろう。

読んでいて思うのは、IB教育の内容が、拙著『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』と大きく重なるという点だ。身近なものに「なぜ?」という疑問をもち、自分で調べるという姿勢。観察を重視し、仮説検証を繰り返していく姿勢。アウトプット重視でインプットを行うという姿勢が共通しているからだ。

著者も強調しているが、IB教育は、けっしてエリート養成の教育プログラムではない(!)ことに注意しておきたい。結果として真のエリート育成につながるかもしれないが、「全人教育」がそうであるように、エリート教育は「目的」ではないのである。あくまでも「結果」である

「グローバル人材」というはやりコトバから注目されている国際バカロレア(IB)だが、「全人教育」という観点から注目すべきなのではないかと思うのだ。





目 次 

序章 「IB教育がやってきた」
第1章 「もう、詰め込み教育は終わりにしよう」
 1. 教育が行き詰まってきた
 2. 完璧すぎる指導要領
 3. 個性とは何か
 4. 世界市民という考え方
 5. 教育ということばの意味
第2章 「IBの現場」
 1. 先生は授業の司会進行役
 2. 生徒の発言はすべて Good Job !
  3. 日本の英語教育のおかしさ
 4. 答えを出さない授業
 5. 山頂への道はひとつではない
 6. 知識は詰め込むものではなく、使いこなすもの
 7. 日本の学校で優秀な子
第3章 「IBと社会と企業」
 1. 英語コンプレッックスをなくせ
 2. 阿吽の呼吸を説明できますか
 3. 企業が求める新しいタイプの人材
 4. 授業の出席率がいい最近の大学生
 5. クリエイティブが意味するところ
第4章 「生きる力」
 1. 国が示した定義
 2. 学校教育ありきではない
 3. 受験のトラウマ
 4. コミュニケーション英語って何
 5. 学校は生き方を教える場であってほしい
 6. IBの理想的クラスサイズ
 7. 総合的な学習が目指したもの 
第5章 「IBのカリキュラムと実践」
 1. IBへの期待と不安
 2. 大学入試制度を問う
 3. IB導入の認定
 4. 教員養成の問題
 5. 自由に授業を進めても構わない
第6章 「さらば受験の時代」
 1. 我が受験生時代
 2. 東京大学という場
 3. 東大を評価しない人たち
 4. 受験勉強でセルフエスティームは育たない
 5. クオリティ・オブ・ライフ
参考文献


著者プロフィール

江里口歡人(えりぐち・かんど)
1956年、愛媛県松山市に生まれる。1982年東京大学農学部卒業、1985年東京大学教育学部卒業。88年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教育学大学院に入学、90年教育修士課程、93年同博士課程修了、95年同大学院より教育学博士号を取得(Ph.D.)。1994年4月より玉川大学学術研究所講師。玉川学園国際教育センター副センター、同学園研修センター副センター長を経て、玉川大学教育学部教育学科准教授。玉川学園での国際バカロレア・プログラム導入に携わり、本年度玉川大学大学院教育学研究科にIB教員養成コースを立ち上げる。文部科学省「国際バカロレアTOKに関する調査研究会議」有識者メンバーなどを歴任。 共著書に『子供の心を強くする本ーセルフ・エスティームの子育て論』(PHP研究所)、『学校教育制度概論』(玉川大学出版部)、 『親から子への幸せの贈りもの』(共訳、玉川大学出版部)がある。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<関連記事>

 「優秀な学生を2倍にする」国際バカロレア、日本への導入は進むのか? (ライフハッカー編集部、2016年2月18日)

(2016年2月19日 項目新設)


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ヨーロッパの大学改革-標準化を武器に頭脳争奪戦に
・・IB教育もヨーロッパ発の「標準化」のひとつといえる

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・・教師はファシリテーター

ダイアローグ(=対話)を重視した「ソクラテス・メソッド」の本質は、一対一の対話経験を集団のなかで学びを共有するファシリテーションにある

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第8回放送(最終回)-最終課題のプレゼンテーションと全体のまとめ
・・創造性を養うための授業は、いっけんすると小学校の授業のようだ



(2012年7月3日発売の拙著です)










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