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2025年6月21日土曜日

書評『透析を止めた日』(堀川惠子、講談社、2024)ー ノンフィクションの「極北」というべき作品。壮絶なまでの看取りの記録と日本の医療が抱える現状に対する問題提起

 

 『透析を止めた日』(堀川惠子、講談社、2024)というノンフィクションを読んだ。これはすごい作品だ。ここまで書ける人はいないだろう。  

透析患者の配偶者と寄り添いつづけた10年の記録と、その壮絶なまでの終末期の看取りの体験をリアルタイムで描いた第一部。その体験をもとに、取材者の観点から日本の透析とターミナルケアをめぐる現状を描いた第二部で構成されている。 

第一部の体験記は、それこそ息を呑むような思いで、どんどんページをめくりたいという気持ちにかきたてられる。だが、一気に読み続けることができなかった。内容があまりにも重く、疲れてしまうのだ。 

著者のつらさについてはいうまでもない。わずか60歳で亡くなった男性の無念さも、痛いほどわかる。死ぬ間際まで意識が明晰でありながら、ライフワークを完成させることもままならず、みずから透析を止めることを決断し、逝くことになった配偶者。そして看取る著者の憔悴。 

週3回の透析は、腎臓に疾患をもつ人が生き続けるため、絶対に必要不可欠なものである。透析を止めたら死に至るのだ。ところが、透析患者には「緩和ケア」は適用されないという。対象は末期がんだけなのだ。医療行政上の欠陥としかいいようがない。 

「ノンフィクション作品の著者は黒子であるべきだ」という、禁欲的な信念の持ち主であった著者が、あえてその禁を破って、介護の「当事者」として書いていただいたことを感謝したい。 

自分自身だけでなく、身近な家族や親族に透析患者をもったはないが、大学学部時代の恩師である阿部謹也先生は透析を受けていた障害者であった。今回はじめて自分事として体験することができた。 

そしてこの壮絶なまでの看取りの記録があってこそ、第二部の透析患者の末期をめぐる現状の問題と、その改善の方向を描いた取材の記録が、いかに説得力に満ちたものであるか理解できるのだ。 

人間だれもが、いずれ死ぬことになるわけだが、末期がんであろうと透析患者であろうと、あるいはそうでなかろうと、「よく死ぬことは、よく生きること」である。人間は死ぬその瞬間まで現世で生きているのである。 

「よく生きる」ことに重点がおかれがちなウェルビーイングであるが、「よく死ぬ」こともその重要な課題として、医療関係者だけではなく、誰もが受けとめることが必要だと痛感している。透析患者やその家族、あるいは医療関係者ではなくても、ぜひ読んでほしい。

  わたしもまた友人のノンフィクション作家から薦められて読んだのだが、それはまことにもって正解であった。





目 次
序章 
第一部 
 第1章 長期透析患者の苦悩 
 第2章 腎臓移植という希望 
 第3章 移植腎の「実力」 
 第4章 透析の限界 
 第5章 透析を止めた日 
第二部 
 第6章 巨大医療ビジネス市場の現在地 
 第7章 透析患者と緩和ケア 
 第8章 腹膜透析という選択肢 
 第9章 納得して看取る 
献体 ―― あとがき 
解説  南学正臣(日本腎臓学会理事長)


著者プロフィール
堀川惠子(ほりかわ・けいこ)
1969年広島県生まれ。ノンフィクション作家。広島大学特別招聘教授。TVディレクターを経て、『チンチン電車と女学生』(小笠原信之氏と共著)を皮切りに、ノンフィクション作品を次々と発表。『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』で第32回講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命―死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、『永山則夫―封印された鑑定記録』で第4回いける本大賞、『教誨師』で第1回城山三郎賞、『原爆供養塔―忘れられた遺骨の70年』で第47回大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに加筆)



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