(NHKニュース報道よりキャプチャ)
2016年12月27日、安倍首相とオバマ大統領がともにハワイの真珠湾(パールハーバー)で慰霊した。
現役の首相として発の真珠湾訪問というのは、どうやら誤報だったようだが、それでも現職の日本の首相が、しかも現職の米国の大統領と一緒に慰霊を行ったということには大きな意義があると言うべきだろう。
オバマ大統領が生まれ故郷のハワイで冬期休暇を過ごす機会を捉えたということのようだ。もちろん、入念に準備は行われていたのだろう。記念日である12月7日でないことにも意味はあるかもしれない。オバマ大統領の広島訪問も2016年5月27日と記念日ではなかった。
ちなみに複数の首相がじつは訪問しているようだが、吉田茂首相はサンフランシスコ講和条約(1950年)調印の帰国途上でハワイで訪問した際に真珠湾に立ち寄ったようだ。
当時は日本と米本土を結ぶ直行便は燃料キャパの関係から不可能だったので、中間地点のハワイに立ち寄ってで給油するのが当たり前だった。わたしがはじめてサンフランシスコに行った1991年には、残念ながら直行便は当たり前の存在だったので、じつは、いまだにハワイにいっていない。したがって真珠湾も訪問したことがない。
本題に戻るが、日本政府は、オバマ大統領の被爆地広島訪問とは、公式には関係ないとしているというものの、受け取る側としては、返礼に近いものだと考えるのが常識的な見方というべきだろう。つまり解釈は、日米双方の個々人にゆだねるということだ。
わたし個人としては、真珠湾攻撃に対する「謝罪」がなかったのは当然だと考える。日本は米国に追い込まれていたという事情があったことは否定できない。ローズヴェルト大統領としても、日本が攻撃を仕掛けてきたほうが、参戦に踏み切る大義名分を立てやすかったことも確かなことだ。
広島と長崎への非人道的兵器である原爆投下と、結果として宣戦布告通知の1時間前になってしまった真珠湾への奇襲攻撃は、本質において異なる。とても同等(equivalent)なものとは言い難い。
なぜなら、攻撃を仕掛けた側と攻撃を受けた側は非対称的な関係であり、これは真珠湾攻撃も原爆投下も(・・ほんとうは東京や神戸などの都市空爆による一般市民の無差別殺戮についても言及するべきだ)同様である。
とはいえ、日米同盟を継続する限り(・・個人的には、まだまだその必要性は強いと考える)、日米戦争の真相については、公式にはタブーとしなければならない事項は多々ある。
だが真相究明は継続されるべきだろう。時間がたてば、何事も変化する。日米同盟が100年後に存続していると考えるのは、あまりにもナイーブというべきだろう。残念ながら、たとえ「不戦」を誓っても、情勢次第ではわからない。
30年前のことだって、もう正確には思い出せないのだから、30年後もまた当然である。すでに戦後70年を過ぎており、日米両首脳ともに戦後世代である。直接に戦争体験はないのだ。
いろいろ思うところもあるが、日米は死闘を繰り広げたからこそ、お互いを知ることができたのは確かなことだ。あとは、戦争体験のない世代がいかに関係継続を維持していくかに注力するかが、「いまそこにある危機」に対応するために必要なことである。
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書評 『原爆を投下するまで日本を降伏させるな-トルーマンとバーンズの陰謀-』(鳥居民、草思社、2005 文庫版 2011)-きわめて大胆な仮説的推論。じっさいに自分で読んで内容が是か非か判断してほしい
(2012年7月3日発売の拙著です)
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