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2021年2月25日木曜日

書評『「現代思潮社」という閃光』(陶山幾朗、現代思潮新社、2014)-現代思潮社という出版社が勢いのあった1960年代

 
 『「現代思潮社」という閃光』(陶山幾朗、現代思潮新社、2014)を読んだ。この本の存在を知ったのは、出版されてからだいぶ経ってからだった。もっと早くその存在を知って読んでおくべきだったと思う。  

ロープシン(=サヴィンコフ)といってもピンとこないかもしれない。だが、トロツキーやサド公爵といったら、わかる人はわかるだろう。そんなテイストの本を出版してきたのが、1957年に創業された現代思潮社という出版社である。(*単行本のカバーに、出版された本のカバーの一部が掲載されている)。 

著者は、そんな現代思潮社に大学卒業後の1965年から5年間在籍して、営業から編集まで体験した人だ。高度成長が始まりながらも、「60年安保」の残り火がまだ日本社会に残っていた頃である。この本は、そんな著者による現代思潮社がもっとも元気があった頃の回想録である。 

創業者の石井恭二氏(故人)が出版社立ち上げにあたって、中学時代以来の親友からもらったアドバイスが、「どうせ本を出すのだから、悪い本を出せ」。ここでいう「悪い本」とは、いわゆる悪書ではなく、ラディカルな本という意味だ。常識や権威への異議申し立てである。 

私自身は、そんな60年代や70年代の同時代人ではないが、古書店で比較的安く販売されている現代思潮社の本は、1980年代からいろいろ買っては読んできた世代(?)である。 

つまるところ「遅れてきた世代」ではあるが、知られざる西洋の重要作品の翻訳を収録した「古典文庫」をはじめ、大いにその恩恵を受けている。そんな企画の数々を支えていたのが、渋澤龍彦など異端の文学者たちであった。 

(カバーの裏)

この本でとくに興味深いのが、「物書く商社マン」であったロシア文学者で評論家の内村剛介氏(故人)の回想。編集者時代の著者との関係で終わらず、出版社をやめたあとにふたたび交友が復活して『内村剛介著作集』の編集をまかされるに至る息の長い交友関係。さらりと書かれているが、読ませる内容だ。 

シベリアで抑留され、ソ連の収容所に11年間も抑留されていた内村剛介の諸著作は、ロシアについて考えるためには必読書であり、ほんとうの知識人とはどういう存在かを身をもって教えてくれる存在だ。 

内村剛介氏は、日本に帰国後は総合商社の日商(のち合併して日商岩井)で、ロシア語を駆使して辣腕の商社マンとしてソ連貿易に携わっていた。大学教授に転身する前は、「物書く商社マン」として知られていたらしい。そんな話が読めたのもうれしい。 

このほか、さまざまな回想が書かれているが、著者の文章そのものに読ませるものがある。ある意味では文学的であり、内容とあわさって、なかなか味わい深い。 





目 次
Ⅰ ある訃報/ソクラテスと虻-入社前史/奇妙な季節- 「安保以後」という時間 
Ⅱ 本が「空を飛ぶ」理由/社長が〝雲隠れ〟して-「東京行動戦線」事件/吉本隆明氏とある編集者の死/寺田透氏と終わりなき校正/〝格闘技〟としての共訳-『総和と余剰』改訂版/《西神田》、本日もホコリ高し
Ⅲ 「悪い本を出せ」/〝誤訳・悪訳〟騒動-トロツキー『わが生涯』の難路/ああ、バッティング―『蒼ざめた馬』の疾走/悔恨は夜霧に濡れて-ワレ原稿ヲ紛失セリ!/「古典文庫」回想―アカデミズムと鬼火/物書く商社マン―「生き急ぐ」内村剛介氏 
Ⅳ 「大地の商人」の転身-〝その後〟の谷川雁/真昼の割腹―三島事件と川仁編集長/「便所のスリッパも買えぬ」 - 現代思潮社闘争①/会社を〝コミューン〟にする?-現代思潮社闘争② 
Ⅴ 退社以後― それぞれの死/「旅」の終りに―内村剛介氏との〝再会〟
資料【全目次】


著者プロフィール
陶山幾朗(すやま・いくろう)
1940年、愛知県生まれ。1965年、早稲田大学第一文学部卒業。同年、現代思潮社に入社。1971年退社後、読売新聞社出版局を経て、学校法人椙山女学園に勤務。著書『シベリアの思想家-内村剛介とソルジェニーツイン』、編書『内村剛介ロングインタビュー・生き急ぎ、感じせく――私の二十世紀』。また『内村剛介著作集』(恵雅堂出版)全七巻を編集。現在、雑誌『VAV』を主宰。

PS あとから知ったのだが、著者はすでに2018年11月2日にお亡くなりになっていた(享年78)ことを知った。


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・・埴谷雄高も「現代思潮社」とは縁の深い作家であった


 
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